ビール代が誰かの役に立つ!世界初の非営利パブ「The Oregon Public House」

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居酒屋やバーでお酒を注文するとき、ウェイターに「どこに寄付しますか?」と聞かれたら戸惑いませんか?アメリカのとあるパブでは、最初の注文の際にこの質問をうけます。実はこのパブに払うビール代は、いくつかの慈善団体などに寄付されているのです。しかも、パブ運営者の本職はすごく意外な職業でもありました。古いリノベーション物件を舞台に繰り広げられる画期的な物語を、一緒にのぞいてみましょう。

牧師の青年が考えついた地域貢献のアイディア

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アメリカのポートランドにある「The Oregon Public House」は、世界初の非営利パブ。つまり特定の個人の利益を追求せず、パブの売り上げを複数の慈善団体などに寄付しているのです。「ビールを飲んで、世界を変えよう」(Have a pint, change the world.)のスローガンを掲げたこのパブで、お客が5ドルのビールを飲むと、そのお金が母子家庭のサポートに役立ったり、環境問題に取り組む団体を支えることになったりするのです。常時6カ所ほどの寄付先から選ぶことができ、スタッフからオーダーの際に慈善団体の活動内容の説明を受けられます。そして提携する寄付先は年に2回見直されるのだとか。

この風変わりなお店のアイデアを思いついたのは、ポートランドで生まれ育ったライアン・サーリさん(Ryan Saari)。一見するとごく普通のアメリカ人の男性ですが、実はなんと教会の牧師でもあるのです。

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ライアンさんが友人たちと「どうすれば、もっと地域社会に貢献できるか」と話し合っていたとき、地元ポートランドのほとんどの慈善団体が資金調達に苦労していると知ります。彼がポートランドの街を観察すると、「(流行の最先端をいく)ヒップスター文化」、「ビール」、「非営利団体」という共通のテーマに気づきます。「それなら、それらを全部合わせたパブを開いたらどうだろう? おかしいかな?」という2010年のライアンさんの一言から、事態は動き始めました。

寄付とボランティアに支えられたリノベーション

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そんな彼らの夢の舞台となったのは、ポートランド北東部にあった、築100年以上を経た古い建物。およそ185㎡の広々としたこの物件は、パブにするにはうってつけでした。

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ただし、その古い建物をパブにリノベーションするための費用や人材は、すべて寄付やボランティアで賄わなくてはならないのです。必要な資金約10万ドル(2017年9月現在約1112万円)の寄付を集めるのに、なんと3年かかったのだとか。そして約15万ドル(同約1668万円)相当の資材寄付と作業ボランティアも、ライアンさんたちの夢を支える助けになりました。

そして2013年5月、世界初の非営利パブ「The Oregon Public House」は無借金で無事にオープンを果たしたのです。その全貌をのぞいてみましょう。

まるで老舗の風格!完成した「The Oregon Public House」

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こちらが、完成した「The Oregon Public House」の外観。ライアンさんは、「私たちは3年間もこのお店をお腹にかかえて妊娠していたような気分です。やっと産み落とすことができて、疲れましたね」と笑います。

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店内の木材の一部は、廃材が利用されています。そして味のあるアンティーク・ピアノは、前のテナントから受け継いだもの。そういった古い家具や素材のおかげもあり、新規オープンにもかかわらず既に何年も営業している老舗店舗のような風格がありますね。

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なんとキッチン設備も寄贈されたものなのだとか。そしてパブの主役であるビールをサーブするバーカウンターも、元廃材。木がもともと持っていたカタチをそのまま生かすライブエッジ木材は、この「Oregon Public House」にたどり着くために生まれてきたようにも見えます。

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パブは大人だけの場所というイメージがあるかもしれませんが、日中も営業しているため子連れ家族のためにキッズコーナーが設けられました。どんな人をも迎え入れるホスピタリティが感じられますね。

2013年のオープンから4年以上経過したこの「The Oregon Public House」、現在はどうなっているでしょう。

人々の意識もリノベーション

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ライアンさんたち運営者のホスピタリティと「ビールを飲むことで誰かの役に立てる」というコンセプトが話題を呼び、パブは連日大盛況。そして2017年9月には、累積寄付金額が約15万ドル(同約1668万円)を超えたのだとか。パブの従業員には日給が支払われますが、ライアンさんたち運営者は無給です。

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「私たちは、パブを深刻な場所にするつもりはありません。でも人々がただ集まってビールを飲むだけではなく、慈善団体の説明をうけたりすることで何かを知るきっかけになればいいなと思っています」とライアンさんは語ります。
実際にパブの顧客の中には、数年この「The Oregon Public House」に通ううち、自分でも寄付を行うようになったり、エコバッグを持って買い物に出かけたりと日常行動に変化があった人も多いのだとか。

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人々の寄付によってリノベーションできた「The Oregon Public House」ですが、顧客の気持ちまでリノベーションしてしまったのですね。ぜひこれからもその影響力を持ち続け、良い変化の波動を広げていってほしいものです。

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(提供:ハロー! RENOVATION