旅する図書室が教えてくれる、“One Two And Many”という考え方

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「1、2、3 … 」じゃなくて、「1、2、たくさん」
3以上の数字の概念がない人たちと、わたしたちはどのようにコミュニケーションができて、価値観を共有することができるでしょうか?
それとも、わたしたちには、本当に3以上の数字が必要なのでしょうか?オーストラリア先住民や、アマゾン流域のピラハと呼ばれる部族には、3以上の数字の概念、もしくは数学的に数えるという思考法がないという研究があります。

「1、2、たくさん ー One Two And Many」をコンセプトとして作品を発表しているポルトガルのアーチスト、Marta Wengorovius 。Martaが、2013年のリスボン建築トリエンナーレで展示した、移動する図書室 One Two And Manyについて見ていきましょう。

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建築家 Francisco Aires Mateusの協力のもとに制作された、シンプルな木造の図書室 One Two And Manyに入れるのは、1回につき一人まで。ビジターは予約を取り、1時間であろうと丸一日であろうと図書室を独り占めできます。

棚に置かれた60冊の蔵書は、選ばれた20人の人たちによって、それぞれ3冊の本がチョイスされて構成されました。1冊目は1に関係する本、2冊目は2に関係する本、3冊目は“たくさん”に関係する本、というテーマで選択されています。

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三角の切妻造りの屋根には、天窓が一つ。ほかには本棚とかさ上げされたシートスペースがあるだけ。寝っ転がって、射し込む陽光のもとで本を読めます。

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Martaのプランでは、図書室One Two And Manyは1年ごとに世界の様々な地域に巡回して、蔵書はその国の言語に翻訳されるということ。

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この小さな旅する図書館をコミュニティのための本棚にしたいと、Martaは語ります。「本を書いた著者、それを選んだ人たち、そしてその本を読む読者を結びつけて、小さな図書室のプライベート空間から知識と生活が共有されて、パブリックに広がっていく様子を見たいんです」

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図書館で本を借りてきて読む時に、貸出カードの履歴が気になることはありませんか?お気に入りの著者や作品を、自分のほかにも読んでいる人がいっぱいいる。どんな人でどんな暮らしをしているんだろう?One Two And Manyの図書室に、貸出カードや読書ノートがあるのかわかりませんが、世界のいろんな地域の人がどんな思いで読書をしたのか、どんな感想を抱いたのか、知ることができれば素敵だと思います。

「わたしと、あなたと、みんな」小さな図書室にこもって、3つ以上の数字を捨てて、シンプルに世界をとらえ直してみるのもいいかもしれません。

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