着せ替え自動運転車?それはスケートボードに乗ってやって来る

via: rinspeed.eu

車体の上部がシャシーから起ち上がり、用途によって着せ替えできるクルマ。「ポッド」と呼ばれる上モノと「スケートボード」と名付けられた駆動系の基盤を、2つに分離させた自動運転のコンセプトカーが「Rinspeed Snap」だ。

自動運転車はいわばIT機器の一形態。センサーやモーター、コンピュータなどのハードウェアやパーツが毎年新しく開発されるにつれて、どんどん陳腐化していく。かといってスマートフォンのニューモデルのように気軽に買い替えられるものでもない。そんなこと環境に対してもよろしくないし。

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ユニークなアイデアのコンセプトカーで知られる、スイスの自動車メーカーRinspeedの出した答えが、陳腐化のはやいハードをシャシー(スケートボード)に集め、寿命の長い上箱(ポッド)と分離するというもの。ユーザーは将来、時代遅れになったスケートボードだけを交換すればいいというわけ。

用途に応じて上部構造が取り替えられるというアイデアは、トヨタの多目的な自動運転のプラットフォーム「e-Palette」のコンセプトにも共通している。ただ「 Snap」の場合は、ポッドの4つの足が自動で伸びて、ユーザー自身によってスムーズに交換が可能だ。分離したポッドだけを残して、いろいろな箱物として利用できる点がユニーク。

via: marketwatch.com トヨタの「e-Paletteコンセプト」
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ミーティング、宿泊、ショップ、レストランといった用途に応じて、インテリアと機能の違うポッドを手軽に着せ替えできる。複数のポッドを所有して、朝夕は通勤のライドシェアに、昼と夜はレストランやお弁当販売、そのほかの時間帯はポップアップ・ショップに、といった使い方もできるだろう。

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今回の「Rinspeed Snap」のコンセプトモデルには、パソコンのGPUメーカーNVIDIA社、ドイツの自動車部品メーカーZF社、サムスン電子の傘下となったオーディオ機器で知られるハーマン社、インテリアやセンサー技術企業、日本の積水化学工業など約30社が参加し、8ヶ月を費やして開発されている。

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4人乗りのコンセプトモデルの車内は、ディスプレイだらけ。なんだか歯科医院みたいで落ち着かない印象。

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オーディオ機器のボリュームのような操作ツマミはいい感じ。ハーマンならではのインターフェースだ。

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虹彩スキャンによる個人認証といったテクノロジーも搭載。

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Rinspeedお得意のガーデニング・キットもあります。

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しかし、上箱のポッドがハイテク機器満載では意味ないんじゃないか?という疑問が。これではシャシーよりも寿命短そう …。

スケートボードには、ZF社の「インテリジェント・ダイナミック・ドライヴ・シャシー(IDDC)」を採用。フロント最大75度とリア最大14度のステアリング角により、その場での旋回が可能だ。低速走行の多い都市部での耐久性を考慮して出力は50kWに抑え、100kmの航続距離で最高時速は80kmとのこと。

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「Rinspeed Snap」の取り組みは、自動運転車を第3の居住スペースとしてとらえた場合に、“自動運転車の開発は自動車メーカーでなくてもよい”というプレゼンテーションとも受けとめられる。Rinspeedが開発のハブとなり、様々な部品メーカーやテクノロジー企業のパートナーシップによって自動運転車を製造する。つまり、世界的な自動車メーカーとIT企業に次ぐ、自動運転のサードウェーブを模索したものと考えられるだろう。

自動運転車がIT機器だとすると、その寿命はパソコンと同様の4〜5年になってしまう。それに対して、自動運転車をモジュラー式にしてアップデートするというのは良いソリューションだ。ポッド部分がユーザーの手で着脱と着せ替えができるのもナイス。「自動運転車キット」を使って、DIYでオリジナルな自動運転車を組み立てる、なんていう未来も夢じゃないかも。

Via:
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wardsauto.com
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vision.zf.com
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