望んだ場所で生きる。オランダの持続可能なプレハブハウス「petit place」

via: https://www.designboom.com/

ここは水車とチューリップの風景が有名な西ヨーロッパの国、オランダ。

roosros architecten(ロースロス・アーキテクテン) の建築家、stefan de vos(ステファン・ドゥ・ヴォ)が建設したプレハブタイプのスモールハウス。

小さなスケールで生きるミニマリズムのプロジェクトからできたこの‘petit place’(小さな場所)は、街や村、平地や水上、山の上でも本当にどこでも建設することができる。コンセプトは‘live wherever you please’ 。日本語に訳すと、「どこでも望んだ場所で生きる」ということになる。

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今回の写真では、zwijndrecht(ツワインディレクト)という三角州の近くに置いたようだ。

購入すれば、誰でも簡単に作ることができるプレハブ形式のスモールハウスキットのため、25 m² から 1000 m²までスペースに合わせて拡張したり縮小したりが自由自在だ。

素材はプレス盤と木の融合。木材は、ホルムアルデヒドが少ないポプラの木の複合材を使っている。
窓フレームは、ガーナ語で「odum:燃えない木」の異名を持つ、耐火性の強いイロコ材を使って製作。ガラスも三重構造にした。

プレス盤の床や屋根は 、ISO基準のフラックスを断熱材として使用している。
ゴアテックスの金属の薄片を壁に貼ることで、アノラック(防水、防寒ジャケット)のような役割を果たし、水や風に耐性があるだけでなく家の中の通気性も保たれる。

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プレス盤という素材をいくつも使う事でつくられる規則的なグリット模様が浮かび上がり、それ自体が現代的な美しいデザインとなって現れる。

このスモールハウスには太陽光発電もできるようにソーラーパネルも備えつけられており、年間で約9,000kwh も発電可能だ。この数字だけ言われてもピンとこないかもしれないが、実際にこの家で暮らすのに必要なエネルギーの3倍以上にも及ぶため、完全な電力の自給自足が可能だ。
つまり、このつやつやな外装全体が発電パネルとなり、効率的に発電が可能となっている。この驚異的な発電効率から別名「発電所」というあだ名もつけられている。

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実はこの‘petit place’は「キットである」という性質上、いろいろと外装を変えていく事も可能となっている。
他にも「the green machine(グリーンマシーン)」と呼ばれる壁一面が植物になるバージョンや、廃材利用した木を壁にする「zero waste(ゼロ・ウェイスト)」バージョンもある。どのバージョンの壁を選んだとしても、持続可能性というコンセプトからは決して離れる事はない。

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モダンなインテリアで統一された室内は、狭さを感じさせない。
キッチンやシャワー、トイレはもちろん、通常の寝室の他に中二階の寝室があり、来客用としても対応できる。

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概して、持続可能性と言うと少し贅沢を我慢しなければいけない気分がする。
肉をなるべく食べないようにして、あまり車を運転しないようにして、なるべく消費を減らしてなど。もちろんこれらは素晴らしいことには違いがないが、人間として少し気持ち的にしぼみ、諦めという感情も同時に伴ってくるだろう。
あまりにも過剰に「環境や地球のための生活」を押し進めると、「人間としての生活」が影を潜めてしまうのではないか。
そのような問題提起から、このスモールハウスは電力供給や素材を再度見直し、「持続可能な生活で失われた何かを取り返す」という精神が息づいているように思える。

このようなスモールハウスの存在が、共有経済の需要を満たすことができるのだ。

 

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このスモールハウスは電力供給や素材を再度見直し、「持続可能な生活で失われた何かを取り返す」という精神が息づいているように思える。