NYに出現。食料まで自給自足する家「Ecological Living Module」

via: https://www.dwell.com/

ここはアメリカ合衆国の中心とも言えるニューヨーク市。
国連本部のあるまさにその地で、2018年の夏、2週間だけこの「Ecological Living Module (ELM、エコロジカル・リビング・モジュール)」が設置された。

ハートフォード州のコネチカット、New Haven(ニュー・ヘイブン)に本拠を置くGray Organschi Architecture(グレイ・オーガンスキー・アーキテクチャ)という建築スタジオとYale Center for Ecosystems in Architecture(CEA、イェールセンター・フォー・エコシステム・イン・アーキテクチャ)がチームでタッグを組んで制作した。

大きさは230平方フート、黒を基調とした壁にプラントが作られているため、見るからに「エコ」や「オフグリッド」的な発想に結びつく。

しかし、これはただのスモールハウスではなく、壁一面に植えられている植物はすべて野菜で、「自給自足するスモールハウス」なのだ。

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植物が太陽の光を浴びることができるように、立てる方角もきちんと考えて建てられている。もちろん従来型のオフグリットハウスの特徴も兼ね備えていて、使用している素材は再生可能素材だ。

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片流れの広い屋根には太陽光パネルが取り付けられており、電力の自給自足が可能となっている。この太陽光パネルだけで、100パーセントこのスモールハウスの電気を賄うことができる。

「自給自足するスモールハウス」というだけに、水も雨水などからフィルターを通して再利用し、自然に80パーセントほど賄うことができる。夏の期間は除湿器で空気中から水をとり、それをそのまま壁の植物にやるシステムまで組み込まれている。

中の様子を見てみよう。

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これはプロトタイプとして作られたものなので、ディティールにこだわって作っているものではないことを先に断っておくにしても、キッチンなどの水まわりまであり、十分住むことができるように設計されているように見える。
16フィートの高さを存分に生かし、吹き抜けになったリビングルームは狭さを感じさせない。天窓から差し込む線状の自然光で、電気などなくても、昼間の室内はしっかりと明るく、暖かい。

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このスモールハウスは、ロフトになっている二階部分が寝室となっている。寝室の壁にも野菜が育てられており、植物が身近にある暮らしが楽しめるだけでなく、二酸化炭素を吸収し、室内の温度を下げてくれる。この家に住むことで自給自足だけでなく、環境問題にまで取り組むことができるのだ。

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家の後ろ側には隠れ扉があり、その中は水まわりや蓄電池などのインフラ系の管理場所となっている。

さらにこのスモールハウスがすごいのは、自給自足できる機能性だけでなく、たったの「8週間」で作れるという建設期間の短さだ。

このような、短期間で独立して動くモジュールのようなスモールハウスが増えていけば、様々な社会問題も解決できるだろう。例えば、未だに食料不足が深刻な社会問題となっているアフリカの国々などでは、このような必要最低限ですべてを賄う家は、良いソリューションとなるだろう。
また、日本のように食料自給率が問題となっている国において、各個人が畑を持ち自給自足するなどの心構えは大切であるが、国土の狭い日本では、このような家と一体型の「自給自足ハウス」は非常に相性がいいように思う。

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いずれにしても、自給自足をするために「畑を持つ」という発想から、土地を持つという概念をなくし、それを家に統合した「自給自足をする家」というアイデアは、非常に画期的で未来のあるものとなるのではないだろうか。

 

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