小屋×都市 #02 好きな世界をつくる小屋|都市を科学する〜小屋編〜 – オンデザインパートナーズ×YADOKARI

イラスト:千代田彩華

何のために「小屋」が欲しい?
「小屋」はどんな使い方ができる?
「都市を科学する」の小屋編。
まずは、大好きな世界に、没頭する小屋を集めた。

大好きな空間を実現する

小屋は、大好きな空間を実現するひとつの形だ。
たとえば子ども向けなら、遊ぶためだけの小屋。

Via:cedarworks.com

大人だったら、どうだろう。
自分好きなものだけに囲まれた空間をつくる。

Via:nzhouseandgarden.co.nz

外観も内装も、好きなように使えばいい。

トリコロールが好きなら、外観も内装もとことん
Via: pinuphouses.com

童話や映画で見たような、憧れの世界も再現できる。

Via: airbnb.com

趣味に没頭する「離れ」

何かに没頭する空間にしても良い。
庭先に、そのための離れの小屋があったらワクワクする。

こんな小屋が庭にあったら何したい?  Via: surmanweston.com

絵画スタジオにしたり、

画家としての活動場所を小屋で実現した例。 Via: http://www.diynetwork.com/

大好きなピアノを思い切り楽しむ音楽室にしたり、

広い庭の先に音楽室をつくれば、音で迷惑をかけることもなくなる。 Via: https://www.dezeen.com

満開の桜を楽しむ茶室にしたり。

満開の桜に囲まれて茶の湯を楽しむために作られた茶室 Via: https://florindiaconu.com/

満開の桜と共に。空中茶室「Fujimori Tea (Tree) House」 Via: https://florindiaconu.com/

コレクションやディスプレイにも

趣味のコレクションのための空間も楽しそうだ。
ワインのための小屋にしたり、

イメージ写真。自慢のワインをストック By Clarkston SCAMP, CC BY 2.0,

陶芸作品のギャラリーにしたり、

陶芸作品を並べ、ギャラリーを兼ねる(筆者撮影)

植物を集めて育てたり。

Via:de Stuurlui stedenbouw

好きなことのためだけの小屋

「好きなことのためだけに」と目的をはっきりさせ、関係ないものは盛り込まない。

家の中の部屋のひとつを使っても良いけれど、小屋は空間的にもう少し独立しているし、外観も好きに使うことができる。

大好きな世界に没頭するための空間ができあがる。
(了)

【都市科学メモ】

小屋の魅力

大好きな世界をつくる

生きる特性

外観と内装の自由度、独立性、隔離性、小ささ

結果(得られるもの)

ワクワクしながら自分の世界に没頭できる空間

手段、方法、プロセスなど

好きなものをはっきりさせる
自分が何を好きなのか、なんのための小屋にするのか、目的やコンセプトをはっきりさせることが大切。趣味や遊びのための小屋にするならば、生活に必要なものを盛り込む必要もなくなる。大好きなものだけに囲まれた空間をつくるためには、関係ないものは極力持ち込まないことだ。
自分で空間をデザインする
小屋の形から、外観や内装までデザインできる対象はたくさんある。建築の知識が必要な部分は、建築家などの助けを借りても良い。あるいは、小屋自体はオーソドックスな既成品でも、飾り付けや収容する物で表現することもできる。何かをコレクションする趣味のある人が、小屋を所蔵庫兼ギャラリーとして使えば、まさにマイワールドの具現化だ。
世界観や哲学に合う小屋を探す
自分にぴったりの小屋が見つかれば、わざわざデザインしたりディスプレイを工夫したりする必要はない。「つくる」ことは、好きな世界を具現化する手段のひとつに過ぎないのだから。
【Theory and Feeling(研究後記)】
僕なら、何をする小屋が欲しいのか、考えてみました。

趣味が雑食なので、「これ!」というのはあまり思いきません。むしろ、インターネットで時間を浪費するクセがあるから、デジタルデトックスをする空間でもあったらいいな、と思います。

ギターとピアノと天体望遠鏡と漫画でも置いておいたら、結局は時間を浪費するんだろうけど、なんか楽しそう。

 

「都市を科学する」の「小屋編」は、横浜市の建築設計事務所「オンデザイン」内で都市を科学する「アーバン・サイエンス・ラボ」と、「住」の視点から新たな豊かさを考え、実践し、発信するメディア「YADOKARI」の共同企画です。下記の4人で調査、研究、連載いたします。

谷 明洋(Akihiro Tani)
アーバン・サイエンス・ラボ主任研究員/科学コミュニケーター/星空と宇宙の案内人
1980年静岡市生まれ。天文少年→農学部→新聞記者→科学コミュニケーター(日本科学未来館)を経て、2018年からオンデザイン内の「アーバン・サイエンス・ラボ」主任研究員。「科学」して「伝える」活動を、「都市」をテーマに実践中。新たな「問い」や「視点」との出合いが楽しみ。個人活動で「星空と宇宙の案内人」などもやっています。

小泉 瑛一(Yoichi Koizumi)
建築家/ワークショップデザイナー/アーバン・サイエンス・ラボ研究員
1985年群馬県生まれ愛知県育ち、2010年横浜国立大学工学部卒業。2011年からオンデザイン。2011年ISHINOMAKI 2.0、2015年-2016年首都大学東京特任助教。参加型まちづくりやタクティカルアーバニズム、自転車交通を始めとしたモビリティといったキーワードを軸に、都市の未来を科学していきたいと考えています。

さわだいっせい / ウエスギセイタ
YADOKARI株式会社 共同代表取締役
住まいと暮らし・働き方の原点を問い直し、これからを考えるソーシャルデザインカンパニー「YADOKARI」。住まいや暮らしに関わる企画プロデュース、空き家・空き地の再活用、まちづくり支援、イベント・ワークショップなどを主に手がける。

また、世界中の小さな家やミニマルライフ事例を紹介する「YADOKARI(旧:未来住まい方会議)」、小さな暮らしを知る・体験する・実践するための「TINYHOUSE ORCHESTRA」を運営。250万円の移動式スモールハウス「INSPIRATION」や小屋型スモールハウス「THE SKELETON HUT」を発表。全国の遊休不動産・空き家のリユース情報を扱う「休日不動産」などを企画・運営。黒川紀章設計「中銀カプセルタワー」などの名建築の保全・再生や、可動産を活用した「TInys Yokohama Hinodecho」、「BETTARA STAND 日本橋(閉店)」などの施設を企画・運営。著書に「ニッポンの新しい小屋暮らし」「アイム・ミニマリスト」「未来住まい方会議」「月極本」などがある。