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第9回:遮断のススメ、戦略的にひきこもるための旅|バックパッカーワーキング

スズキガクプロフィールアイコン | 2014.9.24
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先週、また旅に出ました。旅先は奄美大島です。
私は普段は東京に住んでいるのですが、奄美で過ごす時間はすごくゆったりしていて、仕事も余裕をもって進められたように感じます。それはなぜかと考えて、出てきた答えは「新しいイベントが入ってこないから」というものでした。

都会は出会いの宝庫

東京のような都会に住んでいると、面白い出来事によく出くわします。Facebookをチェックすれば、これからの仕事に役立ちそうなイベントや勉強会があったり、地方から友人が遊びに来ていたり、急な飲み会に誘われたり。他にも急な仕事をいただいたりと、スケジュールはどんどん埋まっていきます。
そんな毎日はとても楽しく、自身の世界がどんどんと広がっていく感覚を覚えます。けれど、たまに疲れる時があるのです。

流れが急で、たまに溺れそうになる

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というのも、急な予定に飛び込むと、時間がどんどん無くなっていくのです。
仕事は納期までにこなさなければいけませんが、急な予定が入るとそれに合わせてスケジュールを前倒しする必要があります。イレギュラーな予定が入ってくることも考え、前倒しして仕事は進めているのですが、それでも寝る時間を削らなければいけない時も出てきます。

まぁ、面白そうなことがあるとふらふら遊びに行ってしまう自分も悪いのですが、それでも納期に間に合わそうと朝まで仕事をしていたり、複数の仕事を翌日までにこなさなければならない日が続くとモチベーションが萎えていきます。

新しく入ってくるものを、あえて遮断できる場所

旅先はそうした「新しいイベント」とは物理的に遠い場所です。面白そうなイベントを知っても遠くて行けません。
もちろん、旅先でもイベントは起こるのですが、それは都会に比べて無目的なものだと感じます。ふらっと立ち寄ってもいいし、立ち寄らなくてもいい。

旅先では、今後何の役に立つのかわからない出会いも多いのですが、目的がはっきりしないからこそ、遮断するのも受け入れるのも、より自由になるのだと感じます。

これって本当に欲しいものなんだろうか?旅先で自分と向き合う

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新しいなにかを遮断すると、そこには空白が生まれます。時間的なものもそうですが、心にも空白が生まれます。そうした時に、私はついつい内省してしまうクセがあります。

内省の中で考えるようにしていることは、「いま自分がしていることは本当に必要なものなのか?」ということです。いつからか、私は多くのものを持つことを避けるようになりました。

それはなぜか。理由はいくつかあるのですが、ひとつは長旅の中では少ない荷物で生活することを覚えたこと。ひとつは仏教系の幼稚園に通っていたため、小さい頃から仏教の考えに親しんだことで、「ものに執着すること」を避けるようになったこと。
そして、「人ひとりが持てるもの、できることは限られている」という持論が関係しています。

人ひとりが持てるもの、できることは限られている

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生活する中で、所有できるものも、考えられることも、こなせる仕事も、出会える人も、限りがあります。8ヶ月ユーラシア大陸を旅しましたが、見てきたものは世界で起きていることのほんの一部で、この先一生かけても全てを知って見ることはできないでしょう。
私は生きていくのに多くのものを必要としたくないし、必要なものを必要な分だけ使って生活したいと思っていますが、それには上に書いたような考え方が大きく影響しています。

「ノイズ」を避ける

ここから先は私の思い込みも多分にある話かもしれません。不快に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、ご容赦ください。

私は、いまの経済は、経済を回すための経済だと感じています。
広告を打ち、消費意欲を喚起して、新しく開発した商品を売らないと、企業は利潤を確保できず、会社がつぶれると人々は収入を確保できません。そのため、都市に暮らし、日々広告を目にして、多くの人たちとすれ違っていると、知らずしらず、必要でないものが必要と思わされていることがよくあるのではないかと感じます。そうした経済活動や社会的な価値観によって作られた欲求を、私は「ノイズ」と呼んでいます。

たとえば、就活産業がつくる「大学を卒業したら就職しないと。」という欲求。たとえば結婚産業がつくる「30過ぎたら結婚しないと。」という欲求。周囲からの「〜でなければならない。」という、社会的な圧力=ノイズを、窮屈に感じている人は多いのではないでしょうか。

人は社会的な生き物で、周りの人や集団の価値観や行動にすごく影響されやすいものです。その視点に立って、ノイズから距離を置いて「自分に本当に必要なものはなんだろう?」と、ふと考えた時に、本当に必要なものってそんなに多くない気がしています。
とはいえ、そういう産業が作り出す仕事の一部をこなして日々の糧にしているので、僕も偉そうなことは言えないのですが。

旅先でひきこもる

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都会の中で、様々なノイズにさらされ続けて、バリバリ働くことは、残念ながら私にはできません。疲れてしまうし、違和感を感じるので、どこかで「無理!」と思ってしまうのです。

それができてしまう人もいるので、私はあまり強い部類の人間ではないのだと思います。そんな自分にとって、旅先はある種の逃げ場でもあり、過多な情報を避け、ひきこもる場所でもあるのです。それは、自分と向き合い、確実に進んでいく指標を見つけるために必要な、前向きな「逃げ場」です。
思えば、ひと昔前に、世間で「断捨離」が流行ったのは、持つことによる息苦しさを多くの人が感じたからではないでしょうか。

まぁ、それはともかく、旅先はリフレッシュするには良い場所です。メリットとデメリットを考えると、何かを遮断しすぎるのも、向き合いすぎるのも、場合によりけりで、どっちもどっちです。
近場でも短くてもいいので、たまには、ふらっとどこかに出かけ、ひとりになってしまうのも気持ちが良いものですよ。

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Writer スズキガク

1986年生まれ。日本大学芸術学部を卒業後、自転車日本一周やユーラシア大陸輪行旅行に出かける。帰国後はライター・編集者として活動中。元・自転車屋、元・BBQインストラクターの経歴があり、興味を持ったものには何でも首をつっこむ性分です。おいしい料理とビールをこよなく愛しています。

FB:gaku.suzuki.12
TW:@haresoratabiya1

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