職人だって旅をしながら仕事ができる、“旅するハンコ屋” 京都に参上!

hanko

旅するハンコ屋、京都に参上!

旅する仕事人の
今回の旅先は京都。偶然見つけたコワーキングスペースで仕事をしています。
今回のお仕事は『印鑑づくり』。そうです、あれです、よく銀行とかで使うハンコです。
実は実家がハンコ屋で、彫り方も少しだけ習得しているので、友人から注文を受けてちょこちょこと彫っています。

ちなみに価格は一本5000円、相場より安めですが、修行中の身ですので、この価格でやらせて貰っています。
han道具はこんな感じで、写真手前にある“
印床(いんしょう)”という台に印材を固定し、印材の表面に字を書きます。
文字は捺印した時に正しく読めるよう、左右逆に書き込んで、その後、写真右のタオルの上に転がってる“印刀(いんとう)”という特殊な彫刻刀で溝を彫りすすめます。
時には髪の毛より細い溝を彫る事もあるので、わりと肩が凝る仕事です。

この時は仕事場の居心地がよく、集中して仕事を進める事ができたので、2本の印鑑が完成しました。
あとは注文してくれた友人に印鑑の写真を送って確認してもらい、OKならば郵送して、お仕事完了。

ハンコの注文は随時受け付けています、字だけでなくご希望の際はイラストも彫りますので、ご希望の方は一度ご連絡ください。

 

手仕事、という選択肢

・・・とまぁ宣伝は置いておいて、今回ハンコを彫りながら、手作りの品を旅先で作って売るのもバックパックワーキングだなぁと考えていました。
名付けるなら、“旅するクラフトワーカー”でしょうか。

旅をしながら仕事をする、というと、どうしてもプログラミングやデザイン、ライティングやサイト運営など、パソコン片手にやる仕事をイメージしてしまいますが、ミシン片手にとか、彫刻刀片手にとか、そういう人がいても面白いと思いませんか?

そういえば旅先でも、自作のアクセサリーを作って路上で販売している人とか、旅するクラフトワーカーの姿を見かける事がありました。
最近では“Base”などのサービスで、インターネットショップが気軽に開けるようになりましたし、上手くファンを掴めば、現地で仕入れた物に手を加えて売りながら旅をするとかも出来そうです。
以前この連載で紹介した「旅の写真屋」も旅先で物を作って売る仕事のひとつですね。

 

ちょっと妄想、“コワーキングアトリエ”について

そうそう、今回お邪魔したコワーキングスペースは京都相国寺近くの“Impact Hub Kyoto” さん。
元々寺の境内にある学校だった建物を利用して運営されています。
オフィスというよりはアトリエと言った方がふさわしい場所で、絵を描いてる人がいても不思議じゃない雰囲気です。

hub
hub2
コワーキングスペースを利用するのは始めてなんですが、ビジネスの用途だけではなく、アトリエとして使うのも、クリエイターとビジネスマンの双方に刺激が有って楽しいんじゃないでしょうか。

検索してみると、ビジネスとクラフトのコワーキングスペースってほとんど棲み分けがされていますが、もっとごちゃ混ぜにしたらビジネスマンにもクリエイターにもお互いに刺激が生まれるんじゃないかなーと感じています。パソコンで書類を作っている人の前で、絵を描いていたり、服を縫っている人がいたり、ハンコ彫ってる人がいても面白いんじゃないかと。

国外に目をやると、アメリカ・オレゴン州のポートランドという街には、レンタル工房がいくつかあり、溶接のための施設や木材加工の機械などをシェアする仕組みが出来ています。
http://www.adxportland.com/about-adx
sougen2Photo by Xilia Faye

現状では旅するクラフトワークは、手芸やちょっとした工芸など、持ち歩く道具や材料が少ない仕事と相性が良さそうですが、ポートランドのような施設が各地にできれば、各地を転々としながら家具造りやオリジナル自転車の製作など大規模な物造りが出来ちゃいそうです。
その際、材料はどうするとか色々問題は出てきそうですが。

とかく、旅をしながら仕事をしていくのに、職業が1本だけではちょっと不安です。
復業の選択肢として、旅するクラフトワーカーというのも面白いのではないでしょうか。