ツリーハウスつくろう(3)

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今回は、僕が出会い影響を受けた『人』ツリーハウスクリエーター 小林 崇 さんと、その世界について、体験レポートを綴っています。

ツリーハウスビルダー養成講座は、座学やフィールドワークと並行し、実習に入った。
樹上に家を建てるには、知識と共に、そこで作業をする為の技術を習得しなければならないからだ。ビルダー見習い達は、実際にツリーハウスを制作していく中でそれらを学び取っていく。

ツリークライミング

ツリークライミングは、専用のロープやハーネスなどのクライミング・ギアを利用し樹上に登る活動だ。
近年では国内でも、ツリークライミングジャパンなどの団体が、イベントでの体験や普及、指導者の育成などを積極的に行っている。木や森、自然との一体感を味わうレクリエーションとしも注目を集めている。

しかし、ツリーハウス制作では、レクリエーション段階より高いレベルのクライミング知識と技術が必要となる。登る事が目的ではなく、登った先の樹上で作業をする事が目的だからだ。

セッティング

ツリークライミングは、セッティングが非常に重要。どの枝にロープを渡すかで、樹上での作業範囲が決まってしまうからだ。また作業効率に加え、安全に関わる要素が多くある為、細心の注意を払いながら作業を進める。

先ずは重りを付けたスローライン(細ひも)を、狙った枝に投げる。釣りの際、重りのついた糸を飛ばすようなイメージだ。この時、枝の太さやコンディションを良く観察する。誤って細枝や枯枝を選択すれば、吊り下る際に体重を掛けた瞬間、折れる危険性があるからだ。
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スローラインが掛かかると、それを頼りに吊り下る為の太いロープに換えていく。このロープは、ワーククライミング用で、体重を掛けても伸びる事がなく、またギアや樹皮等との摩擦にも強い構造だ。ロープを固定する為ボトムアンカーを設置すれば、セッティング完了だ。

このセッティングを含め、ツリークライミングには幾つかのロープワーク(結び)が必要だ。結び目一つ取っても、まだまだ満足に出来ていない。僕らビルダー見習いでは、セッティングだけで日が暮れてしまいそうだ…。
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ツリークライミング・ギア

ツリークライミングは、ワーククライミングの一種だ。その為、持ち運ぶ事を考慮され軽量化された登山等のギアに比べると、重厚な仕様の物が多い。
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先ずはハーネス(画像/上)を装着する事からクライミングの練習は始まった。初めてのハーネス装着は、どこに足を入れたら良いかも解らず大苦戦だった。

ハーネスは樹上での安全な作業の為に、身体とロープを繋ぐ為の重要なギアだ。長時間作業でも血液の流れを止めないよう、大腿部に大きなパットが付けられている。吊られた状態になると包み込まれるような感覚で、見た目以上に安定感がある。
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このハーネスのカラビナ(一部が開閉出来る金属製の環)にディセンダー(セルフブレーキ下降器)を装着。ディセンダーにロープが通ればロックが掛かり、身体を空中に固定できる。ハンドルを緩めれば摩擦を利用し下降、スピードをコントロール出来る。
登る際には、フットループ付きのアッセンダーを使用する。アッセンダーはディセンダーの反対で、上方向へはずらせるが、下方向にはロックが掛かる。

ここまで来れば、後は練習を繰り返すのみ、樹上へのアタックを繰り返す。筋肉痛は覚悟の上だ。

大木に抱かれる

ツリークライミングの練習は、安全管理と作業内容を考え、常に緊張が必要だ。ただ不思議と疲れは感じない。まるで大木に抱かれ遊んで貰っているような感覚だ。
森林に入るとマイナスイオンを感じリラックス出来るという。だとすると樹上に家を建て、そこで過ごす事が出来れば、居ながらにして最大の癒しを得られのかもしれない。
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いやしかし、樹上からの眺めは冒険心をくすぐる。子供の頃、誰もが一度は抱いた事があるだろう…“僕らの秘密基地があったら”と。ここに居住空間があったら、どんなに面白いだろう。大人になりきれない僕にとっては、そんなワクワクする想いが最大の癒しかもしれない。制作開始が待ち遠しい。

必要なのは、確かな知識・経験と情熱。それと少々の遊び心だ。
それは、どんな仕事でもそうなのかもしれない。

ツリーハウスクリエーター 小林 崇 さんと、その世界について、体験レポートは、つづく。