グリーンと住まい

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新緑の季節

まだまだ気温の上下はありながらも、季節は少しずつ春へと近づいていますね。5月〜6月は、新緑の季節です。桜が終わると、木々の葉が芽吹き、瑞々しいグリーンが目に付くようになってきます。爽やかな風に乗って自然の香りも満喫出来る、1年の中でも過ごしやすい時期ですね。このベストな時期に、グリーンを楽しまない手はありませんよ。

お花屋さんなどでも、春になると観葉植物などの鉢植えものや、切花でもフレッシュな葉が店頭に並びます。私もこの時期になると、衝動的にグリーンを買い足したくなります。五感が欲しているとでもいいますか。

グリーンの楽しみ方 その1

皆さんにとって、観葉植物などのグリーンはどんな存在ですか?私にとっては、すべてを体全体、五感全体を使って楽しむもの….でしょうか。でも、とりあえずは「目で見て楽しめること」

今は都会で仕事をしているので、グリーンは室内で楽しむような生活スタイルが出来上がっていますが、本来の希望としては、自然に囲まれた場所に住居を構え、アトリエも建て、窓を開けるだけでいつでもグリーンを五感で堪能出来るような住環境が一番の理想です。よって、室内にはグリーンは置かずに窓越しのグリーンを楽しめるような、そんな家を建てるのが夢ですね。外のグリーンを最大限に生かすような窓作りに凝ってみたいとか、鏡をうまく使って室内の壁をグリーンだらけにしたいとか。妄想だけは広がっています。京都のお寺などでは、窓から見える庭園を、まるで絵画のように見せていますよね。あの発想を、普通の住宅でも取り入れたら素敵じゃないかと思います。自然が作り出す風景は、どんな絵画にも負けない素晴らしさがありますからね。

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グリーンの楽しみ方 その2

もう一つの楽しみ方、それは「よく観察して触れてみること」

都会にいても、自然の中に身を置くときも、植物と向き合う時には、私はいろんな角度から隅々まで、じぃーっと見ます。パッと見は、普通の雑草に見えても、めくってみるとおもしろい模様だったり、手触りが気持ちよかったり、近づいてみると良い匂いがしたり。いろんな発見があって楽しいし、それが花仕事のデザインにつながったりします。植物をよく観察することで、自分だけが見つけたおもしろい部分、美しい部分を強調して飾ってみようとか、組み合わせてみようとか、随分と植物の「魅せ方」も増えていきます。

あとはやはり、実際に手に取ってみることですかね。人間って不思議なもので、手に取ったものに対しては、ものすごく観察するんですよね。お店でも商品をただ眺めている時は、視線を流して終わってしまうのに、ひとつ手に取ったものに対しては、まずいろんな角度から見て、形や仕様を確認して、手触りや色を改めて認識するような事ってないですか?興味はそこそこでも、手に取ったことで、自分のあらゆる五感を使って確認しようとする。無意識に私達は、色んな物に対してそうしていると思います。なので植物に対しても綺麗だと思ったら、触れてみることなんです。

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グリーンの楽しみ方 その3

触れる事で広がるもうひとつの楽しみ方は、「癒し効果」

巷ではフラワーセラピー、グリーンセラピーなど、植物を使ったセラピーが多数ありますが、実際に人と接触を持たない引きこもりの方が、部屋の中に置いた植物にただ触れるという行為を毎日続けただけで、日常の生活に戻れたりすることもあるそうです。あとは、田舎で畑仕事に目覚める方も最近多いようですが、あれも土や植物に触れることで癒しを得るケースです。そういう意味では、いつでも触れられる場所、つまり毎日の暮らしの中に植物に触れる習慣を作ることは大切なのかもしれませんね。

私も仕事とはいえ、植物に触れると疲れていても仕事が捗ったり、やる気が出たりとパワーをもらっていることを常に感じますから。グリーンをどんな風に飾ったらいいのかわからない、育てられない、扱いが分からない等、日頃色々な質問を受けます。私が思うに、毎日3食お腹がすいたら食べる行為と同じく、この場所が寂しいからグリーンが欲しい、春だから何か植物を買ってみたい、育ててみたい、その気持ちの通りに、欲するままにしてみるのが一番ではないかと。扱いが分からない事で、枯らしてみて初めて原因を考えるし、思ったより大きく伸びてしまって、適当に切ったらそこからまた芽が出てきて、増やす楽しみを覚えたり、あげる水の適量もやっているうちに身に付くものだと思うんです。植物が答えをくれますから、頭でっかちにならずに、まずは触れてみて欲しいですね。

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本当の花育

その為にも、身近に自然がたくさんあれば、見たり触れたりする機会が必然的に増えるでしょうから、住まいと自然は常に対になっていて欲しいアイテムだと思います。お店でグリーンを買って飾るのも良いですが、近所でグリーンを摘んできて飾れる住環境であれば、植物の知識がなくてもまずはやってみようっていう楽しみへ繋がると思うんですよね。

私が子供の頃は、タンポポを好きなだけ摘んで、友達と試行錯誤しながら編んでネックレスを作ったり、花冠を作って遊んだ記憶があります。すき…きらい…と言いながら、残酷に花びらをむしってみたりもしましたが…..笑 むしった後に残ったガクの部分を見て、こんな形してるんだ〜と思ったりもして、無意識に知識を得ていたように思います。今でこそ花育とか言われていますが、本来は大人が用意した環境ではなく、自然の中で自らの興味で学ぶことが本当の花育じゃないでしょうか。都会の子供達は、そういう意味では可哀想な気もしますね。だからこそ自然に囲まれた住環境がすべての地域に広がっていくと共に、家でも学校でも、日常で植物に触れる環境を作り上げる事が、本当の花育への第一歩になるかと思います。

自分だけが見つけたお気に入りのグリーンを、自分の好きなように飾る。それが一番の楽しみ方であり、家を素敵に飾っていける第一歩になるのでは?と思います。是非、植物と仲良くなるつもりで、今日から始めてみませんか?

 

☆次回は結婚式と自然と住まいです。