住まいと自然

第6回:時代とともに変化する、結婚式と住まい|住まいと自然

下坂のり子プロフィールアイコン | 2014.7.9
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ウェディングにかかわる仕事をしていると、いろいろなドラマを垣間見ます。と同時に、今現在の結婚式と昔の結婚式が大きく様変わりしているのが面白いです。
時代を象徴しているというか、経済的な事、ファッションや流行、芸能人やメディアからの影響、そして新郎新婦の考え方や家族との関わり方、新しく家庭を作ることへの価値観の変化….結婚式ほど、日本という国の特色を見て取れるイベントは他にないと思います。

昔の結婚式

昔の結婚式と聞いて思い浮かぶのは、花嫁さんが自分の自宅で支度をして、嫁いで行くスタイル。1960年代くらいまでは、これが主流であったようです。
というのも私の母が美容師でして、昔はヘアスタイルだけではなく、着物の着付けやメイクなど、花嫁さんのお支度が出来るのが美容師と呼ばれたそうです。昔の花嫁さんは、京都の舞妓さんのように「おしろい化粧」だったようで、美容師でなければ出来ないメイク術だったようですよ。今の美容師さんがメイクも勉強するのは、この名残なんでしょうかね。

母親が嫁いだ時代よりもずっと前の結婚式の原点は、花嫁が自宅から親族と共に行列を成して新郎の家まで歩いて行き、新郎の自宅で三三九度をして、披露宴をすることだったようです。披露宴は何日もかけて行う場合もあり、それだけ多くの人から祝ってもらえる家庭は豊かな家の象徴だったらしいです。

衣装にしても、和装で式を挙げる時は、打掛けと白無垢が定番ですが、これには理由があるんです。ご存知ですか?花嫁さんが新郎の家に辿り着くまでに寒くないように、考えられた衣装なんです。確かに、打掛けと呼ばれる着物の上に羽織るものは、内側に綿が入っているんですよね。ちゃんと意味があるんです。

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時代と共に変化する結婚式

いつの頃からか、芸能人の結婚式に影響され、メディアに煽られ、結婚式は流行に乗っかるようになりましたよね。バブルの頃は「ハデ婚」と呼ばれ、ウェディングケーキの高さを競ったり、花嫁さんのヴェールの長さを競ったり、ブーケもドレスが見えなくなる程の大きなブーケや床に着く位のキャスケードブーケだったり、開場にスモーク焚いたり、ゴンドラ乗ったりしてました(笑)

しかしバブルがはじけると、「地味婚」に移行して、一気に小規模なものへと変化していきました。花の業界でも、ブーケの大きさが一気に小さくなり、生花からプリザーブドや造花へと変化していきました。

そして今は、「オリジナル婚」や「家族婚」と言われています。親族とごく親しい友達だけでアットホームに行う式が多い為です。今の時代は家族のつながりが薄くなっているため、逆に結婚式で親族のつながりを今一度確かめるようなDVDやスピーチ、歌を披露することが増えていますね。

そして結婚式の意味も、派手婚と言われた時代は「ゴール」とみなされ、地味婚の今は「スタート」として認識されているようです。なので、これから苦楽を共にしていく新しい家族と、これまで繋がってきたお互いの家族との絆を確かめるような意味合いが、今の結婚式にはあるように思います。
その証拠に、昔は新郎新婦のご両親は、末席に座る事が常識でしたが、今は新郎新婦にもっとも近い席に座る事が多いですよ。

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家と家族と結婚式

なので、この流れで時代が進めば、原点だった自宅で花嫁支度をして、生まれ育った家から新しい家族が待つ家へ嫁いでいくスタイルが、近い将来主流になるのでは、と私は思っているんですよね。そうなると、家作りももっと意味のあるものへと変化していくと思うのです。

今でも、日本の一部の地域では、「お嫁入り」と呼ばれる行列をする昔ながらの結婚式スタイルがまだ残っているようです。日本全体でも1980年代くらいまでは、「結納」及び「結納返し」という儀式が結婚式の前に行われていました。いわゆる婚約です。目録と呼ばれる9品目と花嫁支度をしてもらう為の結納金を収めることが、両家の結びつきの儀式でした。結婚=入籍が主流となった昨今では、省略される傾向にあります。この結納も、従来は花嫁の自宅で行われていました。

こう考えると、家は家族の歴史であり、とても重要な役割を果たす場所でした。そしてこれまで、家を建てるのは生涯に1度だけの大イベントでもありました。
しかし、住宅事情はもうすでに変化の兆しを見せ始めています。DIYやリフォームが主流になり、古民家などの空き家が見直され、自分達の手で独自のスタイルを作っていく時代が来ています。ライフスタイルが異なる家族が一つ屋根の下に大勢で暮らすのではなく、ライフスタイルを同じくする、もう少し小さな集合体、あるいは高齢化を視野にいれたお一人様の暮らしに焦点を当てた家、いわゆるスモールハウスが主流になっていくでしょう。

それでいて、個々のスモールハウスが遠すぎない場所にヴィレッジのように点在して、必要な時には家族で助け合えるようなスタイルがあったり、花嫁さんが新郎の生まれ育った家へ嫁ぎ、新郎のご両親は今まで済んだ家をリフォームして、新郎新婦へ明け渡す、又はスモールハウスをご両親へプレゼントするなど、家族の生活を考えた家の在り方が見直されてくるのかなと思います。

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結婚式の新しい形

結婚式についても同様で、最近はホテルやレストランと言った、決まりきった場所ではなく、郊外の別荘地であったり、一軒家を貸し切ったり、ビルの屋上や橋の上、又は自然があるガーデンウェディングや海辺での結婚式、思い出の地や母校など、好きな場所で式を挙げたいと願う人が増えています。なので提供する側も、当然それが叶うような結婚式を作ろうという発想へ変わりつつあります。
ウェディングブーケや花装飾のみをオーダーして、結婚式場ではない場所を素敵にディスプレイして欲しいという方も最近は多くなってきました。

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YADOKARI 小屋部が提案する結婚式

YADOKARIサポーター内でも、「小屋部」なるものが発足しました。スモールハウスのきっかけとして、オシャレな小屋にこだわってみようというグループです。色々なロケーションにそれぞれの目的を持たせた小屋を作るべく、これまた色々な業種に携わるYADOKARIサポーター内のプロ集団が個々に得意分野を発揮して、今までにない小屋を作ろうという試み。
私も、これがウェディングに活用出来ないかと、建築士さん含む一部のYADOKARIサポーターメンバーと共に、試行錯誤しているところです。

好きな場所で結婚式が出来るような移動式で組立式、花装飾もありの今までにない素敵な結婚式小屋(?)を目指して、デザインを検討中です。部材などもなるべく廃材を利用して、エコに制作出来るといいかなと。
いずれ、形になると思いますよ。その際には、実際に結婚予定の方を一般募集して、ブライダルフェアのデモ的な事をやってみたいですね。

結婚式が場所を選ばなくなる時代は、もうそこまで来ています。一見、何の関わりもないように思える結婚式と家。でも、時代と共に変化していくのは、どちらも同じ。本来の意味が見直されて、それぞれの原点へと回帰していくような気がします。その時には、家の在り方も今とは全く違うものになっているでしょうけれど。

 

☆次回は「涼の花と水と住まい」です。

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YADOKARI「未来働き方会議」オープン!

下坂のり子プロフィールアイコン

Writer 下坂のり子

北海道釧路市出身。
20代はフラワースクールをハシゴ。
その後はアシスタント業に始まり、ひたすら修業の日々。
現在はインストラクターと専属デザイナーを兼務。
好きな物は、海、マイナスイオンたっぷりの緑、水の音、香り、ネコ、おすし。。癒してくれるものすべて。
趣味はスキューバダイビング。
フラワーデザインの種は、いつも自然の中で閃く。
だから時間を作って自然に会いに行くことを欠かさない。
未来の理想の住まいは、たくさんの閃きが降りてくる空間を持つ家。
海の上だったり、雲の上だったり、山の中だったり、自然と共存することが必須。
多拠点に目的別にスモールハウスを持つ未来に憧れてます。

FB:noriko.shimosaka
HP:Green Magic

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