世界の小さな住まい方

退屈しない刺激的な生活、崖っぷちの家「THE CLIFFTOP HOUSE IN BUCHUPUREO」

石井敦子プロフィールアイコン | 2014.9.12
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崖っぷちの人生もスリリングだが、この崖っぷちの家も大分スリルを味わえるのではないだろうか。
この断崖絶壁の斜面に建てられた家は、南米チリの中部に位置するビオビオ州の太平洋を望む山の上にある。突き出したデッキからは海を真下に見ることができ、まるで宙に浮いているような錯覚を覚える。

キャビンの定義のひとつは、簡単に入手できる材料から構築された単純な構造の小さな住居である。この家の建築家のアルバロ・ラミレスとクラリサ・エルトンはその定義に忠実な構造を設計し、しかもキャビンは、質素な形を超越している。それはまさしく、レオナルド・ダ・ヴィンチ言うところの「シンプルさこそが究極の洗練である」を具現化したものだ。

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キャビンはコンクリートの基礎ではなく、杭の土台に建てられた。そのために敷地への影響は最小限に抑えられ、水はけも良い。パイン木材が構造と仕上げの内部と外部共に使用されている。本来のキャビンは構造を隠すようなことはしないので、支柱や留め具などはむき出しのままにしてある。屋根は地元の伝統的な建築資材である、ラハストーンと呼ばれる平らな石で覆われ、上空から見るとあたりの景観に溶け込んで見える。

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広さは55平米で、二つのエリアに別れている。ひとつは社交の場として、もうひとつはプライベートなベッドルームやバスルームエリアとしてだ。ふたつのエリアは中央に位置する広いデッキでつながれている。デッキは廊下としての役割と共に、アウトドアのリビングルームとしても使われている。デッキは、海風から守られるように部分的におおわれている。

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このキャビンはチョウチョ式の屋根で、建物の前面と背面の壁が高く作られており、海に面した窓が高窓になっているため、とても眺めが良い。天井まで届く窓からは光がさんさんと差し込み、大きな窓からは広大な太平洋が見渡すことができ、空間の狭さを感じさせない。

リビングエリアはコンパクトながらも機能的な造りになっている。キッチンは山側の壁面に沿って設置されており、暖房としても使用できる薪ストーブが装備されている。
リビングのコーナーに設置されたベンチソファーは、ふかふかのクッションが敷かれ、ゲスト用のベッドとしても使用することができる。ゲストが多くてダイニングチェアが足りない場合でも、ダイニングテーブルをこのベンチソファーに移動して椅子として利用することで、大きなグループでも十分に対応ができる。決して広いスペースではないが、大きなグループでも十分に居心地良く過ごせるように考えられているところがいい。

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キャビンの残り半分のプライベートエリアであるベッドルームにも小さな薪ストーブが置かれており、寒い夜間には部屋を優しく温めてくれる。また、バスルームの大きな窓からは入浴中に太平洋が見渡せ、プライバシーを守りつつも開放的なバスタイムを堪能できる。

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簡素な造りと、シンプルさを追求したことにより、建築費用はたったの150万円。これによって、素敵な家だからといって必ずしも高い費用がかかるわけじゃないことを証明した。

とても開放的な家ではあるが、酔っぱらったり、寝ぼけ眼でこの家のデッキには出ないほうがよさそうだ。もし万が一にも招かれることがあった場合はご注意されたし。

Via:
http://smallhousebliss.com/
http://www.archdaily.com/
http://modresdes.blogspot.jp/

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石井敦子プロフィールアイコン

Writer 石井敦子

世界の小さな住まい方ライター担当。

1970年東京生まれ、鎌倉育ち。幼少から未知の世界を求めて三輪車で近所を徘徊。米国への留学をきっかけに徘徊の規模が世界へと広がる。好奇心旺盛で、異文化への興味は特に強い。お呼びがかかれば、インドの結婚式にも馳せ参じるフットワークの軽さと、虫以外はなんでも食べる食欲がウリ。異国の住民目線の生活を好むため、旅の手段も現地人の家に転がり込む居候型。世界中で家族を増やす計画を実行中。鎌倉在住。好きな言葉「Nothing is useless(人生に無駄な経験なし)」

TW:@azkoishii
HP:Nomad Azko的世界放浪

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