世界の小さな住まい方

まるで、おとぎの世界から飛び出てきたような小さなお家「Beetle House」

石井敦子プロフィールアイコン | 2014.9.15
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ちょっとダークなおとぎ話の中で、小柄な妖精か妖怪が住んでいそうな、小さなお家。なぜか暗い森の中ではなく、都会のど真ん中に出現した。

この家が展示されたのは、2010年にヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)で開催された「『1:1』 〜建築家が作る小さな空間〜 展」だ。建築展の場合、建築物のミニチュアモデルが写真やスケッチと一緒に展示されるのが常だ。そこをV&Aの企画では展示物と実物の比率が1:1、つまり実寸大の建築を体験出来るというコンセプトで開催された。

中世・ルネッサンス展示室の建物をつなぐ吹き抜けの空間で展示された、実に頼りない、ひょろひょろと華奢で長い四本足で支えられた小さな家。よく見ると、家の中央に、これまたほっそりとしたハシゴがかかっている。足元に注意しながら、登ってみると、どうやら期待していた妖精や妖怪が住んでいるわけではなさそうだ。

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外観はカブトムシのような真っ黒に炭化させた松の木が使われている。この処理により、雨や腐敗や虫などから木材を守り、建物の寿命が延びると同時に、独特な風合いがでる。一方、室内は白いモルタル壁に石や炭化させた木材で美しくかつシンプルに装飾されている。

実はこの家、日本人建築家、藤森照信が設計した、「カブトムシ」という名のついた茶室だった。この名前は、ずんぐりと真っ黒で足の細い見た目の建物がその由来である。茶室と言っても、いわゆる畳の茶室とは異なり、ずっと小ぶりで片方に椅子とストーブを設えた西洋文化を融合させたティールームだ。

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44歳で建築家としてデビューした藤森は言う。「私の作品で繰り返されるテーマは自然界と人類によって創造されたモノの関係性なのです。私は、木や土などの自然素材を家の建築に用いたり、建築物の中に植物を使うことでそれを表現しているのです。」

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また彼は続ける。「私が作品で表現したいものが、文明化以前の建築なんです。人々が当初どのように自然環境の中で過ごしていたかというのが、私の作品の中の最も重要な主題になっているのです。私たちの住む日常とはかけ離れた環境で、小さな暖炉の火を囲んでお茶を楽しむような空間をつくりたいと考えたのです。」

建築家の思いを具現化したような特別な空間ができたようだ。こんな空間でゆっくりとお茶を飲んだら、普段とは違うような斬新で自由なおしゃべりに興じることができそうではないだろうか。

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beatlehouse01
Via:
http://www.designboom.com/
http://weburbanist.com/
http://blog.thedpages.com/
http://architecturephoto.net/
http://column.madamefigaro.jp/
http://www.vam.ac.uk/
http://ja.wikipedia.org/

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石井敦子プロフィールアイコン

Writer 石井敦子

世界の小さな住まい方ライター担当。

1970年東京生まれ、鎌倉育ち。幼少から未知の世界を求めて三輪車で近所を徘徊。米国への留学をきっかけに徘徊の規模が世界へと広がる。好奇心旺盛で、異文化への興味は特に強い。お呼びがかかれば、インドの結婚式にも馳せ参じるフットワークの軽さと、虫以外はなんでも食べる食欲がウリ。異国の住民目線の生活を好むため、旅の手段も現地人の家に転がり込む居候型。世界中で家族を増やす計画を実行中。鎌倉在住。好きな言葉「Nothing is useless(人生に無駄な経験なし)」

TW:@azkoishii
HP:Nomad Azko的世界放浪

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