世界の小さな住まい方

生まれるもの、廃れゆくもの。時代と在り方を表現する「Many dreams」

YADOKARIプロフィールアイコン | 2014.10.5
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“Many dreams”はフランスのアーティストデュオ「martine feipel & jean bechameil」の作品である。ルクセンブルグの草原溢れる公園に存在し、風景の一部と化している。都市が、住宅が、時代とともに化石のようになっていくかのような雰囲気だ。

Many dreamsは、1960年代のフランスの建築に影響された“A Perfect World”という彼ら自身の作品と関連している。

1960年代、第二次世界大戦後のフランスでは、増加する移民対策としてバンリューと呼ばれる郊外に多くの団地を建設した。この団地は仮住まい用の簡素なもので、一時滞在用なので交通の便利性は考慮されず、都心部からは隔離されたような位置にあった。
1980年代以降、フランスの若い世代に失業率が増加し、特にバンリューに住む移民達には苦しい状況が続いた。そのような背景から、1990年代に入ると、バンリューは高い犯罪率やドラッグの取引などの巣窟となり、しだいに荒廃していく。

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A Perfect Worldは、その当時に建てられた集合都市をモチーフにしている。よく見ると、ところどころが風化して壊れており、時を経て崩れていくバンリューのコミュニティを表しているようだ。
1960年代、夢を抱いて他の国から移住してきた人々から見たバンリューは、移民にとって「ユ−トピア」だったに違いない。タイトルのA Perfect World(ある完璧な世界)とはなんとも皮肉が効いているではないか。

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“Many dreams”は、1950年代のトラックを再現したモニュメントだ。それは、フランスという新天地に夢を抱いて移住してくる移民が乗り込むトラックなのではないだろうか。
“Many dreams(多くの夢)”がたどり着く先は“A Perfect World(ある完璧な世界)”だった。だが、現実はどうだったのか?

ちなみにルクセンブルグでこういったものが展示されるのは初めてである。新しいものが生まれることや、かつてあったものが廃れることからは、時代の流れを感じ取れる。この作品が表現しているのは、時代の流れとそこでの「在り方」ひいては「暮らし方」なのだろう。

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Via:
http://www.archiduc.lu/
http://www.designboom.com/

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Writer YADOKARI

ミニマルライフ/多拠点居住/スモールハウス/モバイルハウスを通じ暮らし方の選択肢を増やし、「住」の視点から新たな豊かさを定義し発信します。暮らし方の選択肢を増やすことで、場所・時間・お金に縛られないライフスタイルを実現し、人生の満足度/幸福度を向上させます。

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