世界の小さな住まい方

老朽化の進んだ農家がシックで洗練された住居へと変貌を遂げた「Waltz House」

石井敦子プロフィールアイコン | 2014.10.22
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米国東部のペンシルバニア州にある都市、ピッツバーグ。その周辺にあるシャディサイドという名の緑豊かな通りは、かつて急成長を遂げた鉄鋼業界全盛期に建てられた邸宅とそこで働いていた労働者の慎ましやかな家々が多い地域でもある。

邸宅や労働者の家屋が多い地域において、ジェフ・ウォルツが内装を見ることなく、築140年の農家を購入したのは決して挑戦的だったからではない。購入当初、彼が内部に足を踏み入れると、家屋の乾燥による腐敗とカビが彼を出迎えた。そこは、決して趣のある場所などではなく、救いようがなかった。

当時カーネギーメロン大学で企業関係の部長を務め、現在グーグルで勤めるウォルツは言う。「購入を取りやめることまで考えたよ」

そんなときにウォルツが出会ったのが、ごま塩頭で愛想のよい建築家のハリー・レヴァインだった。彼はその家から1ブロック先に住んでいた。レヴァインはバー、レストランやカフェの設計の合間に、街で良く出会う仲間たちとのカジュアルなクラブハウスの設計なども行っていた。

ふたりは酒とカフェインを燃料に店のナプキンの裏にいろんな案を書き出した。さまざまな案が飛び交う中、二人がたどり着いたのが、見た目がまるでコンテナのようなこの家だった。建築家のレヴァインは言う「僕たちはこのピッツバーグの伝統でもあるスチールに敬意を払うことにしたんだ。」

もともとあった111平米のモルタルと自然石でできた農家をリサイクルのスチールとガラスを使い外壁を覆った。

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ふたりは、この家の主な装飾を「光と空気」と考えた。家の中央に大きく作られた窓から吹き抜けのダイニングルームに光が差し込んでいる。さらにその窓やキッチンとデッキの間に設置されたガレージシャッター窓は大きく開くため、土の匂いを含んだ外気が部屋に入り、常に空気を入れ替えてくれる。

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家のあちこちに開かれた窓からは光や風だけでなく、外の美しい木々も見渡せる。日中はまるで外にいるような解放感だ。夜になると、この家自体が巨大なランタンのように街路を照らす。

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中央にしつらえた階段を背にした背の低い壁面には通気孔暖炉が設置されている。吹き抜けになったその部屋はダイニングルームとして使われており、大きなダイニングテーブルとイスが置かれている。

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この家は巨大なワンルームのようになっており、仕切りの壁がない。というわけで同じ一階にあるキッチンとリビングもひと続きになっている。それぞれキッチンとリビングの外にはデッキがあり、柵に併せてベンチが設えている。1階のベーシックな白いホーム・デポのキッチンはステンレス製で清潔感があり、同時に機能的でスッキリしている。

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2階には書斎とベッドルームがある。二つの部屋を隔てる壁の代わりに空間があり、それぞれの部屋はキャットウォークでつながっている。

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予算は当初15万ドルを予定していたが、最終的には23万ドルまで膨れ上がった。それでもふたりの理想はかなえられたようだ。

Via:
dwell.com
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manwithcamera.com

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石井敦子プロフィールアイコン

Writer 石井敦子

世界の小さな住まい方ライター担当。

1970年東京生まれ、鎌倉育ち。幼少から未知の世界を求めて三輪車で近所を徘徊。米国への留学をきっかけに徘徊の規模が世界へと広がる。好奇心旺盛で、異文化への興味は特に強い。お呼びがかかれば、インドの結婚式にも馳せ参じるフットワークの軽さと、虫以外はなんでも食べる食欲がウリ。異国の住民目線の生活を好むため、旅の手段も現地人の家に転がり込む居候型。世界中で家族を増やす計画を実行中。鎌倉在住。好きな言葉「Nothing is useless(人生に無駄な経験なし)」

TW:@azkoishii
HP:Nomad Azko的世界放浪

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