どこを見ているの?人間味を感じるスモールハウス「Ephemeral Gallery」

今回紹介する建物をデザインしたのは、「GILLOT+GIVRY」の2人の建築家である。彼らのデザインする建築物は、どれも芸術性を帯びており、人々の五感を刺激してくれる。自然、歴史、文化の秩序を乱す事なく、デザインされている新しいアート作品のようだ。
そんな彼らの建物の中で、今回紹介するのは、フランス・ジェールの田舎の草原の中にある建物だ。

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外側からその建物を見ると、建築物だとは思えない簡素でシンプルなものである。人の目をどこか気にするのか、その姿は寂しそうに見えてしまう。
なぜだろう?屋根の片側が上がっている。上部が斜めになっており、建物それ自体が身を乗り出し、どこか遠くを見つめているように見える。そのデザインが、この建物に人間味を感じさせてくれる。
足下を見てみよう。木の支柱が4本出ており、まるで生き物の足のようだ。主張をするのでもなく、謙虚に佇む様子が、逆に存在感を際立たせている。もしこの建物が生きていたなら、短い足を使ってチョコチョコ動く姿が見られそうである。そんなことを想像すると笑みが溢れてしまいそうだ。

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明かりが無い夜に、ここを見に行こう。暗闇の中から建物の形に光が漏れている。その扉は、別の世界へ行ける入り口のようだ。夜になっても、その存在感は少しもなくならない。むしろ、昼間にあった謙虚さがなくなり、強く自己主張をしている。人々はその光に魅せられて引き寄せられてしまうことだろう。

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作りは至ってシンプルで、6枚の板を、ただ繋ぎ合わせて出来ている。内装は飾り気が無い空間があるだけ。凝ったデザインをしているわけでもないのに、どこか魅力が溢れている。シンプルがベストだと感じてしまうデザイン。極力部材を省いたシンプルな作りのおかげで、どこへでも運ぶ事ができる。並木道に置かれたり、草原の上に置かれたり。この建物はどこへだって行ける。
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異質な物がそこに存在する。違和感がありながらも、この建物の存在する力は大きい。その土地に溶け込み、新しい風景を作る「Ephemeral Gallery」。
「GILLOT+GIVRY」。彼らがデザインする建築物は、人々の心を新しい世界へと連れて行ってくれる力を持っている。

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Via:ideasgn.com