世界の小さな住まい方

地中に潜り、庭の芝生と一体化するアトリエ「Atlier of Pam & Jenny」

石井敦子プロフィールアイコン | 2015.2.25
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ベルギーのブリュッセルを拠点にして活躍する1’Escaut(レスコー)は複数の建築家たちが活躍する建築組合だ。彼らは、建築、空間演出や都市計画などを手掛けている。

2008年にレスコーがナタリーとローレンス夫妻のために手がけたアトリエが、ベルギーのブリュッセル首都圏地域のイクルにある。イクルは緑が多く裕福な地域として知られている。彼らが購入した土地は緑豊かな住宅地でその土地を生かした家を建築したのが、この家の前身となるプロジェクトだ。

2008年から数年後、グラフィックデザイナーでもあるナタリーが、新たに彼女のワークショップスペースをレスコーに依頼した。彼女の夢は自宅の庭を創作の場とすることだった。しかしすでにある家や庭の景観はそのままで十分美しかったので、なるべくそれを壊さずに新たな建物をつくる必要があった。

「Atlier of Pam & Jenny」は、その難しい課題に取り組んだ結果生まれたアトリエである。
どのようなデザインにするかはいくつか試行錯誤があったものの、最終的には、屋根の水位がデザインの決め手となった。

地下の容積や日照条件、景観など、軍事レベルに匹敵する精密さで行われた測定により、彼らは居心地の良い空間をつくるために必要な条件を調べ上げた。その結果、建屋の2/3が斜面に潜ることになった。

アトリエの片側は外に向かって開かれている。大きな窓からは明るい陽射しが屋内に差し込んでいて、窓からは庭の眺めも堪能できる。滑らかな緑のスロープと長方形のワークショップの建物の間には、英国のような階段のある中庭が設けられ、その対面にはコンクリートで作られた備え付けのベンチがあるので、ここに坐って庭の中に佇むのも悪くない。

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母屋からは建屋は庭の一部にしか見えない。屋根は庭に植えてある芝生と同じものが植えられ、それがカモフラージュとなって庭の風景に完全に調和して溶け込んでいる。

また、傾斜を生かして、建屋の屋根は通常では考えられないほど低く設置されているので、母屋からの視界を遮ることはない。母屋からは一見、木製の花壇のようにしか見えないだろう。

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室内を見てみよう。窓の前には施主の要望であるワークショップ用の大きなテーブルが置かれている。テーブルの横には薪ストーブが設置されており、寒い冬には部屋を柔らかく温めてくれるだろう。また部屋の奥には明り取りのための窓が天井に設置されており、室内に太陽の光が差し込むようになっていて、部屋の壁、天井、テーブルはすべて同じ素材の合板が使われ統一感がある。

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このアトリエは構想から建築まで4年。2014年に完成したばかりだそうだ。費用は約1,050万円(2015年2月)だった。
長年の夢の叶ったナタリーは、これからどんな素晴らしいデザインを世に出していくのだろう。彼女のデザイン事務所のウェブサイトはこちらにあるので、活躍を是非チェックしてみてはいかがだろう。pametjenny.be

Via:
inhabitat.com
escaut.org
pametjenny.be

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石井敦子プロフィールアイコン

Writer 石井敦子

世界の小さな住まい方ライター担当。

1970年東京生まれ、鎌倉育ち。幼少から未知の世界を求めて三輪車で近所を徘徊。米国への留学をきっかけに徘徊の規模が世界へと広がる。好奇心旺盛で、異文化への興味は特に強い。お呼びがかかれば、インドの結婚式にも馳せ参じるフットワークの軽さと、虫以外はなんでも食べる食欲がウリ。異国の住民目線の生活を好むため、旅の手段も現地人の家に転がり込む居候型。世界中で家族を増やす計画を実行中。鎌倉在住。好きな言葉「Nothing is useless(人生に無駄な経験なし)」

TW:@azkoishii
HP:Nomad Azko的世界放浪

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