世界の小さな住まい方

15㎡の家に赤ちゃんがやってきた!あたたかな生活感に満ちた家「A Tiny house with a new baby」

伊藤 愛プロフィールアイコン | 2015.3.2
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未来住まい方会議では、以前にニュージーランドの西オークランドで15㎡のトレーラーハウスをセルフビルドした若い夫婦の動画をご紹介しました。その動画の撮影から一年がたち、二人の住む小さなトレーラーハウスに女の子の赤ちゃんが誕生します。今日はHazelと名付けられた赤ちゃんと暮らすタイニーハウスの現在を皆さんにご紹介したいと思います。

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明るい日差しが降り注ぐ気持ちのいいウッドデッキのポーチ。そこから両開きのドアを開けた正面にあるのが2.4mの奥行きを無駄なく利用したL字型のラウンジコーナー。一年前には何もなかった窓周りにも、いつの間にか植物の柄のカーテンが吊り下げられ、住人のセンスを感じさせる雑貨や素朴な野の花があたたかな生活感を感じさせます。

リビングと表現するにはコンパクト過ぎるこのラウンジですが、ソファーとセットのように考えがちなテレビや暖炉などの形式的な飾りがないことで、最大で6人の大人がゆったりと腰かけられるゆとりのスペースになっています。ロフトへの階段とアームチェアもフル活用すると、家族や遊びに訪れるゲストとのコミュニケーションを楽しむ場として、充分にその役割を果たしてくれるでしょう。

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そのラウンジコーナーの左手には高い天井高を活かしたロフトに上る階段収納があり、ロフトにはクイーンサイズのマットレスとHazelちゃんの籠が置かれています。どこにも逃げ場のない小さな家のこと、Hazelちゃんが生まれて数週間は夫婦で夜泣きに悩まされたと笑います。しかし大きな家に暮らしていても赤ちゃんと同じ部屋で寝るのだから結局は同じこと、とママになったShayeさんは気にも留めない様子。むしろ小さな家ならではの密な家族のふれあいを心から楽しんでいるようです。

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赤ちゃんが一人増えると二人暮らしの時と比べて物の量も飛躍的に増えてしまいそうですが、この家では収納についての不満は少しも聞こえてきません。ラウンジの天井付近に取り付けた小さなロフトにはクーハンやチャイルドシートなどの場所を取る赤ちゃん用品を保管。ラウンジのカウチ下に造りつけた引き出しやロフトの階段下には衣類や靴の収納を「たくさん」確保しました。そのおかげで、玄関横の窓とキッチンの窓に挟まれた中途半端なスペースに、家で仕事をすることもあるShayeさん念願のPCコーナーが設置されました。

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この家に住む以前は今の4倍以上の広さのワンルームを借りていた二人。それにも関わらず当時のキッチンは使いづらく、今よりもずっと小さく感じられたそう。現在のキッチンも面積は決して広いとは言えませんが、木製のカウンターを通常よりも10センチ短くすることで動線にゆとりをもたせ、壁の厚みを利用してメイソンジャーがぴったり収まるオープン収納を造りつけるなど、狭さを克服する知恵のおかげで使い勝手は上々のようです。

全ての物に目が届いて使いやすいとShayeさんが絶賛するペパーミントグリーンのオープン収納と、コンロに置かれた鋳物の鍋やケトルの赤がアクセントになって、ちょっぴりレトロな雰囲気が楽しい明るいキッチンに仕上がりました。

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また、小さな子供のパパとママは家では子供からなかなか目が離せません。その点こんな見通しの良いキッチンやリビングなら子供が何をしているのかが一目瞭然です。物をひっぱり出していたずらをしたり、つかまり立ちや歩き始めの頃には色々と対策が必要になりそうですが、我が子を探し回ったり追いかけ回したりして夫婦で疲労困憊、という心配はこの家ではなさそうです。

この明るいキッチンの出窓から見える立派な家庭菜園の水やりは、キッチンやシャワーの排水を地下のパイプから流し、畑をぐるりと囲むように掘られたうねを通って再利用しています。そのおかげで水やりに使用する水の量が少なく済んでいる模様。もちろん排水にも気を配り、使用する洗剤は主にお湯や重曹、エコソープなど環境に配慮したものを使っています。キッチンの窓から直接生ごみを投げ入れるワイルドなシューターで作った堆肥のおかげもあってか、以前の記事の画像ではまばらだった畑の植栽も、今では見事な菜園へと変化を遂げています。

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さらに今回の新しい動画では全部で約3万㎡(!)という夫婦の敷地の一画にある、かわいい鶏小屋が紹介されています。夫婦のタイニーハウスと同じく若草色に塗られた鶏小屋では毎朝5個ほどの卵が収穫できるそう。大抵の人は親になると子供への影響を考えて以前より農薬や添加物という言葉に敏感になるもの。Shaye さんとTomさんのように、自分たちの食べ物がどのように出来ているかを身近に見ることができるのは、とても理想的なことだと言えるかもしれません。

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「豊かになるには二つの方法がある。一つは物質的に豊かになること、もう一つは多くを望まないこと」。Jackie French Kollerという女性の有名な言葉だそうですが、一年をタイニーハウスで過ごしてみて、後者はここでの暮らしそのものだとShayeさんは語ります。多くを望まなければ沢山のお金は必要ない。沢山のお金が必要なければ今よりも仕事に割く時間を少なくできる。そして本当に好きなことに、より多くの時間をかけることができるようになるのだと。

実際二人ともここで暮らすようになってからShayeさんは過食症に悩む人たちのアドバイザーとして活動し、Tomさんは自然素材を使った工法のビルダーとして現在も学び続けています。これまでの専門分野を生かせば金銭的にはもっと豊かになれるかもしれないけれど、タイニーハウスに住むことで生活に必要なお金が少なく済むようになった今、やりたい仕事で得られるお金で充分過ぎる程だとShayeさんは言います。

現在は好きな仕事の傍ら、たくさんの仲間も交えて同じ敷地内に今よりも少しだけ大きな25㎡のストローベイル(藁)ハウスを建築中の二人。彼らのFacebookを見ると、その完成も間近になってきたようです。

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もしかしたら将来的には今のタイニーハウスはHazelちゃんの秘密基地になるのかもしれません。豊かな自然の中で少女が小路を通りながら母屋と若草色の小さなおうちを行き来する。鶏を追いかけて遊び、パパとママにナイショで畑の野菜をかじる。野に咲く花を摘み、花の冠を編む…。あと少ししたら、そんな牧歌的な光景がここで毎日見られることでしょう。このような素晴らしい環境で育った少女は一体どんな大人になるのでしょうか?ストローベイルハウスの進捗とともに、彼らの愛らしいベビーの成長がとても楽しみです。

(文=伊藤愛)

Via:
livingbiginatinyhouse.com
diyhousebuilding.com
facebook.com/diyhousebuilding
hgtv.ca

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YADOKARI「未来働き方会議」オープン!

伊藤 愛プロフィールアイコン

Writer 伊藤 愛

1975年、北海道羊蹄山麓の雪深い町に生まれる。
半ミニマリスト的生活を送る中で小さな家に興味を抱く。
元々美しい家やインテリアが三度の飯よりも好き。

学生時代訪れたイギリスで古い建築が市井の人々の生活の場として機能していることに感銘を受ける。
そのノリで札幌市郊外の中古住宅に住み、真夜中に突如思いつきで家のペイントを始める「ゲリラ的DIY」を敢行するも、
往々にしてあまりに微妙過ぎて家族にも気付かれていない。

そんな生活から一変、降って湧いた引っ越しで持ち家や車を手放すと、人生一度きりという言葉がリアルに迫ってきた。
今では美しい風景を求めて旅に出たいとウズウズする毎日。

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