電気・水道を自分でまかなえる、完全オフグリッドのタイニーハウス「The Matchbox 」
近年アメリカでは「タイニーハウス」が著しい進化を見せている。タイニーハウスは「小さな家に住む」という概念だけでなく、普通の家よりも住まいに関わる出費が押さえられる点や、そして何より環境に優しい家作りという点で人気がある。小さなスペースをどうやって広く見せるか、住む家をどれだけエコフレンドリーにできるか ──そういった好奇心や未知への挑戦が、人々をタイニーハウスに向かわせるのかもしれない。
アメリカの首都ワシントンD.C.に建てられた「The Matchbox」は、他のタイニーハウスとは少し違う。それは、このタイニーハウスが「完全オフグリッド式」で建てられた建物だからだ。
Boneyard Studiosにある、他のタイニーハウスと一緒に
名は体を表すというように、The Matchboxは総面積約13㎡の、マッチの箱のような長方形の建物だ。このタイニーハウスは、タイニーハウスのコミュニティー「Boneyard Studios」の設立者の一人であるJay Austinさんがデザインし、2013年に完成した。
外壁にはベイスギを使用し、 風雨に強く耐火性もあり、更に虫除け効果が出るという、日本の伝統的な焼杉板の手法を取り入れた。
屋根の角度は、雨が降った時に雨どいに水が流れるように計算されている。雨どいに集められた雨水は、家の下に設置されたタンク(364Lのものが3つ)に貯められ、主にシャワーや食器を洗う際に利用される。
使用した雨水も一切無駄にしない。使い終わった雨水も集め、再利用できるだけ利用することにしているそうだ。ちなみに、電気はソーラー発電で全て賄っており、調理は電気調理器を使用するのでガスは一切必要ない。
The Matchboxの内部は、オープンフロアになっていて、小さいながらも広く使えるように、そこかしこに工夫がなされている。入り口を入ると両端にベンチが取り付けられているが、必要ない時に折りたためば、自転車などを置くスペースに使えるのだ。
入り口を進むと、両側にそれぞれ、キッチンと食事ができるカウンターが備え付けられている。実は、このキッチンの蛇口には水を出すハンドルがついていない。その代わりにフットペダルがついていて、このペダルを踏めば必要な分だけ出せるので、水を無駄に使うことがない。
キッチンの奥には、シャワーとトイレが一緒になったスペースが設置されている。シャワーの後ろにあるトイレはコンポストトイレ(バイオトイレ)で、後から堆肥として使用できるようになっている。
バスルームの上には中2階として寝室が設置されている。他にもマグネットや棚を壁に取り付けたり、小さいスペースながら収納庫までついていたり、収納の仕方にもあちこち工夫が見られる。上下の空間も無駄にしないのが、タイニーハウスの基本だ。
デザインしたJay AustinさんとThe Matchbox
本ウェブサイトでも、数多くのタイニーハウスを紹介したが、ここまで全てをオフグリッドで賄えるタイニーハウスはあっただろうか。生活に必要な物が全部揃ったThe Matchboxは、これこそ究極の豊かな暮らしができる未来の形なのかもしれない。
Via:
boneyardstudios.org
gizmag.com
tinyhousegiantjourney.com