世界の小さな住まい方

壊されつつある風景をフィルムに残す、アメリカ各地の小さな東屋「The Last Stop」

前橋史子プロフィールアイコン | 2015.4.29
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アメリカのテキサス州オースティンに、Ryann Fordという女性の写真家がいます。彼女は、アメリカ各地に残る古い東屋の写真を撮り、The Last Stopという1冊の本にまとめようとしています。

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このプロジェクトが始まるきっかけとなったのは、約7年前、Ryannがカリフォルニアからテキサスに引っ越してきた頃に目にした、1つの東屋でした。日本でも大きい公園などで見ることができますが、テーブルとベンチと、それを雨から守る屋根からなるちょっとした東屋の佇まいが、彼女の心を掴んだのです。

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これらの東屋は、現在、徐々に取り壊されつつあります。道路を整備する予算がどんどん削られているという現実もありますが、それよりも、ファーストフード店やファミリーレストランの台頭の影響が大きいようです。ただテーブルとベンチと屋根だけが置かれた東屋よりも、人々は低価格でどこでも同じクオリティの食事をとることができる飲食店に魅力を感じるようです。

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「こんなに風情があって、人の心を掴む東屋をなくしてしまうのは惜しい。」そう思った彼女は、取り壊されてしまう前に、できる限り多くの東屋を写真に残そうと決めました。住んでいるテキサス州だけでなく、アメリカ全土に渡ってです。彼女は広いアメリカの大地を車で旅し、さまざまな場所にちらばる東屋の写真を撮りためていきました。

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そして去年、Kickstarterを通して資金を集めることに成功し、The Last Stopという写真集を作ることが決定しました。この本は、約100ページからなり、75枚の写真から構成される予定のようです。
その写真全てが、東屋の写真。日本で東屋というと、木製のテーブルセットに、丸太でできた屋根を想像しますが、アメリカのものは多岐にわたっています。木製のものが多い事に変わりはありませんが、石造りだったり、テントが張ってあったりと、素材は様々です。

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その写真をみると、東屋には、チェーンの飲食店にはない魅力が、たくさんつまっているように見えます。その土地にあった素材を使用しているため、1つとして同じものはありません。建物や気候が違えば、もちろんそこで起こる体験も違ってきます。また、ここでは1グループにつき1席ではなく、集まった人々でテーブルやベンチを共有します。そこには、長旅の魅力の一つである人との出会いがあります。旅の思い出やエピソードを共有すれば、きっと、すぐに打ち解けて楽しく豊かな時間を過ごせることでしょう。

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昔ながらの東屋がなくなって、新しいチェーンの飲食店ができる。もちろん便利にはなりますが、均一化によって個性が失われ、その土地その土地の魅力がなくなってしまうかもしれません。その土地の気候や歴史を反映し、行き交う人々に、少しの休息と楽しい時間を提供してくれた東屋。そこには、東屋にしかない魅力が、たくさん詰まっています。

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Via:
blog.gessato.com
kickstarter.com

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前橋史子プロフィールアイコン

Writer 前橋史子

青森生まれ、神奈川在住。津軽弁と英語とちょっとだけ標準語が得意。デザインの仕事をする中で自分の生活がなんだかよくわからなくなったため、”豊かにくらす”ことの答えを見つけるべく、日々模索中。主婦業をしながら、地元の野菜を販売したり、珈琲を提供したり、写真を撮ったり、ものを書いたりする生活を送る。NYに住んでいた頃にはまったビールと珈琲が大好きで、夢はいろんな人に美味しい珈琲とビールを届けられる場所を創ること。

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