世界の小さな住まい方

ファッションフォトグラファーと週末農園「Westwindリンゴ園」

那須崇利プロフィールアイコン | 2015.5.3
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ウィークデーのスタジオでVictoria’s Secretの撮影を行う写真家は、週末の農園でブーツを履いて泥だらけになり、リンゴの木々を育てている。

2002年、米国のファッションフォトグラファーのFabio Chizzolaさんは、ファッションスタイリストをしている妻のLaura Ferraraさんとともに、キャッツキル山地で週末を過ごせる場所を探していた。そして、ニューヨーク州の郊外に32エーカーのリンゴ農園を見つけた。偶然見つけたその農園は、Chizzolaさんにとって新たに情熱を注ぐことになる運命の場所となる。

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そこには、1770年代にオランダ移民の建てた古い石造の農家が建つ。天井は低く、梁には、切り出した丸太がそのまま使われている。キッチンの窓からは、石垣に囲まれた広大な庭を見渡すことができる。イタリア出身のChizzolaさんは、古く懐かしい故郷の匂いを感じるそうだ。
Chizzolaさんは、ローマに暮らしていた4歳の頃、夏にはローマを離れ、家族でイタリアの山地で過ごすようになった。彼が12歳になったとき、父は半エーカーの土地を耕し、トマト、さやえんどう、たまねぎ、ジャガイモを育てた。しかし、若きChizzolaさんは、農業よりもサッカーや自転車、女の子のほうに興味が向いていた。そんな彼が大人になって、ニューヨークに渡ってから、農業に熱中し始めたのだ。

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彼らは、当初、週末に過ごすこの土地を、地元の農家に貸し出す予定だった。しかし、前のオーナーが、何年も農園を放置し過ぎていたため、リンゴを育てるには樹木は大きくなり過ぎ、伸びきった枝は地面に垂れ下がっていた。そこで、彼らは近所の農家の指導を得て、自分たちで枝を打ち、農園を整備することにした。
彼らは週末をリンゴ園で過ごしたが、何週間も農園整備の作業に追われ続けた。そのたびに、彼らの息子のMatteoさんは、車のバックシートから、土地を売ってしまうように訴えつづけていた。それでも作業を続けていくごとに、農園の姿は次第によくなっていった。

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2007年には、果樹園の75%を耕し、枯れた樹木700本のうち400本を切り終えた。2008年には、彼らは最初のリンゴを収穫した。大いなる収穫だった。
農園の名は、「Westwindリンゴ園」と名づけた。それは、偶然見つけた古い封筒に由来する。そこには家の住所と農園の名が印字されていた。かつての農園名を復活させたのだ。
2009年には、南北戦争前に建てられた納屋を土地の中心の道路脇に移動し、ロフトスペースを設け、二つの大きなスライドドアを設けた。収穫したリンゴは、納屋のキッチンでジャムとアップルソースに加工される。
現在、彼らは、週に3日は農園で過ごし、リンゴやカボチャ、ジャム、アップルソース、蜂蜜を販売するようになり、農園は、有機農園として公認されるようになった。

あるとき、古い写真機材を敷地の納屋で発見した。以前の持ち主について調べたところ、その機材は、Chester Kohnという、フィラデルフィアに暮らしていた人のもので、1930年代に余暇をこの地で過ごし、農園を耕していたようだ。Chester Kohnは、彼が亡くなる1970年代まで農場を所有していた。ファッションフォトグラファーであるChizzolaさんにとっては、この農園に対する運命的な出会いをより深めるものとなった。

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12歳の息子のMatteoさんは、リンゴ園で過ごす時間から、農業に対する感謝の気持ちと食べ物がやってくる場所を学ぶことができたそうだ。
古い農園を育て、復活させる。そんな週末の過ごし方は、大きな苦労と共に、喜びも大きいようだ。

Via:nytimes.com

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那須崇利プロフィールアイコン

Writer 那須崇利

世界の小さな住まい方ライター担当。

身長150㎝の頃から、180㎝になる頃まで、チェコ共和国プラハで育つ。
現在は東京都世田谷区在住。
自転車便メッセンジャーをやっていたが、タクシーに轢かれる。その後、構造設計事務所で建材開発に携わるが、リーマンショックで失業する。派遣社員として、住宅メーカーのBIM開発部門に入る。 現在、総合建設会社にてBIM職人および模型職人として、建築を楽しんでいる。将来は、SIなどの建築生産システムに関するイノベーターでありたいと考えている。
躯体や設備など「スケルトン・サポート(S)」を建設会社が、内部空間など「インフィル(I)」を自動車メーカーやハウスメーカーが、提供するようなイメージなど如何でしょうか。

FB:那須 崇利
HP:poetic systems

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