世界の小さな住まい方

好きな物に囲まれて、好きな仕事をして暮らす。「Lily’s Tiny Trailer」

伊藤 愛プロフィールアイコン | 2015.5.17
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「お給料は少ないわ。もっとお金を稼ごうと思ったら出来るとは思うけど。でも30年の住宅ローンのために、週に40時間も働こうと思えないの」。そんなことをさらりと口にするLily Duvalさんのおうち、いえ、法的には「トレーラーの積荷」の広さは14㎡。扉の先に広がる、アンティークと本で満たされたLilyさんの博覧会的小宇宙、あなたも覗いてみたくはありませんか?

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自分の好きに忠実に~選んだのは趣味と四足のわらじ生活

好きな物に囲まれて、好きな仕事をして暮らす。そんな夢のようなライフスタイルを若くして謳歌しているのはニュージーランドのクライストチャーチに住むLily Duvalさん。けれど彼女が今の生活を選んだ理由は特別なものではありませんでした。

「住宅ローンを背負うって考えただけで恐ろしい」という庶民的な感覚と、山歩きやガーデニング、アートや服作りなど、自分の好きなことに没頭する時間と空間が欲しかったからでした。オンタイムは友人のオーガニックファームで働いたり、英語の家庭教師をしたりと、楽しんで取り組める仕事だけを四つ掛け持ちして生計を立てているそうです。

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物が多くたっていい、主の顔が見える家

そんなLilyさんの自由な暮らしを支える家の広さはわずか14㎡。ご近所と共有する土地の一画に建ち、広さはニュージーランドの一般的な住宅のおよそ十分の一の小さな家です。本棚やキッチンにところ狭しと飾られた小さな雑貨は、リサイクルやビンテージショップ巡りが好きだと微笑むLilyさんの大事なお宝です。

DIYしたブックシェルフに整然と並べられたペーパーバックも、愛着がある分引っ越しで減らすのにとても苦労したと言います。タイニーハウスというと比較的スッキリしたお宅が多い中、Lilyさんの好きが沢山詰まったこの家は、何かを収集した経験のある人にとって、この上もなくリラックスできる空間なのではないでしょうか。

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家のディティールのひとつひとつもLilyさんの愛するレトロでちょっぴり不思議な世界観を感じるものばかり。バスルームには亜鉛メッキのバスタブを取り付け、シャワーにはネットオークションで手に入れた『ワンちゃんを洗うのに最適(!)』なゴールドのクラシカルなタイプを選びました。毎日必ず目にするエントランスのドアには、一番の贅沢として大好きなステンドグラスをはめ込みました。

冷蔵庫以外はソーラーパネルで電気をまかない、寒い季節は拾ってきた薪をくべて小さなストーブで暖を取る。テレビはないけれど、大切にしてきた沢山の本に囲まれて、ガーデニングの時期が過ぎても退屈とは無縁でいられそう。

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コストダウンのコツは自分事にしないこと

自分の服も手作りするほど器用なLilyさんも、本棚を一度作ったことがあるだけで、本格的なDIYは実はこの家が初めてでした。あえて困難な状況に身を置くことは自分の人生の戦略と言う彼女、周囲の人にトレーラーハウスを建てることを宣言し、トレーラーを買ってしまうと、もう後には引けません。

しかし始めたばかりの頃は、予想以上にハードな作業に思わず泣きそうになってしまったことも。分からないことが多すぎて、金物屋さんにも何度も足を運びました。大きな壁を一人で持ち上げようとして頭を強打し、駆けつけた友人たちに助けられたこともあったそうです。

もちろん大変なことばかりあったわけではありません。Lilyさんが家のDIYを公言していたことで、彼女の元には無料の資材や廃材、格安の在庫品が集まりました。そのお陰で材料費は随分と安く抑えることができたと言います。屋根を上げる作業を手伝う元ビルダーの男性と知己になったことも幸運でした。結局トレーラー本体の8000ドルを含めても、かかった費用は全部で35000ドル、工期も三か月半と、Lilyさんは新車を購入するような金額で夢のお城を手に入れることができたのです。

「好きなこと」+「身軽さ」=ワガママ?

好きなことだけをする暮らしというと、いいなぁと憧れる反面、遺伝子レベルで勤勉さが組み込まれているかの様な日本人の性格上、それって邪道じゃないの?と、自分の欲求に自らブレーキを踏んでしまいがち。そんな迷いから精神的にも金銭的にも解放させてくれるのが、小さな家での小さな暮らしのメリットなのかもしれません。一足お先に理想のライフスタイルを手にしたLilyさん、カップ片手に窓のソファーに沈み込み、今宵どんな創造の世界へと旅立っているのでしょうか?

Via:
nzhouseandgarden.co.nz
stuff.co.nz
stuff.co.nz/life-style
radionz.co.nz
homecrux.com

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YADOKARI「未来働き方会議」オープン!

伊藤 愛プロフィールアイコン

Writer 伊藤 愛

1975年、北海道羊蹄山麓の雪深い町に生まれる。
半ミニマリスト的生活を送る中で小さな家に興味を抱く。
元々美しい家やインテリアが三度の飯よりも好き。

学生時代訪れたイギリスで古い建築が市井の人々の生活の場として機能していることに感銘を受ける。
そのノリで札幌市郊外の中古住宅に住み、真夜中に突如思いつきで家のペイントを始める「ゲリラ的DIY」を敢行するも、
往々にしてあまりに微妙過ぎて家族にも気付かれていない。

そんな生活から一変、降って湧いた引っ越しで持ち家や車を手放すと、人生一度きりという言葉がリアルに迫ってきた。
今では美しい風景を求めて旅に出たいとウズウズする毎日。

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