今日はどこで過ごす?小さな部屋と中庭が集まって出来た家「SaigonHouse」

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Via:archdaily.com

沢山の家がひしめく都心部。狭い土地しかなくても、明るい空の下のびのび好きなように暮らしたい……。そんな思いを叶えるようなこの家は、古い街の路地からヒントを得た、細やかな設計から生まれました。

ベトナムの首都ホーチミン。多くの人で賑わい、活気に溢れる通りに、すっと添うように建っている家。ここが今回ご紹介する「SaigonHouse」です。

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一見背の高い一つの建物に見えますが、ドアを開けた先には高く空に抜けた中庭と、小さな家型の部屋が現れ、不思議な光景が広がっています。各部屋は左右の壁に支えられながら壁付きの階段で上下につながっており、間口の狭い土地ながら、伸びやかな空間が形づくられています。閉じた部屋だけでなく、ところどころにオープンな場も設けられており、様々な楽しみ方が出来るようになっています。

家の正面入口の上には、金物で作られたスクリーンが取り付けられています。この繊細な金物細工が、家のファサードになっていると共に、この家に住む住人のプライバシーを外の視線から保護しています。また、内部に小さな部屋をいくつも設けることで、狭い敷地ながら、7人もの子どものいる大家族それぞれのプライバシーも守ってくれています。

設計者のa21スタジオは、長く間口の狭い敷地をおおいに生かすと共に、デザインを考えるためのヒントの多くを街の中から得て設計したそうです。

彼らは自身のサイトでこう語っています。「サイゴンは急速な変化によって、街の文化や、付随する美しい思い出が破壊されています。それらは都市の開発では容易に取り戻すことはできません。この建築は、以前のサイゴンの路地にインスピレーションを受けて設計されています。」

狭い間口に奥行きの長い土地、そして中庭。この家から日本の町屋を思い出した方もいるのではないでしょうか。
小さな場所を最大限生かして暮らしていた時代。都市化が進むまちの中で、そうした細やかな暮らしに思いを馳せるのは、日本でも他国でも変わらないのかもしれません。サイゴンハウスのような家が増えていけば、暮らしの見え方や幅がもっと広がりそうですね。

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(文=ワキモトナツミ)

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