何もしない贅沢を知る、大人の小さな湖畔の別荘「A Larch Holiday Cottage by the Lake」

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年齢を重ねないとわからない贅沢(ぜいたく)があるとすれば、「何もしない贅沢」もそのうちのひとつでしょう。ハンガリーの静かな湖畔の別荘は、何もしない贅沢を享受するとっておきの場所。心を無にして瞑想したり、物思いにふけるための居場所があちらにも、こちらにも。そこにとびきり素敵なコテージがあったなら、これを贅沢と言わずして何と言うのでしょうか?

ハンガリー北西部、カプバールという街の湖に、カラマツの外壁に包まれた1軒のコテージがあります。週末を過ごすためのコテージということ以外、施主がどんな人物なのか、ここで何をして過ごすのか、確かなことは何ひとつ語られていません。分かることはただひとつ、このコテージでは訪れるゲストもオーナーも、座ったり寝転がったり、思い思いの格好で湖を愛でる楽しみがあるということ。

半戸外に置かれたテーブルセット、チェスの駒のようにたき火の周りを囲んだ木のベンチ、仏様が先客の庇(ひさし)付きのデイベッド。目の詰まった絨毯(じゅうたん)みたいに密な芝生の上や、階段がわりの枕木に腰かけるのも気持ちがよさそう。湖をもっと間近に感じたいなら、桟橋のクッションやデッキチェアーもお好みで。その日の気分で居場所を選ぶことが、毎回のステイを新鮮な気分で楽しむ秘訣なのでしょう。

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コテージの室内は湖畔の景色を主役に据えるため、ミニマルでモダンなインテリアで統一されています。天井と壁に貼られた明るい木肌の合板は、床を覆うコンクリートの硬質なイメージをうまく中和してくれます。

どんなにオシャレにまとめても生活感が漂いがちなキッチンは、使う時だけ扉を開けて、使い終わったらパタンと閉じる家具のようなつくり。ダイニングの飾り棚にガラスを使ったり、ダイニングチェアに透明なものを選んだりと、30㎡の広くはない室内をすっきり見せる工夫が凝らされています。

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日中はできる限り外に出て、何をするでもなくのんびりと過ごし、日が落ちて少し肌寒くなって来たら、コテージに引き揚げて上等のワインでも。このコテージにはそんな光景がとてもよく似合います。昼間とは異なり、一面が青色に染まった幽玄な湖畔の景色は、何度眺めても見飽きることのない1枚の大作を見ているようです。

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何もしない時間は退屈で、贅沢といえば何かを消費することだと信じて疑わなったあの頃。人は年齢を重ねるにつれて、1人静かにいられる時間が尊いものに思えたり、形ある何かより、自然の生み出すドラマチックな景色に心奪われていくのかもしれません。湖畔に面したカラマツ張りのコテージは、本当の贅沢とは何かを教えてくれる、大人だけに開かれた隠れ家のようです。

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