再自然化プロジェクト、キノコのような形の「The wild thing」

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ヨーロッパの小国ラトビアの古跡付近に佇む、キノコのような不思議な建物「The Wild thing」。その名が示すように、使われないまま放置されている空き地を「もういちど自然に戻そう(“re-wilding”)」というのがコンセプトの、現地学生主導のプロジェクトだ。丁寧に芝が刈り込まれ人の手が行き届いたこの土地に、植物が伸び放題のワイルドな自然を取り戻そうというわけである。

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細長い脚とコロンとした傘のような屋根。その天辺には、巨大マッチのような不思議なアンテナが4本立つ。「まるで木々の背後から突然出現した変な生き物」をイメージしてデザインされた小屋は、その「野生のもの(The wild thing)」という名の通りのいでたちだ。小屋の中からは、古くて小さな街の風景が見渡せる。

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4方に取り付けられたゴム製の屋根は、どの方角も開放が可能で光を取り込むことができる。中には大きなベンチが用意されているので、大人6人まで座って景色を楽しむことが可能だ。

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そして個人的に一番気に入っているのが、この小屋の建築プロセスである。自然化を推進するプロジェクトのコンセプト上、もちろん仰々しい機械は使わない。木材を車で運び、あとは仲間同士で大掛かりな手作業をする。当たり前のことだが、もともと建物とは人間が建てるものである。ところが都会に住んでいると、建築中の建物はカバーシートの内部に隠れて、新しい建物が急速なピッチで建てられていく。突然どこか彼方から完成品が降って湧いたように、忙しい現代人はそれを気にも留めない。

この小屋の建築プロセスを見ていると、そうした「建物をたてる」、仲間と「空間をつくる」といったことのあり方を、もう一度考え直してみたいと思えないだろうか。

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(文=杉田真理子)

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