サンフランシスコにある100年前の建物をオフィスにリノベ。そのオンリーワンの魅力に迫る

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グローバルに展開するデザインコンサルティングファームであるIDEO(アイディオ)は世界的にみても非常に革新的な企業のひとつであり、シンガポール、東京、シカゴ、ロンドンなど世界に10拠点を置くデザインコンサルティングファームである。1991年に創業し、Apple社の初代マウスをデザインしたことで一躍有名となった。

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今回紹介するのは、IDEOのサンフランシスコにあるオフィス。サンフランシスコの北側に位置し、1920年代に建てられた埠頭に隣接する建物をリノベーションしたものだ。設計したのはJensen Architectsというサンフランシスコにある建築およびインテリアデザイン会社。リノベーションによって、建物が生き生きとした活気を取り戻した。このリノベーションプロジェクトは2013年の国際的なインテリアデザインコンペティションで賞を受賞している。

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サンフランシスコの歴史は、記録がある中では1775年に遡る。その年、スペイン人の入植者が船で初めて到達したという。しばらくは立ち寄る船の数も少ない町であったが、その後、1849年頃からのカリフォルニアのゴールドラッシュにより、一気に人々が押し寄せるようになった。丘に囲まれ、船も航行できる広さの河川があり、また海洋船を停泊させておける広さのある港もある、世界でも類をみない自然に恵まれた素晴らしい港だった。

ゴールドラッシュで成功した起業家が次々に事業を起こし、次第に繁栄していくが、1906年には大きな地震に襲われてダウンタウンが壊滅。第二次世界大戦時には物資の主要な発送地点となり、時代を経て、現在は美しい眺めや活気のある街並みが多くの人々を魅了する街となっている。

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オフィスの建物は頑丈な骨組みをもち、およそ100年経た建物がもつ歴史的な雰囲気や背景は、オンリーワンの魅力である。さまざまな使い方ができるミーティングスペースは、多様性を尊重する会社の雰囲気にマッチしている。オフィスのほとんどの部分は、いつでもいろんな社員同士が話したり接したりできるようにデザインされているが、「電話ブース」として設けられた空間では、周りを気にせず電話の相手とコミュニケーションをとることができる。

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キッチンおよびカフェスペースにある多数の穴が開いたパネルは、1.2メートル×3.5メートルのカスタムメイド。レール上をスライドさせることができ、視覚的にはパネルの向こうの様子が伺えながらも、聴覚的に向こう側が邪魔にならないように配慮してある。パネルをしまうことでキッチンとミーティングスペースを一つの大きな部屋としても使えるし、一方の壁側に簡単にスマートに重ねることができて邪魔にならない。

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キッチンおよびカフェスペースには大きなテーブルがあり、大きな窓からは波止場がよく見渡せる。人々の往来する外の波止場とオフィス内には一体感があり、オープンな空間となっている。

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日本でもいくつか港沿いの建物をリノベーションして活用している例がみられる。例えば、横浜のシンボルでもある「赤レンガ倉庫」。元々は明治時代と大正時代に海外から運び込まれた物資を一時的に保管する倉庫として造られ稼働していた。時代を経て、1989年には取扱い貨物量の減少に伴い倉庫としての用途は廃止になり、一旦その80年ほどの歴史に幕を降ろしたものの、横浜市が保存活用に向けて1994年から約9年に及ぶ改修工事にあたり、2002年に文化施設、商業施設として再スタートを切ることとなった。

広島尾道の「ONOMICHI U2」も同様だ。2006年まで海運倉庫として使われていた「県営上屋2号」を改装し、2014年にホテル、ショップ、レストラン、カフェ、レンタサイクルなどが入っている施設としてオープンした。しまなみ海道の観光や、自転車で走ることを楽しみたい人たちに人気の施設となっている。

また、東京でも都心の湾岸エリアである日の出に2010年にオープンした「TABLOID」という施設がある。こちらは元々新聞社の印刷工場であり、おしゃれに生まれ変わらせてデザイナーやアーティストといったクリエイターにオフィススペースとして貸し出しており、イベントやパーティースペースも設けられている。

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あなたが住んでいる、もしくは働いている街の片隅にも、かつて機能を果たしながらも今は眠っている建物があるかもしれない。誰かが価値を見出し、アイデアを加えることで、再び息を吹き返し、新たな活用法を与えて未来を拓くことができる建物がまだまだ存在しているのではないだろうか。

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(提供:ハロー! RENOVATION