まさに「ヤドカリ」な家。移動可能なオフグリッドスモールハウス

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イギリス、イングランド南部の海岸線のコーンウォールズ、鉱石採掘の地として発展し、現在では素晴らしい景観で多くの観光客を集めている。サーファー(筆者)にとってはイギリス一番のサーフポイントとして有名だ。

今回紹介するのはこのメディアではないが、まさに「ヤドカリ型」のオフグリットスモールハウスだ。

「New British Design(ニュー・ブリティッシュ・デザイン)」という会社のスタジオのオーナーはben huggins(ベン・ヒビンス)、1995年にParnham(ファーンハム)大学を卒業してすぐにこの会社を設立した。

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その当時の意気込みが会社名から見て取れる。普段この会社は「デザインを駆使して問題解決をする」というコンセプトから家具をメインに作っているため彼がデザインした今回のスモールハウスは彼らの作品の中では大掛かりな方だ。
三角錐というシンプルなデザインで、現代的でありながらワイルドさを残している。

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この建築物の名前は「kudhva」。これはコーンウォルズの現地の言葉(イギリスでは公用語は英語だがそれぞれの地域で固有の言語がある)で英語に訳すと”hideout”、日本語に訳すと「隠れ家」だ。高いところにユニークな形を置きたいということからこのようなプロジェクトが誕生した。

使われなくなった採石場を再利用し、全部で4つのキャビンをこの土地に配置した。このキャビンは借りることができ、他の建物はそれぞれレセプションや食堂、トイレとなっている。

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制作方法としては事前に、元ボート製作者で現家具職人のtoby sharp(トビー・シャープ)がヤドカリの「貝」の部分を近場の制作所で作り、それを輸送し「足」となるベースにクレーンで貝の部分を取り付けた。結果として細い足の上にピラミッドが傾いた形の「ヤドカリハウス」が誕生した。

土台の棒にクレーンで取り付けるのみの簡単な構造となっているため、このスモールハウスは移動可能だ。

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このようにトラックに積んで、いつでも運ぶことができる。

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都心でも大自然の中でも好きな場所に置くことができ、そのような意味では本当に「ヤドカリな家」だ。「ヤドカリの殻」にあたる外面は、カラマツの薄い板で貼られている。EPDMゴムという屋根のために、特に強固につくられた幕とマツの細い板を断熱材として使用した。

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「ヤドカリ」型はただ形的に面白いというわけではなく、その構造にすることで幾何学上の特徴を利用でき、新たな機能性も出てくる。
水平な土台に対し三角錐が斜めに傾いているため、傾いた分の土台の部分にスペースができるため、そこがバルコニーとなる。そのバルコニーは高い地点にあるため、そこに腰掛け、雄大な自然を見渡すことも可能だ。

内装はまさに隠れ家のような作りだ。金属製のメタリックな玄関の扉を開ければ、中はやわらかな木材の雰囲気に包まれる。

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外から見るとかなり小さいが、実は中は二階があり、小さな階段を登れば寝室にたどり着く。

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三角に切り取られた寝室の窓はそのデザインの良さだけではなく、朝が来れば、朝日が目いっぱい部屋に届き、さらにちょうど顔に当たるようになっているため、自然と共に起きることができ、本来のバイオリズムを取り戻すことが可能だ。

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幾何学上の特徴を利用し、遊び心溢れれben hugginsの意図通り「隠れ家」と呼ぶのにふさわしいスモールハウスといえるだろう。
またモビリティーがあり、どこにでも動かせるというのがスモールハウスの特徴の一つで、「ヤドカリ」のコンセプトの一つだが、それを丸ごと体現している。多くの休暇中の人が、このスモールハウスに次々と住み替える様を思い浮かべると、その点でも「ヤドカリ的」といえるのではないだろうか。

 

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