ハワイアンアウトドアを味わうスモールハウス “Hawaiian cabins”

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ここは世界中の誰もが憧れる、常夏の島ハワイ。市街地よりも少し涼しいマウイ島の高地に、ハワイらしいトロピカルなスモールハウスを作った。建設者はオレゴンに本拠地を置く建築家のエリン・ムーアで、FLOATというデザインとリサーチの実践グループの創設者でもある。

ハワイアンキャビンは、300年前の溶岩石が形成されているちょうど横に建てられ、オーナーの敷地内から少し足を伸ばせば着くところだ。彼曰く「ここは外で暮らせる様にしたところ」ということらしい。その言葉どうり、このスモールハウスはこの土地の自然と密接な関係を保っている。時に厳しいハワイの大自然から送られる恩恵を十分に享受している。

このハワイアンキャビンは2つに分かれている。

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ひとつ目は、南にあるパビリオンでベットや小さな机、読書用の場所まである箱型のキャビンだ。

このスモールハウスは、陽の光も自然に寄り添う様に有効利用している。
寝室は溶岩石の方角を向いて、朝日を真っ先に浴びることができる。体を自然のリズムに戻すことができ、朝のめざめが心地のいいものになる。「早起きは三文の得」といったところだろうか。

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昼になれば部屋の中はちょうど日陰となり涼しくなるため、読書や昼寝にちょうどいい環境となる。

室内の木造の壁は木だけではなくポリカーボネイトも使用している。

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シンプルな作りだが、そこに驚くほどの美しさがある。
通気口からハワイの大自然の空気を中にしっかりと摂り込むことができるため、一日中心地よく過ごせる。

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よく見ると、4つのコンクリートブロックを置いて建物を地面から浮かせている。これは、地面からの影響をできるだけ避けるためだ。この土地の恵みに感謝しながらも、厳しい自然の環境を受け入れる工夫をしているのだ。

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それを最大限に体現しているものが、この大自然の中に建てられたもうひとつの建築物。ここはデッキ風の作りとなり、太平洋に浮かぶお隣の島のカホーラウェ島が見える。

このデッキは主に水回り用で、小さなアウトドアキッチンとシャワーが設置されている。箱型キャビンとは対照的に、完全木造というよりは、構造は主に亜鉛メッキの鉄の柱で作られている。その上に、ハワイらしいシンプルな印象の木材が貼られている。構造的には非常に簡単で、各素材を持ち運んで、現地でこのキャビンは組み立てられた。

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キッチンのスペースとしては最小限だが、このように壁に調理器具をかける様なアイデアを取り入れることによって狭苦しさを感じさせず、利便性もあげている。

このキャビンは住居者の原体験に沿う様に制作されたものだ。
依頼者は現在絶滅危惧種として認定されているウィリウィリという、ハワイ伝統の木造ボートを作るのに使われていた木が生えていた場所の近くで、溶岩石のトンネルを掘り、潜って遊んでいたそうだ。そしてこのキャビンは今、ゴツゴツとした溶岩石の上に建てられ、そのそばには現地特有の木であるママネの木が植えられているということだ。

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未だに母なる大自然が多く残るハワイも近代化は進み、以前とは風景もだんだんと変わってきているようだ。
幼少期の思い出というものは、誰にとっても大切でかけがえのないものである。それを思い出させてくれるような風景と、その人だけの特別な家で暮らす、という住まい方も理想的な方向性と言えるだろう。
そんな理想を可能にするために、「スモールハウス」という手法は、かなり柔軟に好きな空間に住まいを作ることができる、非常に有効な手段だと言えるのではないだろうか。

 

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