森の未来はキューブで守る! キューブ型エコロッジ 「Philippine Eagle Reserve Ecolodge」

森の中に突如として現れたキューブ型をした物体。

キューブの中から双眼鏡で森を見守るのは、時代を超えた観光旅行をする未来人?
いいえ、彼らは森の未来を守る現代人。

これはフィリピンのミンダナオ島にあるエコツーリズムのための滞在ロッジ。
6名が寝られる2階建てのこのロッジは、ワイヤーで支えられる一本柱を基礎にした簡易な構造。
どんな地形でも柔軟に設置が可能で、移設も簡単だ。
屋根と上部の壁には、繊維状の素材が使われ、下部には使用済み木材が再利用されている。いずれも通気性の良い作りになっている。

サンフランシスコとハワイを起点とする建築家Craig SteelyとJeepney Projectsのサポートにより実現されたこのロッジ、実はある生き物の「未来」のために設けられている。

この地域に生息する固有種であるフィリピンワシは雄壮な翼を広げて飛ぶ大型の猛禽類の一種で、フィリピンの国鳥にも指定されている。
このフィリピンワシ、森林伐採による生息地の減少や密漁などの乱獲により絶滅が危惧されている。

このエコロッジを利用したエコツーリズムによって、絶滅の一途をたどるフィリピンワシの生態と森林保護に関する危機意識を世界に、そして地元地域に広め、また足を運ぶツーリストによる地元経済の活性化を計ることが、このプロジェクトの目的。
地元経済が潤えば、森林伐採が必要な事業は行われないということ。

そして、このプロジェクトが最も重視するのは、地域住民に、土地を大切にする意識、フィリピンワシの獰猛な肉食の害獣としてではなく地域の資産としての意識を持ってもらうこと。

エコツーリズム事業の拡大が与える環境への影響も様々でしょうが、建築の「環境配慮」と「居住性・快適性」が問われる最たる現場なのかもしれません。
PhilippineEagle_2

PhilippineEagle_4
photo by Craig Steely Architecture