スカンジナビア伝統のBBQハウスをスモールハウスに「FLEXSE」

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ここロシアの最西部に位置するサンクト・ペテルブルグは、ソビエト時代はレニングラードとよばれ、バレエや音楽、プーシキンやドストエフスキーなどの文学、そしてエルミタージュ美術館など芸術都市としても有名な大都市である。5月下旬から7月中旬にかけて太陽が沈まない「白夜」になることでも有名だ。スカンジナビア半島のフィンランドや、バルト三国のエストニアにも近いことから、「北欧文化」や「スカンジナビア」文化の影響も受けている。

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このプロダクト型のスモールハウス「FLEXSE (フレックスSE )」は、総床面積30.5平方センチメートの楕円形で、100%再生可能な素材で作られたエコハウスでもある。設計&建築を手がけたのはSA labと言う会社で、発注による量産が可能となっている。

この楕円形型のスモールハウスの特徴は、屋根に大きな勾配をつけているところで、雪が多いサンクトペテルブルクならではのアイデア。屋根に積もった雪を落としやすくする合理性に加え、外観をスタイリッシュなデザインに見せる効果にもつながっている。

細長い材木を縦に張った外観は、まわりの樹木や雪景色にとてもマッチしている。

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標準の作りとしてはシンプルで、玄関と反対側の壁に大きく特徴的な丸窓。小さな丸いテーブルと椅子が配置され、北欧風のシンプルなインテリア。中でも存在感を放つのは暖房を兼ねたバーベキュー用の大きなコンロで、美しいオレンジ色の炎が壁に反射して、室内をより暖かい雰囲気に演出している。

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このスモールハウスは、さまざまな用途に合わせて使い方を変えられるところから「フレックス」という名前がつけられた。

まず、メインの使い道として「小さなBBQハウス」。12月、1月の最高気温が-4度と氷点下になるこの地では、冬の寒さというのは想像を絶するものがあり、とても野外でのBBQなど不可能。必然的にBBQは家の中でするようになり、このような暖房も兼ねたコンロが考えられたのだろう。

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冬が長くて厳しい北欧やスカンジナビアの人々は、「夏」の訪れを本当に心待ちにしていて、さまざまな事をして楽しむという文化がある。「サマーハウス」もその伝統の一つであり、夏になると一斉に皆が休みを取り、田舎のサマーハウスで過ごすのが習慣になっている。このスモールハウスも「サマーハウス」としての利用も考慮されていて、標準設計でテラスが建物と同じくらいの広さになっている。『白夜」の時期には屋外で食事を楽しむことができる。

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その他にも、北欧文化のサウナのゲストハウスや、シンプルに暮らすためのタイニーハウス、街の中の小さなカフェ、ショップ、オフィスとして、さまざまなシチュエーションで活躍できそうだ。さらに、現地でパーツを組み立てて作るタイプのスモールハウスの特性から、コンクリートの厚い板や金属の窓など、その用途や構造、環境に合わせて、北欧らしく、まるでレゴのように自由に組み合わせても面白そうだ。

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基本的にコンロとテーブルと椅子をおけるくらいの小さなスペースだが、このスモールハウスの使い道はアイデア次第で広がっていく。しかし、個人的には、BBQ用コンロのオレンジの炎に癒やされたいので、日本ではなかなか体験できない「真冬の室内BBQハウス」が、最高かもしれない。

 

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