プレハブではなく“プレメイド”式を採用。メタリックなスモールハウス「site shack」

 

 

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ここは、自然豊かなカナダ・ブリティッシュコロンビア州にあるバンクーバーの湖畔。大自然に溶け込むように立っているスモールハウス、古びた鉄錆びの外観が印象的で、名前は「site shack ( サイトシャック )」。

カナダを代表する都市バンクーバを拠点にしている、powers construction (パワーコンストラクション) というカスタムホーム建築会社によって設計された。約9.2平方メートルという非常に小さくコンパクトなスモールハウスだ。

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今までもこのようなフォルムのスモールハウスというのは無数にあったが、このスモールハウスがひときわ目を引くのは、鉄錆がむき出しの外装。古い建物のように思われるが、実はオフグリッドハウスで、現代的なワークスペースでもある。

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このメタリックなスモールハウスは現地で作ったものではなく、あらかじめ全て作ったものを設置場所に持ってくるという「プレメイド形式」を採用している。
今までも度々紹介してきた、スモールハウス設計でよく見られる「プレハブ形式」は、事前に工場などで作られるという点では同じでも、多少現地での組み立てを必要としていた。しかし、プレメイド形式は現地での組み立てを「完全に」必要としないものだ。

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移動したい場合はクレーン車などを使い、家ごとトラックの後ろに乗せ、簡単に移動できる。ある意味「モバイルハウス」といえるかもしれない。

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このような機能を持たせるために、様々な工夫が必要になる。
例えば、このスモールハウスの高さだ。あまり高くしてしまっては、トラックで運ぶ際に、運搬の制限がかかってしまうのだ。
しかし、冬は積雪量の多いバンクーバーでは、屋根に雪が積もらないように屋根に勾配を持たせなくてはならない。そこで、屋根の斜面の角度もきめ細かく設定することが必要になった。

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錆びた鉄と正面のガラス張りの組み合わせがモダンな感じを醸し出しているので、普段置いているバンクーバーの街中でも、違和感なく風景に溶け込んでいる。

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このときのsite shackの用途は作業部屋だ。
誰かに邪魔されずに、広い施設で動き回ることなく作業に集中できる。

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仕事がない日は、このsite shackを大自然の中に運んで行く。気分に合わせて、どんな場所でも選択可能だ。

wifiの波が飛び交う現在において、その干渉を完全に断つデジタルデトックスのために、静かに過ごすのにも最適と言えるだろう。

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内部は、モミの合板を使ったフレーム設計がむき出しになるようにしてデザインされている。
このフレームにボルトを使って外の鉄板を貼り付けるという、非常にシンプルな方法でこのスモールハウスは作られた。しかし、鉄板の側面にボルトなどは見られず、鉄の一枚板を加工したように見える。
これは、溶接工が技術を駆使してシームレスに滑らかに仕上げたおかげで、鉄板とガラスのみのスッキリとしたデザインになった。

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室内の装備はいたってシンプルで、唯一あるのがコンパクトな薪ストーブ。冬には極寒のバンクーバーでは必需品である。屋根に突き出た煙突も、鉄錆が出てアンティークな味を出している。そのシンプルな空間自体が、このスモールハウスの良さを引き出しているとも言える。

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2つの用途に合わせて、運んで使えるモバイルハウス。
そんなキャッチコピーが似合うのがこのsite shackだ。
このユーティリティー性というものが、これからのスモールハウス設計においても大事と言えるのではないだろうか。

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