おおいた農村潜伏記

第5回:農村での暮らしで花粉症が治った話|おおいた農村潜伏記

小海もも子プロフィールアイコン | 2015.11.8
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「未来の住まい方会議 by YADOKARI」をご覧のみなさま、こんにちは。夏が終り、だいぶ秋が深まってきましたね。この実り豊かな秋にちなんで、今回は食べ物の話をしたいと思います。

大分県臼杵市の田園風景です。稲穂の色づきは本当に美しいですね。

大分県臼杵市の田園風景です。稲穂の色づきは本当に美しいですね。

毎年春になると私は花粉症に苦しんでいましたが、今年は症状が出ませんでした。それは大分という環境のせいなのか、食べ物のせいなのかはわかりません。でも、見えない花粉への恐怖がなくなったことと、マスクを手放せることが喜ばしく、春の景色がきらめいて見えました。

居候先で知った農薬や化学肥料の影響

去年の今頃、私は家をなくして、知り合いのおばさんの家に居候していました。彼女は静岡からの移住者で、数回会ったことがある程度でしたが、偶然にも家を探している時に会い「うちに来てもいいよ」と声をかけてもらいました。

土地勘のない私を、彼女はいろんな場所に連れて行ってくれました。

土地勘のない私を、彼女はいろんな場所に連れて行ってくれました。

彼女は旦那さんと市営住宅に二人暮らし。二人が移住して来た理由は、農家に嫁いだひとり娘の手伝いをするためでした。したがっていつも娘夫婦からもらった新鮮な野菜があって、料理上手な彼女に料理を作ってもらったり、教えてもらったりしていました。

彼女はいつも誇らしげに「この野菜は特に美味しいの。無農薬、無科学肥料の野菜なんて普通売ってないんだから」と言って、素材の美味しさを引き出す料理を作ってくれました。確かに野菜は新鮮なこともあって、水々しく、甘くて美味しかったです。

娘夫婦がつくったトマトで、トマトソース、ケチャップ、スープなどを作りました。とても美味しかったです。

娘夫婦がつくったトマトで、トマトソース、ケチャップ、スープなどを作りました。とても美味しかったです。

今まで「無農薬の野菜」というのは意識したことがあっても、「無化学肥料の野菜」というのはあまり意識してきませんでした。調べてみると、化学肥料は農薬と同じくらいに人体や家畜に影響があり、日本はその使用量がとても多いとか。化学肥料を使った牧草で育った牛の乳牛にも影響があり、それを飲んだ母親から乳幼児にまで影響があることや、水に溶けやすいため地下水や河川に流れ出て、環境汚染にもなり得るということも知りました。

食べるものが体を作る。ではどんな野菜を食べるのか。

臼杵市は城下町があり、素敵な街歩きが楽しめます。

臼杵市は城下町があり、素敵な街歩きが楽しめます。

彼女は大分県臼杵市の農村地域に住んでいました。臼杵市は、市の有機堆肥を作る施設があったり、有機認証した野菜に「ほんまもん」と書かれたシールを貼っていたり有機農業が盛んです。有機農業をこころざし、移住してくる方も多いようでした。

「ほんまもん農作物」は、野菜はもちろん、きな粉や小麦粉も認定されます。

「ほんまもん農作物」は、野菜はもちろん、きな粉や小麦粉も認定されます。

娘夫婦の野菜は「循環農法」で作られています。循環農法とは、大宇宙に存在するすべてのものは回転し、循環しているという考え方を基にしている農法。一般的に害とされる草や虫や菌を敵対せず、農薬や化学肥料を使わずに、虫食いのない多収穫の野菜ができるのだそうです。

これは臼杵市出身の農業家・赤峰勝人さんが提案したもので、娘夫婦も赤峰さんの弟子として農業に従事しています。赤峰勝人さんの著書「ニンジンから宇宙へ」は、発売した1993年から売れ続けているベストセラーで、全国から講演会に呼ばれたり、弟子入りを希望する方がいたりするそうです。そして、アトピーに悩まされている方が赤峰さんの野菜を食べて治ったこともあるという話も聞きました。

私が持っている赤峰勝人さんの著書。野菜を通して素晴らしい宇宙の仕組みを感じられます。

私が持っている赤峰勝人さんの著書。野菜を通して素晴らしい宇宙の仕組みを感じられます。

「食うことは生きること、私たちは自然環境の中で大地に育まれた命ある食べ物から命をいただけるのです。人だけの力では決して生きられないということに気づいて欲しいのです。そして循環の法則に沿った生き方を取り戻していただきたいと思います。」(引用:「循環農法」1ページ目/赤峰勝人著)

東京にいた時は、野菜の表記だけ見て、どんな農業者がどんな気持ちで作っているなんて考えたことがありませんでした。しかし、赤峰さんの本をぺらっと開いたら、野菜作りを通して、真剣に世の中を良い方向に導こうとしている意思を感じました。

「草も虫も菌も必要なもの」という赤峰勝人さんの公演会

ある日、臼杵市で赤峰さんの講演会があるというので行ってみました。本の内容から哲学者のようなイメージをしていましたが、実際に話を聞いてみると、知り合いが思い出を語ってくれているような話し方でとても親近感が湧きました。土の成分の話もありましたが、理論的でとてもわかりやすかったです。

赤峰さんの講演会の様子。興味深くてあっという間に時間が過ぎました。

赤峰さんの講演会の様子。興味深くてあっという間に時間が過ぎました。

特に印象に残ったことは、下記。
・畑の草も虫も菌も必要なもので、殺してはいけない。
・虫は、亜硫酸態窒素(毒)を含む苦い野菜を食べてくれる。虫食いのある野菜は食べない方がいい。
・山のミネラルが海に流れて塩になるから、海塩が大切。病気の原因は海塩を取らないこと。
・農薬、化学肥料、白砂糖が病気の原因の可能性がある。
・この世に自分のものは何一つない。恵に感謝して生きること。

内容は目からウロコのことが多く、時間はあっという間に過ぎました。赤峰さんは、お弟子さんたちとその家族とともに、この循環農法を広げたり、野菜を販売したりするための「なずなの会」を立ち上げています。興味がある方は是非ご覧くださいね。

赤峰さんのお弟子さんがやっている定食屋「正直飯」の料理。どれも絶品でした。

赤峰さんのお弟子さんがやっている定食屋「正直飯」の料理。どれも絶品でした。

さて、彼女の家には約3か月滞在させてもらいました。その間、おいしい野菜と玄米を食べさせてもらい、農村の中でのんびり過ごしました。今思うと、彼女との出会いを通して、食べることは生きること、環境や地球のことまで意識した食生活を心がけることができるようになった気がします。

その結果、私は花粉症の症状が出ずに、久しぶりに清々しい春を過ごしました。もしかしたら食べ物が原因ではないかもしれません。しかし、あれからずっと無農薬・無化学肥料の循環農法で作られた玄米を食べ続けています。

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YADOKARI「未来働き方会議」オープン!

小海もも子プロフィールアイコン

Writer 小海もも子

新潟県十日町生まれ。地方紙記者、カメラマン、農業、バックパッカーなどを経て、株式会社A-Worksで旅行雑誌「旅学」や旅ガイドシリーズの編集に携わる。その他、野外フェス旅祭の企画運営や、NPO法人オンザロードでインドやジャマイカの教育支援、東北の震災復興支援を行う。
2013 年、東京を離れ、世界旅行後、奄美経由で大分県に移住。現在は大分市観光協会で働きながら、農村と温泉を満喫中。旅と、田植えと、ブラジリアン柔術と、アイヌ刺繍と、ロバと、お酒が好き。

FB:Momoko Kokai
HP:Awesome Oita

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