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【タイニーハウス住人インタビュー】住宅難もなんのその!NZのタイニーハウス

(c)Arno Gasteiger

アメリカ発祥のタイニーハウス・ムーブメント。けれども今では各国にその情熱が飛び火し、遠くニュージーランドにまで届いているそう。今回は、つい最近かの地でタイニーハウス暮らしを始めたカップルにお話をきくことができました。日本にいるとあまり耳にすることのない、ニュージーランドのタイニーハウス・ムーブメントとはどのようなものなのでしょう。

NZを襲う住宅危機問題


ニュージーランド(以下NZ)と聞くと、どのようなことを想像しますか? 日本と同じ島国で、自然が豊か。羊がたくさんいる等、すべてNZの雄大な自然を連想させるものではないでしょうか。けれどオークランドやウェリントンなどの都市部は人口が集中し、近年は「家不足」「家の購入価格高騰」が社会問題化しているのです。現地の調査によると、多くの場合、家の購入価格は年間収入の6倍になるそう。そういった金銭面の問題から、近年の住宅所有率は1951年以来の最低水準であり、さらに低下すると予想されているのだとか。2010年の政府報告では、特に若年層が住宅を所有できる可能性は低く、危機は深刻化しているのです。

 

(c)Camanda

そんな中、とある若者たちがタイニーハウス生活を始めたということで、NZのメディアで話題になりました。それは、アマンダさんとカムさんのお2人。NZ最大都市のオークランドに住む、アーティストと地質学者のカップルです。タイニーハウスを建設するプロセスや、実際に暮らしを始める際の様子をインスタグラムに掲載したことでも人気を博しています。2018年5月にタイニーハウス生活を始めたばかりの彼らは、今どのようなことを感じているのでしょう。「タイニーハウス・オーケストラ」のインタビューに答えていただきました。

アマンダさんにタイニーハウス暮らしに関するインタビュー

(c)Camanda

——あなたのタイニーハウスの広さを教えてください

20㎡で、ロフトスペースを含めると26㎡になります。

(c)Camanda

——どのようなタイニーハウスなのでしょうか?

二重ガラスを採用しているので、気密性の高いタイニーハウスです。太陽光発電、ガス、水タンク、(発電所からの)配電の組み合わせで日々の生活を営んでいます。

(c)Camanda

冬に家を非常に暖かくできる薪ストーブも持っています。そして、トイレはコンポストトイレ。
また、タワ(NZ原生の樹木)の木製床をリサイクルしています。私たちは取り壊された国営住宅から床材を回収し、再利用したんです。まだ使える木材をゴミにせずに済みました!家の外壁には、日本の杉材も使用しています。

(c)Camanda

——何故、タイニーハウス生活を始めようと思ったのですか?

いくつかの理由があります。私とカムは、もっと環境に優しく、かつ環境に及ぼす影響を認識しやすい生活をしたいと思っていました。我々はミニマリズム的なライフスタイルが好きで、モノを少なく購入したり所有することに興味と価値を感じるのです。

現代社会は、消費者主導の社会ですよね。物を気軽に捨て、ゴミがどこで処分されるのか、ほとんど気にしません。地球はこれ以上ゴミを溜め込むことができないので、次世代が生き残るためには個人的な変革をしていく必要があります。大きな家に住んでいると、人は必ずしも必要でない、あるいはそれほど意味のないものを買い込んで空間を埋めようとしていく傾向があるのではないでしょうか。

(c)Camanda

——差し支えなければ、タイニーハウス作りに必要だった金額を教えてください

私たちの家は、だいたい10万NZドル(2018年10月現在、約739万円)の費用がかかりました。しようと思えばもっと節約もできましたが、せっかくなので非常にこだわって作ったんです。すべてをハイグレードなもので揃え、最高の家にしました。金銭面は、先ほどの「タイニーハウス生活を始めた理由」という質問の答えでもあります。

現在、NZは住宅危機に見舞われていて、住宅価格は非常に高額です。オークランドの住宅購入価格は、平均約100万NZドル(同約7千3百万円)です。家を購入するための住宅ローンを銀行に依頼する際、必要な頭金は20%で、約20万NZドル。そして30年から40年かけて住宅ローンを払い続けるんです。

私とカムは7年以上にわたり恋人同士であり、一緒に暮らしたいと思っていました。でも、住宅購入のためのお金はありませんでした。賃貸物件で一緒に住みながら貯金することもできますが、賃貸料は別の人のポケットに入り、私たちにの手元に残らない出費になります。このタイニーハウスなら、50%の頭金と50%のローンという小規模な借り入れで済み、私たちは5年後に完済することができる予定です。ローンの支払いは、(仮に賃貸に住んでいたら)賃貸物件に支払うものとほぼ同じですが、それは我々の資産にもなりますからね。

(c)Camanda

——あなたのタイニーハウスを建てるのにどれくらいの時間がかかりましたか?

実際の建設が始まってからは、約4ヶ月でした。私たちが初めてタイニーハウスの施工者に会った時から家の完成までは、ちょうど1年かかりました。

(c)Camanda

——タイニーハウスに住んでからあなたの生活はどう変わりましたか?

生活はあまり変わっていません。なぜなら、日常生活に必要な要素はすべてデザインと建設の段階で盛り込んでいたので。でも、コンポストトイレに慣れることや、太陽光をチェックしたりプロパンガスを補充したりするのは、面白かったです!そうしないと、冷たい水しか使えないんですよ!

タイニーハウスに住むと、自分たちが出すゴミの量から目をそらさず直面する必要がありますが、すぐに日常生活の一部になります。私たちはタイニーハウス生活を始めて5か月になりますが、この生活が大好きです。普通の家やアパートに住むよりも自由があり、私たちの家だという実感があります。

 

(c)Camanda

——NZのタイニーハウス・ムーブメントに関して教えてください

実はNZのタイニーハウス・ムーブメントは非常に活発で、国内の各所にタイニーハウス愛好家の素晴らしいコミュニティがあります。Facebook上にも、関連グッズの売買やアイディアをシェアするためのグループがたくさんあるんです。けれど、NZの人々が政府や個々の自治体の規則を完全に理解していないため、タイニーハウスで自由に生活することは非常に困難です。多くの規制やルールがありますが、どのルールが適用され、どのルールが適用されないのかを知ることは難しいです。

多くの人々はそれらを「キャラバン」とみなしますが、キャラバンではありません。私たちの家はカスタムメイドした、恒久的なトレーラーハウスです。それは常に移動可能であり、大型牽引車なしでNZの道路で合法的に牽引できるサイズおよび重量です(高さ4.2m、長さ8m、幅2.8m、重量3.5トン)。

(c)Camanda

——どこにタイニーハウスを設置しているのですか?

今のところ、家族の知人から土地を借りています。誰も住んでいない空き家の裏庭にタイニーハウスを置かせてもらっています。

(c)Camanda

——タイニーハウス生活に興味がある「Tinyhouse Orchestra」読者にメッセージをお願いします!

恐れることはありません! 悩んでいるには、人生は短すぎます。インターネットでコミュニティを見つけたり、人々と話をしたり、実際のタイニーハウスを訪れたりしてみてください。そして良い建築業者を探したり、質問したりしてみましょう。もちろん、自分で建てたりすることもできます。自分に一番ぴったりのタイニーハウスと、あなたが生きたい人生をデザインしましょう!

——すてきなメッセージをありがとうございました!

(c)Camanda

NZで実際にタイニーハウス暮らしを営んでいるアマンダさんのインタビュー、いかがでしたでしょうか。普段あまり見聞きすることのないNZのタイニーハウス事情、非常に興味深かったですね。NZの住宅購入価格は若者に不利な状況が続いているようですので、アマンダさんとカムさんのようにタイニーハウス暮らしに舵をきる若者も増えるかもしれません。これからも、注目していきたいと思います。

ライター:倉田直子

Via:
instagram.com/camandas_tinyhouse
westpac.co.nz
nzgeo.com

(c)Arno Gasteiger

アメリカ発祥のタイニーハウス・ムーブメント。けれども今では各国にその情熱が飛び火し、遠くニュージーランドにまで届いているそう。今回は、つい最近かの地でタイニーハウス暮らしを始めたカップルにお話をきくことができました。日本にいるとあまり耳にすることのない、ニュージーランドのタイニーハウス・ムーブメントとはどのようなものなのでしょう。

NZを襲う住宅危機問題


ニュージーランド(以下NZ)と聞くと、どのようなことを想像しますか? 日本と同じ島国で、自然が豊か。羊がたくさんいる等、すべてNZの雄大な自然を連想させるものではないでしょうか。けれどオークランドやウェリントンなどの都市部は人口が集中し、近年は「家不足」「家の購入価格高騰」が社会問題化しているのです。現地の調査によると、多くの場合、家の購入価格は年間収入の6倍になるそう。そういった金銭面の問題から、近年の住宅所有率は1951年以来の最低水準であり、さらに低下すると予想されているのだとか。2010年の政府報告では、特に若年層が住宅を所有できる可能性は低く、危機は深刻化しているのです。

 

(c)Camanda

そんな中、とある若者たちがタイニーハウス生活を始めたということで、NZのメディアで話題になりました。それは、アマンダさんとカムさんのお2人。NZ最大都市のオークランドに住む、アーティストと地質学者のカップルです。タイニーハウスを建設するプロセスや、実際に暮らしを始める際の様子をインスタグラムに掲載したことでも人気を博しています。2018年5月にタイニーハウス生活を始めたばかりの彼らは、今どのようなことを感じているのでしょう。「タイニーハウス・オーケストラ」のインタビューに答えていただきました。

アマンダさんにタイニーハウス暮らしに関するインタビュー

(c)Camanda

——あなたのタイニーハウスの広さを教えてください

20㎡で、ロフトスペースを含めると26㎡になります。

(c)Camanda

——どのようなタイニーハウスなのでしょうか?

二重ガラスを採用しているので、気密性の高いタイニーハウスです。太陽光発電、ガス、水タンク、(発電所からの)配電の組み合わせで日々の生活を営んでいます。

(c)Camanda

冬に家を非常に暖かくできる薪ストーブも持っています。そして、トイレはコンポストトイレ。
また、タワ(NZ原生の樹木)の木製床をリサイクルしています。私たちは取り壊された国営住宅から床材を回収し、再利用したんです。まだ使える木材をゴミにせずに済みました!家の外壁には、日本の杉材も使用しています。

(c)Camanda

——何故、タイニーハウス生活を始めようと思ったのですか?

いくつかの理由があります。私とカムは、もっと環境に優しく、かつ環境に及ぼす影響を認識しやすい生活をしたいと思っていました。我々はミニマリズム的なライフスタイルが好きで、モノを少なく購入したり所有することに興味と価値を感じるのです。

現代社会は、消費者主導の社会ですよね。物を気軽に捨て、ゴミがどこで処分されるのか、ほとんど気にしません。地球はこれ以上ゴミを溜め込むことができないので、次世代が生き残るためには個人的な変革をしていく必要があります。大きな家に住んでいると、人は必ずしも必要でない、あるいはそれほど意味のないものを買い込んで空間を埋めようとしていく傾向があるのではないでしょうか。

(c)Camanda

——差し支えなければ、タイニーハウス作りに必要だった金額を教えてください

私たちの家は、だいたい10万NZドル(2018年10月現在、約739万円)の費用がかかりました。しようと思えばもっと節約もできましたが、せっかくなので非常にこだわって作ったんです。すべてをハイグレードなもので揃え、最高の家にしました。金銭面は、先ほどの「タイニーハウス生活を始めた理由」という質問の答えでもあります。

現在、NZは住宅危機に見舞われていて、住宅価格は非常に高額です。オークランドの住宅購入価格は、平均約100万NZドル(同約7千3百万円)です。家を購入するための住宅ローンを銀行に依頼する際、必要な頭金は20%で、約20万NZドル。そして30年から40年かけて住宅ローンを払い続けるんです。

私とカムは7年以上にわたり恋人同士であり、一緒に暮らしたいと思っていました。でも、住宅購入のためのお金はありませんでした。賃貸物件で一緒に住みながら貯金することもできますが、賃貸料は別の人のポケットに入り、私たちにの手元に残らない出費になります。このタイニーハウスなら、50%の頭金と50%のローンという小規模な借り入れで済み、私たちは5年後に完済することができる予定です。ローンの支払いは、(仮に賃貸に住んでいたら)賃貸物件に支払うものとほぼ同じですが、それは我々の資産にもなりますからね。

(c)Camanda

——あなたのタイニーハウスを建てるのにどれくらいの時間がかかりましたか?

実際の建設が始まってからは、約4ヶ月でした。私たちが初めてタイニーハウスの施工者に会った時から家の完成までは、ちょうど1年かかりました。

(c)Camanda

——タイニーハウスに住んでからあなたの生活はどう変わりましたか?

生活はあまり変わっていません。なぜなら、日常生活に必要な要素はすべてデザインと建設の段階で盛り込んでいたので。でも、コンポストトイレに慣れることや、太陽光をチェックしたりプロパンガスを補充したりするのは、面白かったです!そうしないと、冷たい水しか使えないんですよ!

タイニーハウスに住むと、自分たちが出すゴミの量から目をそらさず直面する必要がありますが、すぐに日常生活の一部になります。私たちはタイニーハウス生活を始めて5か月になりますが、この生活が大好きです。普通の家やアパートに住むよりも自由があり、私たちの家だという実感があります。

 

(c)Camanda

——NZのタイニーハウス・ムーブメントに関して教えてください

実はNZのタイニーハウス・ムーブメントは非常に活発で、国内の各所にタイニーハウス愛好家の素晴らしいコミュニティがあります。Facebook上にも、関連グッズの売買やアイディアをシェアするためのグループがたくさんあるんです。けれど、NZの人々が政府や個々の自治体の規則を完全に理解していないため、タイニーハウスで自由に生活することは非常に困難です。多くの規制やルールがありますが、どのルールが適用され、どのルールが適用されないのかを知ることは難しいです。

多くの人々はそれらを「キャラバン」とみなしますが、キャラバンではありません。私たちの家はカスタムメイドした、恒久的なトレーラーハウスです。それは常に移動可能であり、大型牽引車なしでNZの道路で合法的に牽引できるサイズおよび重量です(高さ4.2m、長さ8m、幅2.8m、重量3.5トン)。

(c)Camanda

——どこにタイニーハウスを設置しているのですか?

今のところ、家族の知人から土地を借りています。誰も住んでいない空き家の裏庭にタイニーハウスを置かせてもらっています。

(c)Camanda

——タイニーハウス生活に興味がある「Tinyhouse Orchestra」読者にメッセージをお願いします!

恐れることはありません! 悩んでいるには、人生は短すぎます。インターネットでコミュニティを見つけたり、人々と話をしたり、実際のタイニーハウスを訪れたりしてみてください。そして良い建築業者を探したり、質問したりしてみましょう。もちろん、自分で建てたりすることもできます。自分に一番ぴったりのタイニーハウスと、あなたが生きたい人生をデザインしましょう!

——すてきなメッセージをありがとうございました!

(c)Camanda

NZで実際にタイニーハウス暮らしを営んでいるアマンダさんのインタビュー、いかがでしたでしょうか。普段あまり見聞きすることのないNZのタイニーハウス事情、非常に興味深かったですね。NZの住宅購入価格は若者に不利な状況が続いているようですので、アマンダさんとカムさんのようにタイニーハウス暮らしに舵をきる若者も増えるかもしれません。これからも、注目していきたいと思います。

ライター:倉田直子

Via:
instagram.com/camandas_tinyhouse
westpac.co.nz
nzgeo.com

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