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丁寧に、1杯ずつ、香り高いコーヒーが淹れられていく。網焼きでこんがりと焼き目がつけられたトーストには、同じ網のうえで溶かしたバターが、ジュワッと染み込んでいく。もちろんあなたの傍らには、興味のむくままに手にとった、数冊の本。自分の暮らす街に、こんな空間があったなら、ちょっと素敵な気持ちで毎日を送れるかもしれない。

ここは、長野県松本市の大通り沿いにある、ブックカフェ栞日(しおりび)。全国各地のリトルプレス(少部数の出版物)を中心に、店主がセレクトした、制作者の想いが伝わってくる本が丁寧に並べられている。本のテーマは、生活、料理・食事、子ども、旅、地方、写真集など多岐に渡り、3階のギャラリーではアーティストの展示が頻繁に行われている。

「自分が暮らす街に、あったらいいなと思える空間」をカタチにした、栞日の店主・菊地徹さん。気さくなお人柄と柔らかい物腰で、訪れるひと誰しもをホッとした気持ちにさせる。

インタビュー前編では、お店をオープンされるまで、菊地さんがどのような経緯をお持ちであるかお話いただいた。後編では、栞日について・そして毎年夏に開催されるALPS BOOK CAMPについてお聞きする。

Portland 01

皆さんは、アメリカオレゴン州ポートランドと聞くと、何を思い浮かべるでしょうか。ZINEやクラフトビールなどのDIY文化、大規模なシェア工房、町で見かけられる小商い的な屋台など、近年は雑誌でも特集されることが多いポートランド。新たなライフスタイルの発信地として注目している人も多いのではないでしょうか? ポートランドはニューヨークやロサンゼルスのように、大都市でもなく観光都市というわけでもありません。それでも、ポートランドが多くの人に注目されるのには訳があります。