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【特集コラム】第3回:災害時にも強いエネルギーシフトの形「オフグリッドライフ」の提案|小さな家で豊かに暮らす、タイニーハウスムーブメントを紐解く

岡田拓治プロフィールアイコン | 2014.11.15
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タイニーハウスムーブメントの特集として連載している全4回の特集コラム、今回は災害時にも強いエネルギーシフトの形「オフグリッドライフの提案」について説明します。

「オフグリッド」とは、電気・ガス・水道などのエネルギーを、既存のインフラからでなく、雨や風、太陽光など、自然や天然の素材から作り出すエネルギーシステムです。
「ソーラー発電システム」「ロケットストーブ」「ウッドガスストーブ」「コンポストトイレ」などを例に、それぞれどのようなものかを説明しながら、これまでの「エネルギーはお金で買うもの」という価値観を離れ、「自ら作り出す」という新しい選択肢を提案します。

災害時にも強いオフグリッドライフを楽しむ

前回はタイニーハウスと呼ばれる家にはどの様なものがあるのかを紹介しましたが、今回はさらに掘り下げて実際に暮らす際に切っても切れないエネルギー問題にスポットを当ててみましょう。

電気、ガス、水道など暮らしには欠かせないライフライン。しかし移動を前提としたモバイルハウスを筆頭に、既存のインフラを使えない場合には、どの様な手段があるのでしょうか?
実際に使われているそれぞれの方法を知る事でタイニーハウスで暮らすというイメージを、よりリアルに描いていただければと思います。

 

電気は基本、ソーラー発電で

まずは電気から。僻地に建っていたり、周辺の環境や景観に配慮したほとんどのタイニーハウスの電気は、ソーラー発電システムによってまかなわれています。「ソーラーパネル」、キャンピングカーのバッテリーとして一般的な「ディープサイクルバッテリー」、電源の出力を調整する「パワーコントローラー」、発電した電気を交流電気に変える「インバーター」を繋げた物が多いです。

国内では、ソーラーパネルのサイズに沿ったワット数のエネルギーをバッテリーに貯め、パワーコントローラーで調整した電気を、バッテリーで効率良く保存・使用し、インバーターで100Vに変換して使います。

もちろん発電量は天候に左右されますが、心配な方はバッテリーの数を増やして、晴れた日に多めに充電しておき、備えておけば大丈夫でしょう。
「それでも電気が無くなったらどうするの?」そんな時は別にソーラーライトを用意したり、電池を使ったり、キャンドルナイトを楽しむのも良いかもしれません。

最近は全国各地でソーラー発電システムの自作ワークショップが行われていたりするので、近所で開催されていれば、参加してみてはいかがでしょうか?ソーラー発電の構造自体はものすごくシンプルなので、一度覚えてしまえば、ネットで材料を購入して、一人で組み上げられるようになりますよ。

もっとシンプルに照明とスマホの充電だけ使えれば良いという方には、携帯用のソーラーシートとモバイルバッテリーだけでも電力はある程度まかなえます。筆者はAmazonで約5500円のソーラーシートと、約3600円のモバイルバッテリーを購入して使っていますが、普段だけでなく、旅行中にもかなり重宝しています。
ライトだけでなく、最近はUSB端末のミニ扇風機などもあるので、用途も幅広く使えます。

自然素材を利用した燃料で贅沢な時間を過ごす

ガスはプロパンを使えばいいのですが、調理はカセットコンロで代用するのもお手軽です。
冬の間は石油ストーブや薪ストーブを活用すれば、暖を取るだけでなく、お湯を沸かしたり煮物などの調理もできるので一層無駄がありません。
あとは自然素材を有効に使ったロケットストーブやウッドガスストーブもオススメ。ロケットストーブは煙突効果と上昇気流を利用した薪を使ったストーブで、暖を取るのも調理するのにも重宝します。あらかじめ薪を備蓄をしておけば、災害時や豪雪時にも心強いです。

ロケットストーブは自作もできます。
材料はL字煙突と一斗缶に五徳を乗せて、隙間に木灰や園芸用のパーミキュライトを詰めれば完成。費用も5000円以内で収まりますし、工具もキリと金切りハサミだけで大丈夫なので、女性でも作れます。タイニーハウスの中に上手く取りこんで、調理と暖房を一つのロケットストーブだけでまかなっている家もあります。

薪のガスだけを燃焼させて炭とエネルギーを作り出すウッドガスストーブ

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via:ソライロオテガミ ビールの樽を使って作られているウッドガスストーブ

もうひとつ、燃料として考えられるのは「ウッドガスストーブ」。
これは薪のガスだけを燃焼させ、最後に炭が残るという夢のようなストーブです。使用する薪は、ウッドガスストーブに合わせたサイズに加工しないといけませんが、手間以上の価値があります。ロケットストーブほど大きく無いので場所もあまり取りませんし、しかし火力も十分強力です。

ウッドガスストーブではお湯も湧かせるので、ライフラインが止まってしまい、お風呂に入れない時は、あらかじめドラム缶風呂を作っておけば、お風呂に入れます。
そんな風に使いたい時には、水タンクの設置や薪の備蓄も忘れないようにしましょう。

筆者は実際にドラム缶風呂を作って実験した事があるのですが、通常の薪なら約1時間かかるところをウッドガスストーブでは20〜30分でお湯が沸きました。

ドラム缶は運が良ければガソリンスタンドで貰えます。あとはホームセンターで揃えられる材料だけで作れるのですが、ドラム缶の穴あけや切断は、ものすごく大変です。
ドラム缶はすごく硬いんです。すごく根気のいる作業で、汗だくになるかもしれませんが、その汗は自作したドラム缶風呂で流してください。疲れと苦労なんて吹き飛ぶくらい気持ちいいですよ。

ただ、屋外での焚き火や薪を使っての調理などは公有地、私有地に関わらず各自治体の法律や条例によって禁止、制限されている所もありますので、屋外で火を扱う場合は、それぞれの自治体に確認して下さい。住宅街でもあらかじめ消防署に届けていれば、庭でロケットストーブ等の使用が可能な自治体もあるようです。

キャンプ場や野外フェスの会場作りにも使える、上下水のあれこれ。

上下水道の設備があれば問題ないのですが、設備が無い場合は、タンクで飲み水や生活用水を確保して排水は別のタンクに溜めるケースがほとんどです。なので食器や手を洗ったりする時の洗剤などは、自然に還るナチュラルな物を選んで使うことが必要になってきます。
トイレも簡易トイレや仮設トイレなどありますが、自分で作れるトイレとしてはコンポストトイレという選択肢があります。

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Via:野菜作りの記録 消臭の酵母は身近な材料でつくれます

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Via:野菜作りの記録 できあがると発酵してぶくぶく

コンポストトイレだと、タライとポリダストボックス、便座を用意すれば、あとは木材等で囲いや便座まわりを手作りすれば1日で作れます。
気になる匂いも「えひめAi」という納豆菌をベースにした発酵素材をつくって振りかければ、ほぼ消臭することが可能です。

筆者は10年間沖縄で野外フェスをオーガナイズしていますが、トイレをレンタルするのは高いので、コンポストトイレを作るのもいいなあと思いました。

オフグリッドで得られる、新たなエネルギー確保の手段と安心

日本は自然災害の多い国です。東日本大震災や豪雪、火山の噴火や台風に伴う土砂災害などで、既存のライフラインに依存しないエネルギー確保の模索や、各々が自給するオフグリッドが注目されはじめました。

タイニーハウスムーブメントのように、住まい方の選択肢も多様化してきましたが、生活や家と切り離せないエネルギーの問題も、多様化が急激に進んでいます。

タイニーハウスもオフグリッドハウスも、「自分の使う物は自分で作る」という考えが、ムーブメントの基本的な考え方になっています。
実際に、アメリカでもタイニーハウスに住む人は、オフグリッドを生活に取り入れることが多いそうです。

私たちは東日本大震災で、気軽で便利なこれまでのライフラインが、何かのきっかけひとつで全て機能しなくなる脆さを目の当たりにしました。
今後も起こりうる災害に備えて暮らしていかないと、また同じ様な危機にさらされる可能性は否定できません。

それならば、日頃からベランダでソーラーパネルを使ってエネルギーを自給したり、都心から離れているのであれば薪などを使った不便でも豊かな暮らしを楽しむことも、選択肢ひとつとして良いのではないかと思います。

首都直下型地震をはじめとする様々な不安要素から目を背けずに、毎日を楽しみながらオフグリッドライフを楽しむのも、これからの住まい方の一つのスタイルとなりうるのではないでしょうか?

次回、最終回は、タイニーハウスから学ぶ新しいライフスタイルについてお伝えします。

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Writer 岡田拓治

1979年大阪生まれ。21歳の時に飲食業で独立し、24歳で売却。遊んで暮らす事を決めて海外を1年放浪後南の島に移住して悠々自適なスローライフを楽しむ。自身の名前を冠した野外フェスを巨大鍾乳洞や聖地での開催、スピンオフイベントでミクロネシアの無人島フルムーンパーティーや屋久島皆既日食ツアーなども行い10年続く。10年以上遊んで過ごしていたら遊び疲れ、第二の人生を心機一転スタート。したい事を全部する人生を実践しながら新しい事に挑戦する毎日を送っている。特技は火喰いと催眠術。現在は全国各地からファイアーパフォーマンス出演や料理教室などで呼ばれるようになり、沖縄を拠点に全国を回っている。

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