Tiny House Workshop

タイニーハウスワークショップ後半リポート

竹内友一プロフィールアイコン | 2015.3.19
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長かったようで短かった3ヶ月のワークショップ、怒涛ごとく過ぎ去った時間でしたので、振り返るまでに少し時間がかかりました。前半戦のハイライトに続き、後半3回分のまとめをしました。最後にワークショップ全体をまとめた映像がありますので、お楽しみに!

ワークショップ前半の様子はこちら ⇒ タイニーハウス・ワークショップ 前半戦ハイライト!

手づくりのある暮らし

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ワークショップ後半の最初の講師はデンマーク出身のイェンス・イェンセンさん。デンマークでは都市部に暮らす人たちが郊外に小屋付きの庭(庭付きの家ではなく)を持ち、休日をのんびり過ごしているそうです。

集合体を意味するコロニーと、庭を意味するヘーヴから生まれたのが「コロニヘーヴ」という言葉で、意味は「庭のコミュニティ」ということ。タイニーハウスに生活の全てをシフトする前に、このように自宅は維持しつつ、小屋の使い勝手を体験してゆっくりとダウンシフトしていくのも良いのではないかと思っています。

「デンマークでは小さいころからモノづくりに親しんでいて、何でも自分でつくったり直したりが普通に行われているんだよ。」とイェンスさんは言います。
私たちは暮らしの中で何かの必要に迫られると「どこで何を買おう」かと悩むことが多いのですが、「どのように解決しようか」「何をつくろうか」と考えることで、余暇を自分の生活に直結した実りある、楽しい時間にすることができるのではないでしょうか?

デンマークでの「コロニーヘーヴ」は法律もあるほど生活に浸透しているようで、国や自治体が公共サービスとして運営していて、利用料も安価に抑えられているそう。そんな説明も簡単にイェンスさんは外に飛び出して行きました。参加者のみんなも慌てて外へ。

生活者であり表現者であるということ

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ワークショップではレクチャー以外の時間は外での作業。どこか座れる場所が欲しいよね、と参加者と話していたので、イェンスさんと一緒ににアウトドア用の椅子をつくりました。

手書きの設計図をみんなに渡すと「さぁどうぞ。」と細かい説明はありません。それぞれが与えられた材木とにらめっこして加工します。マニュアルがないので、頭の中で自分なりの方針を固めて、今までに身につけた技術を総動員。「言われる通りにやるのとは違う」同じ結果を目指しているのに、途中経過がまるで違うことに気づいて大笑いをしました。

さすがに夕方は寒くなってきたので室内に戻り、グループごとにコロニーヘーヴをデザイン。小屋のある庭をテーマにここでもいろいろな意見が交わされました。「買う」から「つくる」に考え方をシフトすることで、より自分らしい個性的な、そして多様な表現が生まれます。それは身体や頭脳、場所、仲間など自分の置かれている環境が掛け合わさってできた成果。どこのお店に行っても売っているものではないのです。

とうとうシャーシが到着!

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実はワークショップの前半3回はタイニーハウスの土台であるトレーラーがない状態で仮組みをしていました。後半になってとうとうアメリカからの特注品が到着。本物のシャーシを前にして、モチベーションが上がります。ゲートが開いて走り出す競走馬のように、全員が駆け足で動きます。床ができ、壁が立ち上がり、屋根まで一気に。これまでの数回のワークショップでチームが機能し始めてきた感じがしました。

エネルギーのシフトの先に

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このワークショップで作った「タイニーハウス」の基礎は車輪のついたシャーシです。幅が2.5m、長さ4mとちょっと、高さが地面から約3.8mの移動できる小屋。このタイニーハウスの本場アメリカでは、いくつかの理由でオフグリッド(電気やガス、水道などのインフラを外部に頼らない)なものが多いのです。

理由は「季節ごとに居住地を移動するから」「インフラの固定費を支払いたくないから」「インフラから外れた自然環境豊かな場所に住みたいから」など様々。日本では災害時に緊急用のシェルターとしての利用も考えられるので、電力の自給に取り組んでいる藤野電力の小田嶋さんに来ていただきました。

【藤野電力とは】2011年3月11日の震災、そして福島の事故を機に、今まで当たり前として世の中にあった様々な常識がほころびつつあります。安全安心に毎日を暮らしていくには、エネルギーも今までの中央集権型から、住民が自ら参加出来るような自立分散型へ移行していきたい。そしてエネルギー消費自体を少なくしつつも、我慢ではなく、より新しく、より楽しく生きていけるような暮らし方へと移行していきたい。
藤野電力とは、自然や里山の資源を見直し、自立分散型の自然エネルギーを地域で取り組む活動です。そして目指すものは、エネルギーシステムの移行自体より、むしろそれによってもたらされる、地域の豊かな未来なのです。(藤野電力HPより)

自給エネルギーの安心感

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毎日使っている電気ですが、実は自分がどの程度消費して、その電力はどのような発電方法でつくられているのかなど、普段の暮らしの中では考えることも少ないのではないでしょうか?タイニーハウスは小さいのでどのような電化製品を利用するのかは大きなテーマです。暖房や給湯、調理器具など暮らしに必要なエネルギーをまかなうために、電力だけでない選択肢も考慮する必要があります。

ワークショップでは出力200wのソーラーパネルとチャージコントローラー、インバーター、バッテリなどを組み立てながら電気の仕組みを学び、このシステムで発電、充電して、どのような機器が動かせるのかを考える良い機会になりました。
小田嶋さんは、居間のコンセントをひとつ自家発電からのアウトレットにする方法を教えてくれました。「暮らしの一部だけでも自分で支えられる仕組みがあると安心ですね。」災害があった場合でも最低限の電力を自給できるシステム。全て自給できなくても、まずはできることから始めてみる。そんな緩やかなスタートもいいですね。

製作も佳境に、カタチがみえてきました

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12月前半の山中湖は昼を過ぎるとどんどんと気温が下がっていきます。たき火で時々温まりながら、作業は進んでいきます。内装チーム、外壁チーム、屋根のシングル材を量産するチームと3つのグループが受け持った仕事をこなしていきました。内部は断熱材を壁内に入れて、内部の仕上げ材(天竜のスギ)を、外壁は御殿場のスギを丸挽きしてもらったものを樹皮側の曲線を楽しみながら張りました。屋根は地元のスギを定尺でカット、グラデーションになるように防腐剤を調色して色の違う板をつくるところまで。次回がオープンハウスということもあり、集中して作業ができました。

とうとうフィナーレへ

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12月20日(土)タイニーハウス・ワークショップの最終日でオープンハウスを翌日に控え、最後の作業日ですが生憎の大雨でした。まだまだ完成までには程遠い状況で、参加者の皆さんは一致団結して完成したタイニーハウスを見てもらおうと、びしょ濡れになりながら黙々と作業を続けました。屋根の下地、破風の加工、床材、屋根材の加工など作業は続きます。

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そうこうしていると夜になり、星空がキレイに見えてきました。お披露目の日は晴れてくれそうです。

OPEN HOUSEと小さなマーケット

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とうとうお披露目当日。朝早くからゾロゾロと集まり作業開始です。
オープンハウスではワークショップを応援してくれている仲間も来て小さなマーケットをやってくれたのですが、現場に来てまだ作業してるのを眺めながら「実際につくっているところを見れるのも面白いね。」とのこと。参加者やスタッフの家族、少しずつ集まるお披露目を楽しみに来た人たちも目の前で製作している姿を眺めながらいろいろな質問をしていました。みんな自信を持って答えている姿がとても印象的で、結果オーライということになりました。

みんな楽しい1日

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昼過ぎにはようやく作業も終えて、オープンハウスに来てくださった方々に見てもらえる状態になりました。そして、ほぼ完成したころにアイリッシュバンドのtricolorさんがお祝いの演奏をしに来てくれました。大雨の後のスッキリした空気の中、できたての小さな家と心地よい楽器の音色にその場にいた人はみんな笑顔に。半年間かけてつくってきたタイニーハウスの誕生日は、とても良い1日。小さなマーケットも大人気で、大人から子どもまでのんびりと過ごせる1日限りの素敵な空間ができました。

photo by Ben Matsunaga(未来シネマ

今後の展開 >> 映画つくります

今回12人の参加者はいろいろな動機で全国から集まってきました。家を引っ張りながら移動して各地で絵を描きたい、地震などに備えてオフグリッドなシェルターにしたい、南の島でゲストハウスをしたい、未活用の山でみんなの遊び場をつくりたい、などなど。この小さな家にいろいろな夢を思い描いて、しかも自分でつくろう!と。そこには様々な暮らしのイメージがありました。しかし、実際にはいろいろなハードルがあるだろうなと、みんなが思っていたのです。

インターネットの世界には無数のタイニーハウス関連の情報が毎日アップデートされていますが、実際に生活している人の生の声が少なく、この小さな空間で暮らすことでクオリティ・オブ・ライフ(生活の質)が向上しているのか疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。
僕の身の回りから聞こえる「写真よりも、生の声が聞きたい」という意見から、今後は実際にタイニーハウスに住む人に聞いてこようと思っています。

タイニーハウスに暮らす前の心境や、暮らしに踏み切る決意、暮らしの変化、生活の質や困っていることなどはもちろん、小屋暮らしの醍醐味も含めて「暮らし」をキーワードに取材する予定です。タイニーハウスに興味があるけれども、まだ踏み込む勇気がない、そんな方々に未来の暮らしのイメージをしてもらえるような映像にしたいです。

クラウドファンディング始めました。みなさん、ぜひご協力ください。
(下のイメージをクリックするとMotion Gallryのクラウドファンディングページにジャンプします)

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最後にまとめ、ワークショップの映像

TINY HOUSE WORKSHOP JAPAN 2014 from simplife on Vimeo.

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Writer 竹内友一

1974年生まれ、東京在住。タイニーハウスビルダー。 20歳で渡欧、イギリスやオランダのクリエイターの下で便利屋家業、たまに不思議な日用品を制作、発表。8年後帰国、立体作品の制作を休止。以降、環境学習などソフトウェアのデザイン、人と自然をつなぐ体験プログラムの制作に専念。2008年ころから小屋の制作開始。2010年、株式会社ツリーヘッズ設立。ツリーハウスやタイニーハウスの制作をしながら全国各地を旅している。タイニーハウスワークショップ2014 企画運営担当。

FB:tinyhouseworkshop
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