【タイニーハウスに行ってみた】「Marjolein in het klein」のオープンハウス

(c)Naoko Kurata
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みなさま、こんにちは。オランダ在住ライターの倉田です。オランダにおけるタイニーハウスの先駆者である女性が、毎月1回オープンデーを開いているというので、10月の秋晴れの日に見学に行ってきました。今回は「タイニーハウスを建てて人生ががらりと変わった」というその女性のお話をしたいと思います。

数百人が訪れる毎月恒例のオープンハウス

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こちらが、そのタイニーハウスのオーナーであるマリョレインさん(Marjolein Jonker)。「あれ、この女性をどこかで見たことがあるような気がする」という方は大正解です!実は以前「世界の小さな住まい方」で彼女が建てた家を紹介したことがあります。

参照記事:オランダのタイニーハウスムーブメントの立役者が建てた「Marjolein in het klein」

オランダにおけるタイニーハウスの情報ポータルサイト「Tiny House Nederland」を開設・運営していたことから、タイニーハウス・ファンの間では知られた存在だったマリョレインさん。2016年5月にこの家に住み始めて以来、さまざまなメディアの取材にされ露出が増えたことで、今までタイニーハウスを知らなかった人にも知られるようになってきました。それに比例するように問い合わせなども増え、反響に応えて入居2か月後にはオープンデーを開催することを決心したのです。

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7月初旬の週末に設定した最初のオープンデー(彼女はオープンハウスと呼んでいますが)には、なんとなんと500人もの見学者が押し寄せたというのです!彼女の家まで続く道に長い長い列ができ、「午後1〜4時までを予定していた見学時間を大幅に過ぎても見学者の対応に追われた」とマリョレインさんは楽しそうに話してくれました。筆者が見学に訪れた10月は第4回目のオープンデーでしたが、その前月の3回目ですら150名ほど見学者がいたそうです。どれだけマリョレインさんのタイニーハウスが注目されているか伺えますね。

(c)Naoko Kurata
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筆者も見学者の一人ではあるものの、「そんなに大勢の人が訪れて大変じゃないの?」と率直な疑問をマリョレインさんに投げかけてみました。すると彼女は「とんでもない!毎日でもオープンデーを開催したいくらいよ!」と明るく答えてくれました。見学者が彼女の家を見て驚いたり感銘を受けたりする姿を見るのは、彼女自身にとっても嬉しいことなのだとか。見学者にタイニーハウスの現物を見せているだけではなく、彼女自身もオープンデー見学者たちからインスピレーションをもらっているそうです。

タイニーハウス・ムーブメントを牽引するマリョレインさん

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彼女が運営するホームページの問い合わせや、オープンデーの見学者から、タイニーハウスを実際に建てたり住んだりすることに関して多くの質問が寄せられているのだとか。主に法律関係の複雑な項目ですが、彼女自身の経験を踏まえて回答したり、しかるべき人を紹介したりと、今では組織化もできていると語ってくれました。

ちなみに、オランダでもトレーラーハウスに住むには自治体との煩雑な取り決めがあるそうで、国内のトレーラーハウス居住者の中には「通年(一年中)その家に住める許可」を取得できていない人もいます。そんな中でもマリョレインさんが住むアルクマール(Alkmaar)という街の自治体は非常に好意的に手続きを進めてくれているそうです。いまはまだ「5年間その土地に住める許可」を取得するためのプロセスの途中(仮許可での居住)だそうですが、そんな彼女自身の経験が多くの人の助けになることでしょう。

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そういう経緯もあり、今ではタイニーハウスに関するレクチャーやワークショップの講師も務めるようになったのだとか! このオープンデー前日には、デンヘルダー(Den Helder)という街で開かれたタイニーハウスに関する講義に彼女も講師の一人として参加。約130人も参加者がいたそうです(当日の様子は、こちらから見られます)。11月にも別のワークショップの企画があり、それもあっという間に定員オーバーとなる人気ぶり。ウェイティングリストに50名以上予約待ちの人がいるので、「最低でも、あと3回は開催しないと!」とマリョレインさんは目を輝かせながら語ってくれました。

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彼女自身が「タイニーハウスに住んで人生が変わった」と語るお話をもっと聞きたかったのですが、ここでタイムアップ。実は特別にオープンデー開始前に少し時間をいただいてお話を伺っていたのですが、1時になると同時に続々と見学者がやってきました。シニア世代のご夫婦だったり、小さな子供連れのご家族だったりと顔ぶれはさまざまでした。

理想の暮らしを叶えるタイニーハウス

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筆者も改めて、家の中を見学。

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自分がかつて記事にした家を実際に訪問できるなんて不思議な気分です。写真で構造などは把握していましたが、実際にマリョレインさんが数カ月過ごしたこの家にはリアルな「暮らし」の面影があります。そこがモデルハウス見学との大きな違いだと感じました。

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そして、二匹の猫(JackとHella)と暮らすこの家には、特別な仕掛けがあるのを発見。実は、人間用ドアの横に猫専用の出入り口もあったのです。

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これなら、ドアを締め切る冬や夜でも自由に出入りできますね。気ままな猫もストレスなくタイニーハウスで同居できそうです!

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そしてマリョレインさんは、家庭菜園や生ごみを堆肥化できるコンポストを実施していました。しかも最近はニワトリも飼い始め、自家製卵を楽しんでいるようです。なんてうらやましい!さらには雨水を濾過してキッチンやシャワーに循環させたりと、とても環境に気を使った生活をされています。

(c)Naoko Kurata
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彼女の住む場所は決して極端な僻地ではなく、アルクマールという大きな街の主要駅から徒歩10分程度というアクセスの良い場所にあります。そんな場所でこんなに豊かな生活が営めるなんて本当にうらやましいです。

今後もオランダのタイニーハウス・ムーブメントの中心的存在として活躍すること間違いなしのマリョレインさん。彼女の家と共に、その活動からも目が離せませんね。ぜひまた近いうちに、彼女の話を聞きに訪れたいと思います。

Via:
marjoleininhetklein.com