映画「365日のシンプルライフ」|鎌倉でアップサイクルを体験!世界に広がる「クリーニングデイ」とは?(後編)| 未来へつなぐアップサイクル

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映画「365日のシンプルライフ」は、すべての持ち物を一度リセットし「自分にとって本当に必要なモノ」と向き合い、「本当の幸せ」を探る実験的ドキュメンタリー。

前編の鎌倉でアップサイクルを体験!世界に広がる「クリーニングデイ」とは?に引き続き、後編の今回は、劇場公開中並びに、8/30の第2回「クリーニングデイ」に全国で上映会が開かれる映画「365日のシンプルライフ」で配給元のkinologue森下詩子さんへのインタビューをお届けします。

映画+ワークショップで感情や想いを咀嚼し自分ごとにする

新卒で映画の配給会社に入社し、独立するまで十数年、多くの映画配給に携わったという森下さん。

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「映画配給の仕事も新卒から管理職になるまで多くの作品に携わり、その頃には配給の仕事自体はルーティーンワークになりつつありました。その折に3.11や友人の事故死などが重なり、生きる意味や仕事の意義を深く考え始めるようになりました。そんな中で、私が送り出した大なり小なりの映画作品は、一人一人にどのように届いているのか?その温度感をもう少し深く知りたいと思うようになりました。」

配給会社の視点から、一映画ユーザーとしての“気持ちの変化”や“その映画が日常の中でどう咀嚼されていくのか”、一人一人のストーリーに関心が向くようになったそうだ。それを機に、映画を見た後にユーザーと対話をしたり、シェアリングをする、“ワークショップ”という手法を取り入れ始めたという。

「ワークショプという手法自体は、まったく映画とは関係無い所で学ぶ機会があり、こういった対話をベースとしたシェアリングを映画と紐付けたら、新しい映画体験を実現できるかもしれない。」

実際に映画上映後にワークショップを実践してみた結果は、大成功。
その場は新しい繋がりと発見の場として参加者は熱を帯び、生き生きとしていたという。

「今までの映画はツールとして、あまり生かされていないと感じました。”映画+ワークショップ”は、映画で感じた”感情や想い”をワークショップでの体験を通し”咀嚼”することで、一人一人の日常に落ちていく、”自分ごとにする”とでもいうのでしょうか。そういった一連のストーリーがそこには見えてきます。そういう新たな可能性を感じ、この活動をドイツ語で映画を意味する「kino」と、英語で対話を意味する「dialogue」を合わせて「kinologue(キノローグ)」と名付けました。」

映画教育が進むフィンランドでの出会い

今回のフィンランド映画「365日のシンプルライフ」はどのような経緯で配給することになったのだろうか。

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「プライベートで何度もフィンランドへ足を運ぶ中で気付いたのが、フィンランドの映画教育はとても進んでいるということ。イギリスやフランスでは、制作者の目線や意図を理解して映像を観ることや撮ることを教えますが、フィンランドでは映画のテーマや内容に沿っていくつかのトピックを準備し、それが映画によっては音楽や美術、社会や地理の授業になったりするんです。その教育にとても感銘を受けました。その後、映画教材を作っているNPOの方と知り合いになることができ、日本でも同じ教材を使った映画ワークショップを開催することになりました。」

帰国後そんなワークショップを重ねながら、いつしかフィンランド映画を日本で配給することを目標としていたそう。

「教材を使ったワークショップから1年後にまたフィンランドを訪れて映画を探しました。日本で興味を持ってもらえるトピックは、デザインか教育かライフスタイルだと思っていたのですが、その時にやっとトピックに合う『365日のシンプルライフ』に出会うことができました。」

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「この映画は、フィンランドの若者が自分の持ち物を全部倉庫にあずけて、そこからモノを1日1個選んで持ち帰る1年間のドキュメンタリーです。2万個あった自分の持ち物を365個にし、『自分にとって必要なものは何か?』ということを考えるというストーリーです」

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主人公ペトリが行なった実験生活のルールは実にシンプル。守るべきはたったの4つ。

1. 持ちモノ全てを倉庫に預ける
2. 1日に1個だけ持ってくる
3. 1年間、続ける
4. 1年間、何も買わない

“必要が満たされた時に、人はモノに何を求めるのか?”
“モノを買わないと決めたのに、直すより買った方が安い。どうしたらいい?”
“何のために、自分はたくさんのモノを持っていたのか?”
といった無数の問いと葛藤が、ペトリを襲う。

様々なモノや人々との関わりの中で、「自分を幸せにする、人生で大切なものは何か?」の答えを、ペトリは見出していく。

森下さんは実際にこの映画を観てどのように感じたのだろう。

「今の時代にマッチしている映画だと思います。フィンランド映画は暗くてディープなものが多いのですが、この映画はドキュメンタリーだけど、“社会にもの申していない、押付けがましくない”という軽快さを感じました。自分の中にある答えに寄り添い、導き出してくれるような。ぜひ皆さんもこの映画を通して『人生で大切なもの』に気付いていただけると嬉しいです。そして、この映画は観ると誰かと話したくなる、kinologueにぴったりな映画です。今後も、この映画のワークショップを色んな形で実施していきたいと思っています。」

映画「365日のシンプルライフ」は渋谷ユーロスペース他全国順次ロードショー中です。詳細はオフィシャルサイトにて。

8月30日(土)第2回「クリーニングデイ」開催!

そして今週末、8月30日(土)に第2回「クリーニングデイ」が開催されます!今回は鎌倉のみならず全国20カ所以上での開催が決まっているそう!クリーニングデイのウェブサイトにてご確認下さい。