【特集コラム】ホームレス問題にタイニーハウスで挑め!新しい発想でビジネスの可能性が生まれる?

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Via: projectgregory.com
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みなさんは、駅や道端でホームレスを見かけたとき、どう思うだろう?できればあまり関わりたくないし、自分には関係のないこと……。おそらく、大部分の人がそう思っているのではないだろうか。

私自身がそうだ。すぐに自分の身に同じような境遇が降りかかってくるとは思えないし、「ホームレスは仕事をせずに怠けている人」といった固定観念さえ持っていた。

ホームレスの問題は、日本だけでなく、世界的にも大きな社会問題の一つだが、解決するにはさまざまな分野やサービスを横断的に調整していく必要がある。今回は、そんなホームレス問題に、タイニーハウスを使って解決策を提示した取り組みを紹介したい。

「タイニーハウス」を使ってホームレスを支援するプロジェクト

ホームレスに対する支援というと、公園での炊き出しや、定職に就くためのサポートなどを思い浮かべる人もいるのではないだろうか。日本でも、ホームレスの自立を助ける活動を地道に続けているNPOやボランティア団体も多い。

誰かのゴミは誰かの大切な家に変わる「Homeless Homes Project」
Via: sacbee.com
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Via: tinyhouseblog.com
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カリフォルニア州のオークランドに住む芸術家、Gregory Kloehnは、道端のゴミを使い、ホームレスのために小さな家を作ってプレゼントする、という取り組みを長年続けている。

オークランドは工業地帯ということもあり、不法投棄や産業廃棄物に悩まされていた。彼が作る家のほとんどは、これらのゴミを再利用して作られたものだ。道端に廃棄されたゴミの中から、使えそうな材料を集めてきてホームレスのための小さな家を作る。ゴミから生まれた建物は、一つ一つが個性に溢れた、世界に一軒だけの誰かの大切な家になる。

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ゴミを再利用することで、建設費は1軒あたり約50ドルまで抑えることができた。地元の学生や地元企業に部品を提供してもらうなど、小さな家をホームレスのためにプレゼントするという取り組みは、徐々に地域の人を巻き込んだ活動に発展。これまで作った家は、10軒以上になるという。

もう一つ、ゴミを家に変えるのではなく、スロバキアの都市、Banska Bystricaで実験的に行われた、屋外広告をホームレスのための仮住居にする、というプロジェクトを紹介したい。[protected]

屋外広告をホームレスの仮住居に変える

グレゴリープロジェクトと名付けられたこの活動は、看板や広告スペースを使って、ホームレスのための仮住居を提供することを目的にしている。

屋外広告を家に変えるとはいったいどんな方法なのだろうか?写真を見てみると、看板の下から階段が伸びているのがわかる。

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このように、広告をそのまま壁の一部として使い、後ろ側に小さな家をくっつけてしまうという、斬新なアイデアが採用されている。家の中は2つの部屋に分かれ、1つ目の部屋には玄関と小さなデスクのあるキッチン、さらに収納スペースの上にベッドが配置されている。

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2つ目の部屋には、バスルームやクローゼット、洗面台やトイレに加え、シャワーまで完備。建物はコンクリートの床に木製の外壁、デザイン性が高く、ちょっとしたおしゃれなワンルームといった雰囲気すら感じる。広告と広告の間に部屋を作るため、三角形の形をした建物になることもあるという。

看板を建物の一部として活用することで、建設費や材料費も、ゼロから建てるよりは安く済むだろう。実際の建設費用は掲載されていないが、材料費や建設費は広告スペースの費用に上乗せされ、企業側が支払うという仕組みだ。

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新しい発想と日本での可能性

ホームレス問題に対して、新しい発想を持ち出したという意味では、広告をそのままタイニーハウスにしてしまうグレゴリープロジェクトは、第3のアプローチと言えるのではないだろうか。支援者と被支援者、1対1の心温まる関係を築いた「Homeless Homes Project」も、もちろん素晴らしいが、グレゴリープロジェクトの新しさは広告主や広告を見る人など、支援者と被支援者の間に新しいプレイヤーを巻き込んだことだ。

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これらのことを日本でやろうとした場合、インフラ面の問題はもちろん、なによりも広告主が、ホームレスの住居を提供するために積極的に広告費を支払うことは難しいのが現状かもしれない。

しかし、プレイヤーが増えることで選択肢が広がり、ビジネスモデルとして応用できる可能性も出てくるだろう。日本でグレゴリープロジェクトをやるとしたら、どんなビジネスモデルになるのか、ぜひみなさんのアイデアも聞いてみたい。

住宅としてのタイニーハウスではなく、ホームレス問題のためのタイニーハウス、そして、広告をそのままタイニーハウスにしてしまう、という発想は、ビジネスのヒントにもなりそうだ。

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inhabitat.com
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