フリーランスエディターのDIY的八ヶ岳暮らし

【新連載】第1回:いつもの仕事を、八ヶ岳の麓で。都心から移住したいきさつ|フリーランスエディターのDIY的八ヶ岳暮らし

増村 江利子プロフィールアイコン | 2015.5.21
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こんにちは。フリーランスエディターの増村江利子です。

まずは、簡単に自己紹介を。
Web制作、広告制作、編集を経てフリーランスエディターに。greenz.jpエディターを務めるほか、アート、建築、暮らし、まちづくりなどをテーマに、ライターとして記事を執筆しています。

東京都・神楽坂という都心で暮らしていましたが、昨年末から長野県諏訪郡富士見町に移住。八ヶ岳の麓で、DIY的暮らしを始めました。賃貸のトレーラーハウスに住み、“小さく暮らす”ことにこだわっています。
東京・新宿までは、特急あずさで2時間ちょっと。ずっと都心で暮らしていた私が八ヶ岳に移住したいきさつを紹介します。

生きるためのリテラシーを取り戻す

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グランドラインが工房として使っている旧牛舎にて。右から徳永青樹、藤原一世、矢崎典明、鷹見秀嗣、長久保恭平

昨年の秋、長野県諏訪郡富士見町で、人から譲り受けたものや廃材をつかって小屋づくりやリノベーションを行う、空間製作ユニット「グランドライン」を取材しました。

新宿から特急あずさで約2時間15分の富士見町に降り立つと、そこに広がるのは富士山と南アルプスの山並み。後ろを振り向けば八ヶ岳が一望できて、古くから結核病患者の療養地として知られるほど空気が澄み、ペンションや別荘も多いエリアです。

中央道から長野方面に遊びに行くときは、諏訪湖方面か、小淵沢から清里方面へ向かうといった具合で、これまで降り立つ機会のなかった諏訪郡富士見町ですが、むやみに観光産業を追わず昔ながらの暮らしが残る、美しいまちがあることを知りませんでした。

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太古の昔、噴火をする以前は富士山よりも標高が高い山として知られている八ヶ岳。上の写真では分かりにくいのですが、いつも赤々としていて、エネルギーを感じます

私は悠然と構える八ヶ岳の姿に惚れ込むとともに、グランドラインの彼らが考え、実践する力強いリアルな生き方にも惚れ込みました。

それは、ひとことで言えば、規格品よりも、規格外ということ。
そして、依存ではなく、自立ということ。

例えば、新品の規格品をメーカーに発注して取り付けるといった施工をするのではなく、廃材や使われずに民家に置かれている古材などから必要な材料を見つけ出し、交渉して調達したら、一般的な空間ではなく、その空間があるべき理由が存在するような、唯一無二の空間を自分たちの手でつくることです。

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パン小屋「Santeria(サンテリア)」photo:砺波周平

大量生産、大量消費の社会に対するカウンターカルチャーとしての「生きるためのリテラシー」が、今私の目の前にある。そんな感覚を覚えて、彼らの活動を伝えるだけでなく、自分自身もつくる側にまわりたいと考えるようになったのです。

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自宅から車で5分足らずでこの風景。人が飲めるくらいきれいな水が田んぼにひかれています

非効率だけど楽しい、丁寧こつこつの暮らし

フリーランスエディターとしての私の仕事は、会議やイベントがあるものの、SkypeやGoogle+ハングアウトでの会議が多く、ネット環境さえあればどこでもできます。

子育て中ではありますが、打ち合わせなどで東京へ通っても保育園の送迎に間に合う距離感で脱・東京を計画していた私に、少しも迷う理由はありませんでした。

移住をしたのは、グランドラインを取材して2ヶ月後のこと。知人宅を渡り歩き、4月から賃貸のトレーラーハウスでの暮らしが始まりました。(トレーラーハウスについては次の記事で紹介します!)

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大家さんが重機で突然やってきて、駐車場をつくってくれました。何とも頼もしい!

ここ富士見町での暮らしは、便利とはほど遠く、例えば部屋をあたためようと思ったら、薪を割って、ストーブにくべて、火をおこし…と、下手したら30分くらい掛かったりもします。

食べ物の買い物はもちろん、一通の封筒をポストに投函したいというだけでも車で20分。もちろん外食は非日常のものとなり、キッチンに立つ時間も長くなりました。

田舎暮らし=スローな暮らしと思われがちですが、ゆっくりしているつもりはないのに、たくさんの用事を効率よくこなせず、結果的にスローになってしまっているような気もします。そして時間がかかる分、暮らしにまつわるすべてのことが、丁寧になったようにも感じるのです。

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庭にはつくしやふきのとう、薬草などが自生しています

地域とともに“ご縁”で生きていく

ものを選ぶとき、食べ物を選ぶとき、その背景にある過程や思いについて考えたい。東京で暮らしているときもそう考えていたつもりですが、ものが集まっている都心では、例えば食べ物だとローカルフードと呼べるものも少なく、すべてお取り寄せをしているような感覚を持っていました。

今、何をどう選びとるのか、その選択はとてもシンプルです。それは、できる限り(食べ物だったらオーガニックな)長野県産を選ぶこと。山梨県産でもいい。今自分のいる場所がローカルであるというだけのことなのですが、そこに、未来に広がっていく気持ちのいい風がある気がするのです。

例えば、トレーラーハウスに設置した薪ストーブは、近所の薪ストーブ制作者が3年もの歳月を掛けてつくったものを譲り受けたり、薪は、開墾された雑木林の木を、数人でシェアしたり。他にも、使っている食器やふとんなど、暮らしに必要なあらゆるものを近くの人からいただいて、ありがたく使わせていただいています。

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趣味でつくったとは思えないほど高性能な薪ストーブ。部屋じゅうを温めてくれます

ただ消費するのではなく、いろんな人とつながって、そうしたご縁のなかで、地域とともに生きていく。
八ヶ岳の麓に広がっていたのは、消費するのではなく、つくる暮らし、だったのでした。
次回は、今暮らしている賃貸トレーラーハウスについて、詳しくお伝えしようと思います。

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Writer 増村 江利子

国立音楽大学卒。Web制作、広告制作、編集を経て現在はフリーランスエディター。一児の母。主なテーマは、アート、建築、暮らし、まちづくり。長野県諏訪郡へ移住して半年。八ヶ岳の麓で、DIY的暮らしを始めました。“小さく暮らす”をモットーに、賃貸トレーラーハウスにてミニマルライフを実践中。毎日を、ちょっぴり丁寧に暮らしたいと思っています。

FB:増村 江利子
TW:@eriko_n

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