【鶴川団地対談インタビューVol.2】  伝えたいことはたくさんある 鶴川団地“女子会”インタビュー

5月に鶴川団地へと引っ越してきたコミュニティービルダーの鈴木さんと石橋さん。しかし、まだ団地ではわからないことばかりです。そして何より、2人が切望しているのが、団地の人との交流。
今回は団地でのイベントや、住民同士の交流について教えていただくため、木原久美恵さん、鵜殿弘子さんをお迎えし、女子会を開催しました!

鶴川団地の大先輩とのトークは緊張気味にスタート

――まずはそれぞれ自己紹介をお願いしてもいいですか?

鈴木さん「鈴木真由と申します。5月末に引っ越してまいりまして、まだ1ヶ月ちょっとなんですけど、少しずつ団地の魅力をもう一人の相方と体感しています。もともとイベントプランナーとしてイベントの企画・運営に携わっていたことから人との繋がりというものに関心を持ちました。わからないこともたくさんあると思うんですけども、少しずつこの団地の人と繋がりを持てたらいいな、と思っているのでよろしくお願いいたします」

――ちなみに鈴木さんはおいくつなんでしたっけ。

鈴木さん「26歳です」

木原さん「あら。うちの孫と同い年ですね」

鈴木さん「えっ、そうなんですね!」

木原さん「ひとりは聖蹟桜ヶ丘で、もうひとりは本町田に住んでいるんです。あ、自己紹介でしたね。木原久美恵です。鶴川団地ができたころから住んでいて、もう50年以上になります。子育てもみんなここでしましたね。住んでいる部屋からは町田の街が全部見えるし、筑波山も富士山も見えて。毎日すごくいい景色が見えるから、引っ越せなくなっちゃいました」

鈴木さん「景色が気に入ってずっとここに、ということなんですね」

鵜殿さん「環境的には素晴らしい場所ですよね。私は鵜殿と申します。ここに来てからはまだ10年足らずなので、こういう場は気後れしちゃうんですけど」

鈴木さん「そんな! 今日はよろしくお願いします」

些細なことから始まる住民同士の交流

――木原さんは50年以上ここにお住まいということで。すごいですね。どういったきっかけでここに来られたんですか?

木原さん「たまたま主人がここを当てて。麻布で生まれて育ったんですけど、最初は、鶴川という場所も知らなかったし、引っ越すのが嫌で嫌でしょうがなかったんですよ(笑)
ほんとに狭いところでよく子育てしたな、って思います。でも、みんな同じぐらいの年代の人たちばっかりで、ドアも開けっ放しで子どもたちも好きに行ったり来たりしていたから、お互いに協力しあえていましたね。ちょっとおつかいに行くときなんかは、近所のお友達に預けたりなんかして。
1~2回、引っ越す予定があったんですけど、もう他には行きたくないな、って思っちゃったんです。
古くから住んでいる人たちは、今でも子どもたちは交流があるみたいなんですよ。親子の代で繋がっているんですよね」

鈴木さん「わあ、それはすごくいいですね……! 鵜殿さんは10年ぐらいなんでしたっけ」

鵜殿さん「私は三鷹より越してまいりました。現在はひとりで住んでおります。今は団地の中でいろんな楽しみ方を見つけ、お声をかけてくださる方もあり、ある程度ひとりを満喫しています」

――団地内では今でも結構交流があるんですか?

木原さん「今はもう誰が住んでいるから分からないから……」

鵜殿さん「そう。表札も出てないから、どんな人が住んでいるのかも全く分からないんですよね。個人情報だから、って事務所でも教えてもらえないし」

木原さん「うちの上の部屋は若い男の人が2人で住んでいるんですけど、全然繋がりがなくて。ちょっと怖い感じのする方だな、と思っていたんです。でも、年中、下に洗濯物が落ちてくるんですよ。そのたびに届けていたんですけど、いないから、ドアのところに置いてきていたんです。そうしたら、この間、突然、ドアノブにお菓子の箱がぶら下げてあって。お手紙も入っていたんですよ。こんな丁寧なことをされたら、と思ってね。『こういうのはお互い様ですよ。お気遣いなく』って、手紙と、お菓子の御礼に混ぜご飯と煮物を作ってドアに下げておいたんですよ。そうしたら、また丁寧なお手紙をいただいて」

鈴木さん「すごい、文通が始まったんですね」

木原さん「お手紙のやりとりしてみたら、全然怖くないですし、いい人たちでした。こういう繋がりができるとお互いに挨拶もできるしね」

鵜殿さん「交流がなくても、お名前だけでも分かれば高齢者としては少し安心できるので、そのあたりはURさんに検討いただきたいですね」

団地内にはたくさんの“活動”が

――木原さんは団地内ではダンスなどを習われているとお聞きしたんですが……。

木原さん「レクダンスって言ってリズムダンスみたいなのなんですけど。今流行りの曲から、演歌まで、全部振り付けがあって先生から教わるんですよ。おかげで最新の曲を知ることができて、娘に驚かれることがあります」

鈴木さん「そのダンスは先生から習っている形なんですか?」

木原さん「そうですね。集会所で週に2回習っています。披露の場もたくさんあるんですよ。東京都のイベントで代々木体育館まで行ったりして。そのたびに衣装もそれなりのものを用意するので、楽しいんです。もうかれこれ7年ぐらいになりますね」

――すごいですね! 鵜殿さんは「町トレ」をやられているんですよね。

鵜殿さん「はい、町田市の講習会に参加して約5年になります。現在、15名ほどの方々と一緒にがんばっております。一人ひとりが楽しく無理なく動的ストレッチ(ウォーミングアップ)、筋トレ、静的ストレッチ(クールダウン)をする30分の体操です」

――ダンスだったり、町トレがあるのはやはりおふたりにとっては大きいですか?

木原さん「大きいですよ。私なんかそれがないと困っちゃう」

ーーそういえば、町田は面白いスポーツを体験できる機会が多いイメージがありますが…

鵜殿さん「そうですね。ユニカールとか……」

――ゆにかーる……?

鵜殿さん「ご存じないですか?スイスから始まったスポーツで、陸上版のカーリングですね。心と体と、脳の健康づくりにどんな場所でもみんなで楽しめるんです」

鈴木さん「えー!知らなかったです」

木原さん「お年寄りを元気にするために東京都と町田市がいろいろ考えてやらせてくれているんですよね」

鈴木さん「どれも楽しそうですね。町トレのチラシは掲示板で見かけたことがあったんですが、てっきりリズムダンスをメインに活動されているのかと思ったら、いろいろやっていらっしゃるので聞けば聞くほど楽しみが増えますね」

話すことで広がる鶴川団地でのイベントアイディア

――石橋さんと鈴木さんのおふたりがお住まいになられたということで、せっかくだからイベントもしたいなと思っているんですけど、おふたりはいかがですか?

木原さん「お子さんって結構いらっしゃるのかしら?」

――団地を訪れる方は結構いらっしゃるので、子ども向けは成り立つと思います。

木原さん「以前、孫が小学校のときに、おじいちゃんおばあちゃんと給食を食べる会やおじいちゃんとおばあちゃんと遊ぶ会っていうのもあって」

鈴木さん「わ、いいですね」

木原さん「遊ぶ会では、お手玉とおはじき、竹馬とか昔のいろんな遊びを用意してくださってるんですけど、先生たちがお若いので、遊び方を知らないんですよ。それでおじいちゃんたちは竹馬の作り方を男の子たちに教えて、私はおはじきやお手玉の遊び方を教えたんです。そういう遊びを私たちは休み時間にやってたんですとげ、今の子たちは知らないんですよね。孫たちには私が全部教えてるんですよ。だからうちにはゲームを持ってこないんです。おばあちゃんとこに行くと遊ぶものあるからって。将棋はできないから、はさみ将棋をやったりとか、お金将棋とかやったり」

――お金将棋?

木原さん「知らない? 王様が出たらいくら、とかね」

鈴木さん「わあ、知らないです!」

木原さん「まあ! 教えてあげたい! おじいちゃんおばあちゃんとそういう遊びをやっていると、子どもたちは結構おもしろがるんですよ。体を使いますし」

鵜殿さん「小学校に行かせてもらえるチャンスがあれば、伝えられることもたくさんありますね。過去には2~3回老人会に小学校からお招きがあり、子どものころの遊びを1~2年生のお子さんと一緒にしたことがあります。子どもたちの楽しい姿を見ると私たちも元気がもらえますよ」

木原さん「私たちとしては伝えたいことがもいっぱいあるけど。そこがね、伝えようがないんですよね、今」

鈴木さん「でもいいですね。昔の遊びを一緒にやるイベント、団地内でもやってみたいです!」

気兼ねなく、若い人たちから声をかけてほしい

――最後になりますが、鈴木さんにお聞きしたいことや伝えたいことはありますか?

木原さん「心配なのが、いま、ご近所に同じ年代の方がいらっしゃるかなあ、って。互いに同じような環境の方がいないとやっぱりね。でも、お年寄りがいたら本当にみなさん助けてくださるから。なんでも相談したり、言ったりしたほうがいいですよ。おじいちゃんおばあちゃんがいらっしゃらない方は接し方が分からないでしょうけど、ただ頼ってくだされば、いくらでもお手伝いします」

鈴木さん「それで言うと、引っ越し当日に会ったご近所さんは会うたびに団地のルールっていうのを教えてくださって。あと、引っ越してしばらく洗濯機がなかったのでコインランドリーの生活を送っていたんですけど、使ったことがなかったのでよくわからなくて。そしたら近くにいた団地の方が声かけてくださったんです。思った以上にすごくみなさん教えてくださる、というか助けてくれるんだな、って思いました」

木原さん「頼ってくだされば本当になんでもしますよ。嬉しいですから」

鈴木さん「思った以上に助けて! って言っていいんですね。安心しました。ご近所さんをもっと増やしていけたらいいな」

最後は石橋さんも合流して記念撮影!

住まいの場所を教え合ったり、鈴木さんの「ぜひ遊びに来てください!」という言葉にも笑顔で頷いていた木原さんと鵜殿さん。鈴木さんも頼れる先輩と出会うことができて心強く思えたのではないでしょうか。仲良しのご近所さんを増やす第一歩を踏み出せた1日になったかもしれません。