【鶴川団地対談インタビューVol.5】 出会いはセントラル商店街 同世代で語り合う団地暮らしの良さとこれから

鶴川団地に引っ越してきて以来、まもなく1年になる石橋さんと鈴木さん。最初は「団地内に友達ができたらな」「行きつけのお店ができたらな」と話していたおふたりですが、実はそのふたつの野望を叶えていたのです。

今回は、石橋さんと鈴木さんが鶴川団地にやってきてからできたお友達・高師さんにインタビュー! 念願の同世代の友達ということで、インタビューの待ち合わせ場所にやってきたおふたりはニッコニコ。ふたりと高師さんが出会った「夜もすがら骨董店」でお話を伺いました。

3人を繋いだのはセントラル商店街のお店

――まずは高師さんの簡単なプロフィールからお聞かせください!

高師さん「今、溝の口にあるレンタカー屋さんに勤めているんですけど、最初は向ケ丘遊園に店舗があったんです。それで、その近くで家を探している中で、鶴川団地に出会いまして。去年の8月から団地で初めての独り暮らしデビューです。

年齢は、今度の4月1日で27歳になります」

――鈴木さんと学年が一緒ですかね?

鈴木さん「94年の代?」

高師さん「ですね」

鈴木「じゃあ一緒だ。94年生まれなんで、まさにですね。今知りました(笑)」

――最初、みなさんが知り合った経過というのは……

高師さん「ここです。夜もすがらで」

石橋さん「(鈴木さんと)ふたりで飲んでたときに、団地に住んでるんだったらそういえば高師も団地に住んでたよね、って店員さんから教えてもらって。来たら紹介するよ、って言っているそばから、高師さんが来た」

鈴木さん「本当に来た!みたいな(笑)」

石橋さん「紹介するよ!って言ってもらった数分後には知り合ってました(笑)」

最初の印象は「サックスの人」?

高師さん「最初はこんな若い人が住んでるんだ、って。逆にどうして住んでるんだろう? って思いましたね。自分も住んでいながら」

石橋さん「お互いになんで住んでいるんだろう? って思っていたよね、たぶん」

鈴木さん「私は最初のころの印象はサックスをよく吹いている、っていうのがあるかな」

石橋さん「サックスはいつからやってるの?」

高師さん「小学5年からやってるので14~5年ぐらい。もともと両親が吹奏楽上がりなんで、小学校にブラスバンド部に入った感じ」

鈴木さん「吹奏楽上がり(笑)」

 高師さん「楽器は親の希望で。何も分からないまま、やれって言われてそのまま。中学高校は吹奏楽部で、大学は何を間違えたか音大に進んでしまいました。キャンプに行く仲間はだいたい大学の友達ですね。常に楽器を吹きたい欲はあるんですけど、わざわざスタジオ借りてやるほどではなく、ここに来てふらっと来て吹くぐらい」

石橋さん「ミュージシャンがたくさん集うお店なので、本当にボーッとしていると自然とどこかで演奏がはじまるんですよね。で、みんながジョインしていって、いつのまにかセッションが始まっているんです」

 ――最高の環境ですね。 

石橋さん「音楽が人との媒介になっているというか。セッションが始まったり、音楽に合わせて踊ってみたり。生の音が集う場所ですね。だから、高師さんもサックスの印象が強かった(笑)」

鈴木さん「その日のうちに吹いているのを聴いてたしね」

団地で初めての一人暮らし、ワクワクが先行している

――いろいろ賃貸もあったと思うんですけど、団地にした理由はなんだったんですか?

高師さん「URのU35割で入ってるんで2DKっていう広さのわりと安かったからですね。ワンルームよりちょっと広いほうがよかったし」

石橋さん「広さ的にはうちと同じぐらいか」

高師さん「今度よかったらぜひ遊びに来てください」

鈴木さん「ぜひぜひ!うちにも来てください。私たちの趣味が詰まった空間になっているので」

高師さん「なってそうだなあ(笑)」

石橋さん「ひとりで2DKだったら、だいぶのびのびしてそうだよね」

高師さん「してるね~。でも一部屋は全く使ってなくて、出入りもしてない部屋になってる。窓があるからカーテンはさがってるけど、電気もない」

 

石橋さん「なに、座禅用の部屋?」

高師さん「いやいや(笑)もともと、YouTubeやってみたくて、動画を撮る用の部屋、と思っていたんだけど、思いのほかそんなに時間がなくて。一人暮らしだと全部自分でやらなきゃいけないから、いまはそっちに時間をとられている感じ。使ってない部屋があるって考えても、家賃は安いですね」

――実家から初めてのひとり暮らしで団地を選ぶことってなかなかないですよね。

高師さん「やっぱりそうなんですかね(笑)団地に対して特に苦手意識とかもなかったですし、仕事上定時で上がれる職場じゃなかったんで、日によっては朝早く出て夜遅くに帰ることも多かったんですよね。あんまり住むところにこだわりがなかったっていうのもあるのかも。そこそこ窮屈じゃない家であれば」

石橋さん「ミニマルな機能は全部ついているから、団地はいいよね。うちは最初、部屋におけるサイズの洗濯機が見つからないっていうのがあったな。昔のサイズ感だとなくて。ちゃんと見つかって今は問題なく使えてるけど」

鈴木さん「よく言う団地暮らしってそういうネガティブなポイントがあったりするんですけど、住んでみたらそうでもない。普通の暮らしはできてるし、そこまで不便することはないかな。イメージが先行しちゃってるのはあるのかも。当時の暮らしを想像できるっていう面でも楽しいかな。あと、収納が多かったり」

高師さん「押し入れ大きいね。うちの押し入れはふすま三枚分ある」

鈴木さん「でかっ(笑)」

高師さん「いまのところ、めちゃくちゃ空間余ってるね」

――住み始めてどうでしたか? なにか気がついたこととかありますか。

高師さん「確かに、収納が多いな、というのと……何するにしても初めてすぎて。親が転勤族だったので、引っ越しは慣れているんですけど、1人暮らしに関しては常にワクワクしている感じですね。

もともと鶴川に住もうと思ったのは大学の友達が鶴川に住んでいるからなんですよね。友達が誰も住んでいない土地よりかは誰かひとりでも知ってる人がいたほうがいい。大学も新百合ヶ丘だったので、この辺なら慣れてるかな、というのもありました」

鈴木さん「私もそれ大事だな、って思いました。同世代の方がいたら楽しいよね、っていう話は常日頃していて、ご縁があってここのお店に足を運ぶようになって、同世代の方とも知り合えて。そこからちょくちょくお会いするようになって、時間を共有できる人たちが増えていくのは楽しいな、って思いました。それはこれから住む人たちもそうなのかな」

――逆にこれから来る人は3人をめがけて来てほしいですね。

高師さん「夜もすがらさんにくればなんとなく繋がれます」

 石橋さん「この前、向かいのハーモニーさんに若い人たちが来て、団地に住みたいんですけど、どうすればいいですか、って聞かれたらしいんですよ。若い人で団地に住みたいっていう人はやっぱり増えているみたいですしね」

団地は20代にとっては新鮮な場所

石橋さん「よく家に友達が遊びに来てくれるんだけど、普通の家に行くより、ちょっとおもしろがってくれるのはあるな。リアクションが新鮮」

高師さん「確かに。一人暮らし始めたんだ、団地に住んでるんだよね、っていうと驚かれる」

石橋さん「家の中でゆっくりしたり、商店街のほうに行って焼き鳥買ったりとか。ケーキ屋さん行ったりとか、よもすさんやハーモニーさん行ったりとか。で、いい団地だね、って言って帰っていく、みたいな感じ多いですね」

高師さん「僕は友人を呼んで遊ぶ、よりも休みの日に出かける前乗りでうちに泊まってぐらいしかしてないですね」

石橋さん「キャンパーだからね。キャンプ仲間が前泊していく感じか」

――高師さんは鶴川団地で特に気に入っているところってありますか?

高師さん「気に入ってる場所はここ(夜もすがらさん)ですね。1日おきとか連日来ることもあるし。夕方以降が多いですね。週末は夜11時ぐらいまでやってるんですけど、仕事終わってから来たりとか。店主と女将がすごくフレンドリーだし、もともとバンドマンなので、音楽の話もよくするし」

こんな場所があるといいな。広がる希望

――何も制約もなく、鶴川団地にこういうのがあったらいいよね、と思う場所ってありますか?

石橋さん「スタジオじゃない?」

高師さん「そうですね、僕はスタジオがあったら嬉しいですね」

石橋さん「ミュージシャンも多いし、ニーズはあると思うんですよね。鶴川の駅前ってあんまりないよね。あと、僕はダンスをやるのでダンススタジオも」

高師さん「ないね。カラオケも意外と2店舗ぐらいしかないし。ここら辺に住んでいるミュージシャンどこで音を出すか問題があるよね」

石橋さん「鏡張りになってて、そこそこ防音になってるスタジオがあったらめっちゃいいのになあ」

高師さん「そうっすねー……(しみじみ)。ライブをする場所というよりは、練習したりとか、合わせたりできたらいいなあ」

鈴木さん「私は何かあるかなあ……。そういうスタジオがあるのもいいと思うし。具体的なお店とかは決まってないけど、商店街がいっぱい開いているといいな。ここに来て、ハーモニーさん行って、ちょっと奥行ってみようか、みたいな。そんなルートができていると、休日が充実するかな、って。ここの通りが活気を見せてくれるとよさそう。バランスもあるとは思うんですけど、エンタメも必要だし、衣食住のお店も必要だし、どっちもできればほしい」

石橋さん「僕はスタジオ以外だと、日常の買い物、みたいなのが欲しい。普通に仕事してると商店街しまっちゃってて、というのがあるのでそこでタイムフリーに変わるとありがたいっていうのはある。時間外でも商店街の商品が帰ると嬉しいな」

高師さん「仕事終わって帰ってくると商店街真っ暗ですもん」

石橋さん「そうなんですよね。それが寂しいっちゃ寂しいところですね。1日だけポップアップでコンビニやってみるのも楽しそうですよね。商店街の商品をピックアップして」

高師さん「確かに、そういうのがあるといいなあ」 

――今後、こういう仲間が団地に集まってくれたら嬉しいなあ、っていうのはありますか?

高師さん「ミュージシャン以外だとキャンパーですね。敷地でテント張っていいよ、って言う場所があったら、そこで寝る、とか」

石橋さん「団地内にバーベキューサイトもあったらいいよね」

高師さん「キャンプ場があったら、次の日休みだったら、仕事終わったあとに行こ!ってなるし」

鈴木さん「あ~めっちゃいい」

高師さん「火熾せれば最高ですけど、団地内だと厳しいだろうし、テント張ってビール飲めればそれでいいかな。そういうのが一緒にできる人がいたら楽しそう」

鈴木さん「物作りの人もいるのも楽しいな。この前、休日に陶芸の体験に行ってきたんです。物を買うという行為も楽しいんですけど、イチから自分たちで茶碗を作っていって作品に対する思い入れだったりとか、そういう体験もしつつ、教えてくださる方との対話も印象的だったんで。そういう作る体験ができるといいなあ、って。日常的に作れて、表現のきっかけにもなれたらいいですよね」

石橋さん「表現する人たちが団地に集まってきたら、異色な世界ができておもしろそう。スタジオとかも、作るための場だと思うので」

仲間、求む!

会話の端々からもお3方の仲の良さ、楽し気な様子が伝わってきた今回のインタビュー。

「団地にこんな場所があったらいいよね」というアイディアも次から次へと飛び出してきたのが印象的でした。

人見知りだという高師さんは、商店街のお店の前を通ってもなかなか入るのをためらってしまうのだそう。石橋さんと鈴木さんが「案内するよ!」と力強く言っていたので、近々3人による商店街ツアーも行われるかもしれませんね。

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