第1回:はじまりのソーシャルデザイン|書籍版『未来住まい方会議』のつくり方

こんにちは。三輪舎の中岡と申します。

今月末(2016年3月末)に、YADOKARIの新著『未来住まい方会議』を、ようやく刊行する運びとなりました。出版に先立ちまして、この本の企画から出版に至るまでのお話、本の内容の紹介など合計5回にわたって連載をすることになりました。今日は初回なので、この本を作ることになったきっかけと、簡単に本の構成と内容をお伝えしたいと思います。

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『未来住まい方会議』のはじまり

2014年4月のこと。当時の私は、その2ヶ月ほど前に出版社「三輪舎」を起ち上げたばかり。一過性の花粉症に苦しめながら、三輪舎のコンセプトとして決めていた「暮らしの、もうひとつの選択肢」に沿う企画を考えていました。

考えるといっても、日がな、本屋にいって雑誌を読み漁ったり、FacebookやTwitterのタイムラインを流しながら、気になった言葉を検索したり…。そんな毎日でした。ある日、いつものようにFacebookで投稿を読んでいたところ、友人がシェアした記事のサムネイル画像に注目しました。

そこに写っていたスモールハウスの写真を見て、「これこれ、これだ。スモールハウスこそ、“暮らしの、もうひとつの選択肢”に違いない」と確信。勢いそのままにYADOKARIにコンタクトをとったわけです。

はじめまして。
出版社の「三輪舎」代表の中岡と申します。
YADOKARIさん(本来は様とお付けすべきでしょうが、きっとぎこちなく感じられると思いましたので「さん」と呼ばせていただきます)とサポーターの皆様のお書きになった記事を拝見しまして、感嘆し、わくわくしました。私は、これからのオルタナティブな生き方の模索を、出版メディアを通してお手伝いさせていただこうと思い、去る1/24に起業いたしました。もしご都合よろしければ、弊社にて書籍化をご検討いただくために、お時間をいただけませんでしょうか。
お手隙の際で結構ですので、ご返信いただけると幸いです。
お電話でも結構です。
宜しくお願い致します。

その後、すぐに返信をもらい、横浜駅のWIRED CAFEでお会いしました。話を聞くと、さわださんと私はなんと同い年(ウエスギさんはふたつ下)。生い立ちや考え方、感覚に非常に近いものがあり、その場で意気投合。すぐに本を一緒に作ることが決まりました。年内に本を出版するためのスケジュールを決めて、その場をあとにしました。

2014年4月、二年の前の春のことです。

書籍版『未来住まい方会議』はどんな本?

今回、三輪舎から刊行する『未来住まい方会議』はどんな本なのか。きっとこのウェブサイトの読者の皆様の中には気になっている方もいらっしゃると思います。

この本の帯には、こんな言葉を刻みました。

「小さな暮らしは新しく、懐かしく、そして豊かだ。」

「スモールハウスは原点回帰の住まい方。
社会を変える、はじまりのソーシャルデザイン。」

YADOKARIが著者・編者としてクレジットされている本はふたつあります。

ひとつ目は『アイム・ミニマリスト』。この本では、YADOKARIがインタビュアになって日本各地で小さな住まい方を実践している5人の“ミニマリスト”を紹介しています。
ふたつ目はリトルプレス「月極本」。アメリカや北欧諸国などの海外の小さな住まい方を紹介しています。
この二冊の本は、そのどちらも人々の具体的な住まい方に焦点を当てた、ウェブマガジン「未来住まい方会議」の延長線上にある本です。

この本は、それまでの二冊とはまったく趣を異にする本です。
ちょうどいまこの文章を書いている間に、本の一部抜き(本ができあがる前に確認用に送られてくるもの)が絶好のタイミングで手元に届いたので、目次をお見せします。

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書籍版『未来住まい方会議』に書かれていることは、次の三つです。

  • 誰でも小さな暮らしをはじめることができる(3/4/5章)
  • 世の中に対する違和感と湧き上がる好奇心さえあれば、「ほしい未来」は形になる(1/2/6章)
  • 「ぼくら」の世代がつくる、新しくて、懐かしいコミュニティの形(7章)

それまでの二冊が“具体例”の本だとすれば、この本は小さな暮らしとそれを実現するための“考え方”の本。

そして、YADOKARIのさわださんとウエスギさんがウェブサイトや他の書籍で紹介してきた小さな住まい方の事例から掬い取ったエッセンスを、言葉によって、余すところなく表現した初めての本なのです。

この本の具体的な内容については、次回の記事でご紹介していきたいと思います。