まるで浮いているかのよう。カナダの「Moku-Yama」から見えた、遊び場の可能性

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新国立競技場など木材を用いた和のテイストをデザインに取り入れた建築で知られる「隈研吾建築都市設計事務所」と、カナダの遊具デザイン会社「Earth scape」が共同し、カナダにユニークな遊具を誕生させた。

この遊具の名前は「Yoku-Yama」
遊びの新しい可能性を見出すとともに、ただ鑑賞をしているだけでも魅了される、そんな遊具だ。

「アート」と「遊び」、その2つが融合して生み出されたというこの遊具は、一体どんなものなのだろうか。一緒に見ていこう。

「アート」「遊び」、その2つが融合して生み出されたというこの遊具は、一体どんなものなのだろうか。一緒に見ていこう。

まるで丸太が浮いているかのよう。自然を模倣した「Moku-Yama」

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この遊具の名は、日本語で木の山を意味する「Moku-Yama」
木材を縦に組み合わせ、山と谷を明確に表現することで、自然の中の風景を模倣しているのだという。

この遊具は数本の支柱で支えられ、その支柱に短い丸太を組み合わせて、さまざまな高さを作り出している。これらの丸太は浮いているように見えるというから驚きだ。

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素材として使われたのは、アラスカ産イエローシダー。天然木を生かすため、染色はされていないという。

自由で決まりの無い遊び場が、子どもたちの想像力を掻き立てる

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公園にある遊具といえば、滑り台、鉄棒、ブランコなどをイメージする人が多いだろう。どれも遊び方が決まっているものばかりなのではないだろうか。
たとえ、別の遊び方を思いついたとしても、本来の使い方で楽しむ子どもたちの邪魔になってしまったり、危険だと言われ、止められてしまうことだってあるだろう。

しかし「Moku-Yama」には、決められた遊び方や利用方法はない。
写真のように下からよじ登り力試しをしてみたり、アクティブに木の上に登ってみたり…。ジャンプして高さを体感したり、下のスペースを隠れ家にして休むことだって出来る。
遊具の上、下、そして周囲を使って、自分の好きなように遊ぶことが出来るのだ。

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この遊具で楽しむことが出来るのは子どもたちだけではない。これほどの高さ、大きさ、新しさがあれば、従来の遊具で遊ぶことに飽きてしまった大人たちであっても、子供たちと一緒に楽しむことが出来る。

アートを活かした遊具だから、どんな人・発想も迎え入れることができる

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「Moku-Yama」は、「アートと遊び場の架橋」とも称され、遊具としてだけではなく、アートとしても楽しめるのだという。

まるで浮いているかのような、この斬新な遊具を芸術として鑑賞しているだけでも十分に見ごたえがありそうだが、その時々で違った楽しみ方をする子どもたちの姿や、子どもたちならではユニークな発想の在り方をも鑑賞し、楽しむことが出来そうだ。

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設計チームは、「建築の美学は、遊びや公共スペースから排除されがちな10代の子どもたちや大人たちをも魅了するでしょう。」と語る。

他に類を見ない新しい遊具だからこそ、「こう遊ぶべき。」、「これくらいの年代の子どもたちのためのもの。」そんな固定観念はない。
「Moku-Yama」は、ここで遊んでみたい、この木に触れてみたい。様々な期待や好奇心を持ってこの遊具に足を運ぶ全ての人を迎え入れる遊具なのだろう。

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公園に連れ出すと、思いっきり駆け出し無邪気に遊ぶ子どもたち。「こうあるべき」という世間体を知らない彼らの想像力は、私たち以上なのかもしれない。

彼らはみなそれぞれが多様な感性を持ち、想像力に富んでいる。
それなのに、ほとんどの遊び場では同じような遊具が設置され、遊び方も決まっているだなんて、なんだか少し不思議なことのようにも思えてきた。

子どもの想像力や、個性を尊重し、さらに磨きをかけてくれるもの。それこそが、子どもたちが遊ぶ空間に必要な遊具のカタチなのかもしれない。

Via:
Kengo Kuma and Earthscape create “wooden mountain” playground structure
Moku-Yama/ KKAA