【イベントレポート】食べて踊って、ものづくり!空き地の楽しい未来を創造する 鶴川ダンチホリデイ vol.2
団地で暮らす「コミュニティービルダー」が団地住民や地域の方々と一緒に、鶴川団地の新たな魅力を創造・発信していく未来団地会議「鶴川団地プロジェクト」。
今回は7月27日(土)・28日(日)に開催されたイベント「鶴川ダンチホリデイ vol.2」の様子をレポートしていきます!舞台となるのは鶴川団地内にある、いわゆる”空き地”。可能性を秘めたこの空間を「鶴川なかにわBASE」と称し、地域の人と人を繋げるイベントを実験的に開催しています。
「空き地に集まる、団地暮らしの”あったらいいな”」をテーマに集まった企画やお店によって、団地の休日が楽しく彩られました。
ものづくりのワークショップから、お家のリノベーションの相談まで?みんなでつくる青空市場
元々は6月の予定だったところが、天候の関係で延期開催となった今回のダンチホリデイ。ばっちりと晴れた真夏日の中、鶴川なかにわBASEがにぎやかな市場に変身しました!
今回は全部で7つの出店があり、美味しそうなパンやお菓子もあれば、リメイク雑貨や楽器作りのワークショップなど、個性豊かなお店が並びます。
様々な柄の布で作られたペンケースやポーチ、生活に使える小物たち。「ハートルームちと『おばぁちゃんの宝箱』」は、77歳、85歳、95歳のおばあちゃん姉妹と、店主ちとさんのハンドメイド小物のショップです。
コロナ禍の時に作ったマスクを、家の前で無人販売し始めたことがきっかけで、徐々にイベントへ出店するようになったそう。どれもお財布に優しいお値段で、栞はなんと10円!「子どもでもたくさんお買い物を楽しめるように」とお話されていました。
可愛らしいパッケージに包まれたお菓子が並ぶのは「結まーる工房」のブース。小麦粉よりも身体への負担が軽い米粉で作ったシフォンケーキ、クッキー、ドーナツなどの洋菓子と、この日は文旦を使った琥珀糖がイチオシでした。身体が喜ぶお菓子たち、優しい味わいに幸せな気持ちになります。
こちらでは、”塩絵”を体験できるワークショップが行われていました。塩絵とは、天然の自然塩を配合した絵の具を使って描く新しい技法。明るくて鮮やかな色を使うので、脳が刺激されて気持ちが元気になるそうです。黙々と作業に没頭する方もいれば、講師の方と会話を楽しみながら進める方も。
今までやったことのない物事でも、マルシェなら気軽に参加できる気がします。
鶴川団地のコミュニティビルダーの石橋さん、鈴木さんによる紙芝居の読み聞かせも。鶴川団地のイベントに欠かせないパフォーマンスになってきています。読み聞かせが始まると遊びに来ていた近所の子たちが集まり、楽しそうにお話を聞いていました。
今回はもう一つ、ものづくりを楽しめる出店が。お面のようなお茶目なタンバリンや、おがくず粘土でできたマラカスが並ぶこちらのブースでは、楽器の手作り体験ができます。
「スイートハンド」のお二人は、“その子の個性を引き出す音楽夫婦ユニット”として、楽器作りのワークショップや、作った楽器で一緒に楽しめる演奏会やリトミックなどの活動をされています。
アートと音楽の二つを楽しみながら、個性の芽がでるスイートハンドのワークショップ。仲良しなお二人の人柄も相まって、自然と笑顔の溢れる時間になります。
バリエーション豊かな手作りパンも販売されていました。店舗を持たないパン屋さん「kiitonn」は素材へのこだわりが特徴。小麦粉は北海道産、食パンに使用している牛乳は多摩地方限定の牛乳、焼菓子の卵は横浜市の養鶏場で仕入れているそうです。美味しくて身体にいいものを選んでいただく時、優しく幸せな気持ちになれます。
かわいい子供服や雑貨が並ぶこちらのブースは、「moutons(ムートンズ)」です。洋裁教室で出会った3人が、普段の洋服作りで余った生地、古着や着物を使い、新たにかわいいものを生み出しています。畳のヘリの生地を使った箸置きなど、使われなくなったものもユニークなアイデアで再び輝いていました。ほとんどが一点ものなので、お気に入りと出会える楽しさもありますね。
オリジナル真鍮金物を中心に扱う「あえん堂」は、普段はリノベーションを手掛ける二人による出店です。自分たちでかっこいいと思える製品を作ることで、提案の幅も広げています。
棚受やトイレットペーパーのホルダーなど、取り入れやすいアイテムからお家づくりを始められるのが嬉しいです。
木目の表情や香りの違いを楽しめる、無垢木材の端材で出来たオブジェもオーナーの美作さんのアイデアから生まれました。自らものづくりを楽しんでいるお二人になら、気軽にお家づくりの相談をしたくなります。
前回に引き続き、キッチンカーの出店も。今回はクレープやかき氷を楽しめる「&55ete」が駆けつけてくれました!新鮮ないちごがたっぷり乗ったクレープや、かき氷も大人気。チラシを見て買いに来たという方もいらっしゃいました。
青空の下で行われたダンスのワークショップ、トレーラーハウスはファッションの展示スペースに大変身!
広場ではダンスチーム「grooviest」に所属するnoyuさんによる、スペシャルワークショップが行われました。今年から鶴川団地付近のセントラル商店街にある「EGG REC DEPARTMENT 」でも、ダンスのレッスンをされています。
子どもから大人、出店者の方もみんなで一緒にステップを踏む光景はとっても和やか。完璧じゃなくても、みんなで音楽に合わせて体を動かせば、一体感が生まれて笑顔に包まれます。
ヨガやラジオ体操など、定期的にアクティビティができる場所としても、鶴川なかにわBASEは活用できそうです。
ピエロのマシューとピエロのアンジュのチーム「ドレミふぁ共和国」は、オルゴール人形のパフォーマンスで活動中のお二人。
オルゴールの優しい音色に合わせて、不思議な世界観が広がっていきます。ゆったりと鑑賞できる踊りで、癒しのひと時を作ってくれました。
パフォーマンスステージの後ろに設置されたトレーラーハウスでは、「みんなの試着室」と題してファッション企画が行われました。
着こなし方も、何に着せるかも自由という、唯一無二のお洋服たち。
建築設計・グラフィックデザイン・服飾などのクリエイティブを横断しながら活動を行っている竹中里来さんが作った服が展示され、実際に試着もできます。
来場者の方々も思い思いに服を身につけて、プチファッションショーが行われる瞬間も。
こんな風に、団地や近所に住む方々が作品を発表できる場所になっていくのも面白そうです。
なくてもいいけどあったら楽しい。どんどんアイデアを共有できる場所に
イベントの最後には、空き地の未来を考えるトークショーが行われました。
埼玉県にある北本団地で活躍されている江澤勇介さんをお迎えし、「団地の空き地の可能性を考えよう!」というテーマでトークが進みます。
ファシリテーターはYADOKARIの伊藤幹太が担当、鶴川団地周辺で暮らす若者として、コミュニティビルダーの石橋さんと、最新鶴川に引っ越してきて設計デザイン事務所を構えたtoge togeの萩尾さんも参加します。
多くの団地が抱える、居住者の高齢化や空き室の増加、団地内の商店街もシャッター通りになってしまうなどの課題。北本団地も同じ問題を抱えていますが、シャッターの閉じていた場所にJAZZ喫茶のお店がオープンした頃から、少しずつ人やアイデアが繋がり、波紋が広がるように、空きスペースを使って小商をする人が増えています。
今では毎年新しいお店がオープンし、イベントなども盛り上がりを見せているそうです。
北本団地のこれまでの歩みや最近の動きに沿ってトークをする中で、印象的だったのが「でもさ」というキーワード。
商店街などで空き家が増えても、それぞれの生活に大きな支障はありません。それでも「でもさ」と思いとどまって、自分たちの暮らす場所を面白く活用できないか考えてみること。そして、そのアイデアを言い合える仲間が繋がっていくことで、ポジティブな変化が起こっていくはず、というお話でトークショーは締めくくられました。
今回会場に配置されたベンチや、あそび広場の空間作りに使われているブロックは、萩尾さんたちが作ったもの。
メンバーみんなでアイデアを出し合って、断熱材を再利用したものづくりを考えました。こういったご近所同士の交流が波紋を起こし、空き地がどんどん活用されていくのかもしれません。
今後の鶴川団地での空き地に対して可能性を感じることができた、第2回目のダンチホリデイ。鶴川なかにわBASEの実験はまだ始まったばかり。今後への期待が膨らみます。