ベトナム・ハノイの喧騒からわずか30分。山の斜面に寄り添うように建つ、小さな家がある。名前は「Forest House」。建築家のChu Văn Dôngが、自身の週末用として設計したこのタイニーハウスは、自然の中で静かに過ごすために生まれた、極めてミニマルな空間だ。
たった3,000ドルで叶えた、森の中のマイホーム
建設費用はわずか3,000ドル(約45万円)。129平方フィート(約12㎡)という小さな床面積に、必要最低限の設備がぎゅっと詰め込まれている。切妻屋根の素朴な木造構造で、前面はすべてガラス張り。
目の前に広がるのは、ハノイからおおよそ30kmにある地域、ソックソンの深い森。窓の外には、光と風、そして木々のざわめきがあるだけ。そんな贅沢な体験を、シンプルな設計で実現している。
この建物は、敷地内に建てられた3棟のうちの1つで、いずれも同じ設計で構成されている。冷房と小さな薪ストーブも完備しており、暑さも寒さも快適にしのげる。さらに、裏手には屋外バスも設置されており、森の香りに包まれながら湯に浸かるという、非日常的な時間が味わえる。
ミニマルだからこそ味わえる、静けさと余白のある暮らし
室内はコンパクトながら、ベッドをふたり分置ける広さがあり、夫婦や友人と気軽に滞在するにはぴったり。テレビもなければ、派手な照明もない。でも、必要なものはすべて揃っていて、それ以上のものは自然が与えてくれる。
Chuは、「この家が、低コストで簡素なつくりでも豊かな時間が過ごせるということを、多くの人に伝えられるきっかけになれば」と語っている。今後は同様のプロジェクトを別の土地でも展開していく予定で、将来的にはこの家もレンタルとして提供する計画だという。
自然と寄り添いながら、そっと静けさに身を委ねる。そんな休日を過ごしたくなったら、きっとこの「Forest House」がぴったりの場所になるはずだ。建築家・Chuの思いや、ここで過ごすひとときがきっかけとなって、少しのお金で始める小さな暮らしに惹かれる人が、これからきっと増えていくだろう。静けさと余白に満ちた、暮らしの新しい開拓がここから始まっている。
via:
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