フランスの深い森の中、小さな光がそっと灯る。日が暮れると、それはまるで紙の灯籠のように浮かび上がり、静かな空間を優しく照らす。この小さな建築「Meditation Cabin」は、建築ユニット Meaningless Architecture によってつくられた、静かに心をととのえるための場所だ。
軽く、明るく、簡素に。木と光でつくる“ととのう”空間
設計者のJiaojiao MiaoとQitao Yangがこのキャビンに込めたキーワードは、「light(軽い/明るい)」。構造は最小限の木材で組み立てられ、地元で豊富にとれるモミの木を使い、わずか0.73立方メートルの材料で1週間以内に完成した。土台から少し浮かせた構造により、建物全体がふわりと宙に浮いているような印象を与える。
出入り口は床の一角にあり、腰をかがめてキャビンの下をくぐり、梯子を登って床に上がるという、ちょっとした動作が“スイッチ”のような役割を果たす。座って空を見上げる。木漏れ日が床や壁にゆれるのを眺める。寝そべって光の変化を感じる -このキャビンには、心と体がふっとほどける瞬間が詰まっている。
森のなかで見つける、身体ごと味わう静けさ
このキャビンの魅力は、形だけでなく、その過ごし方にもある。上部が斜めにカットされた屋根からは、遠くの景色をのぞくことができ、頭を出して森の風を感じることもできる。内側に向いた構造は、周囲の自然との関係を切るのではなく、むしろ“距離をおくことで深くつながる”という、内省的な感覚を引き出してくれる。
日中は葉の影が繊細に揺れ、夕暮れとともに内部からにじむ光が、森のなかにひっそりとした存在感を放つ。まるで「呼吸する灯籠」のように、時とともにその表情を変えていく。
静かに、軽やかに、自然とともにある時間。その本質にふれるための場所が、この森のなかにそっと用意されている。
via:
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