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星天qlay

【イベントレポート】秋のZINEフェスと屋外ナイトシネマ!《星天qlayの日-宵祭-》

2025.12.26

相鉄本線・星川駅〜天王町駅間の高架下施設「星天qlay」。

「生きかたを、遊ぶまち」をコンセプトに掲げるこの施設では、第3土曜日に「星天qlayの日」と題したイベントを開催。星天qlayに足を運び、まちを楽しむきっかけづくりをしています。

2025年10月18日(土)には、「星天qlayの日-宵祭-」を開催。まちの人々が、ZINE、音楽、映画、食事、まち歩きを楽しみ、星天の秋を満喫した1日の様子をレポートします!

Cゾーン(芝生広場)| 初開催!星天高架下ZINEフェス

今回の目玉は、星天qlay初の試みとなる「星天高架下ZINEフェス」。ZINEとは、誰でも自由に作れる自主制作の出版物のこと。イラスト、写真、エッセイ、詩、日記や旅行記など、ジャンルにとらわれず、自分の表現したいものを自由に表現できるのが魅力です。

近年ブームとなり、全国各地でZINEの即売会が行われています。そんなZINEのイベントを、Cゾーンの芝生広場にて開催しました。

トークイベント『旅とZINE、生きかたについて』

ZINEフェスの開始とともに行われたのが、トークイベント『旅とZINE、生きかたについて』。世界を旅しながら暮らす書道アーティストの中谷優希さんをゲストに迎え、ZINE『LOVE』に込めた思いや、制作にまつわるエピソードを伺いました。

ご自身の旅の体験をもとに制作された『LOVE』は、ZINEとしては異例の500部以上が売れた人気作。YADORESIのコミュニティビルダー・キキさんもファンの一人で、今回はキキさんからのオファーによってトークイベントが実現しました。

中谷さんがZINEを作るきっかけとなったのは、2022年のヨーロッパ旅。新卒で2年間勤めていた会社を退職し、ひょんなことから口座残高6,000円で旅がスタートしたそうです。

中谷さんは7歳から始めた書道を活かして、現地の言葉で書いた作品を路上で売り続けました。

中谷さん「私が4ヶ月間のヨーロッパ旅を生き延びれたのは、何よりも周りの人の助けがあったからです。国籍も性別も宗教も関係なく、いろいろな人が助けてくれて、誰しもが愛を持っていた。それを私が受け取って、なんとか生き延びれたと思っています。この旅を経て、私は受け取った愛を誰かに与えられる人でありたい、愛のパワースポットのような自分でいようと決めました。」

ヨーロッパ旅から3ヶ月後、縁あって東京で個展を開くことになった中谷さん。その個展に合わせて、自身初のZINEとなる『LOVE』を制作しました。

中谷さん「私はあまり記憶力が良い方ではなくて、すぐに忘れてしまうんです。だけどこの旅で忘れたくない思い出がたくさんできたから、それを形に残すために、自分用にZINEを作ることにしました。

そうしたら、個展のお声がけをいただいたり、『ZINEを売ってみたら』と言ってもらったりして。1冊作るなら、たしかに売る分を作ってもいいかなと思い、量産して販売することにしました。」

今回のトークイベントで、キキさんと共に聞き手を務めたコミュニティビルダーの日置さん。日置さん自身も、今回の星天高架下ZINEフェスにあたって初めてZINEを制作した1人です。

日置さんからは、中谷さんがZINEを制作した際のこだわりについて質問がありました。

中谷さん「私は元々すごく本が好きなので、デジタルではなく紙の本にしたいと思っていました。本を作ったことがなかったので、プロフェッショナルなツールが分からず、データはすべてCanvaで作っています。ZINEといえど、創作物にはこだわりが必要だと思うので、費用はかなり上がってしまいましたが、自分が『これだ!』と思ったサイズで製本してもらいました。

私は子どもを生んだことはないですが、完成した本を手にとった時は、我が子を抱いたような何とも言えない感動がありました。ZINEを買ってくれた人からは、旅中に持ち歩いていると言っていただくこともあり、とても嬉しく思っています。」

愛とこだわりをつめこんだ中谷さんのZINEは、星天高架下ZINEフェスでも販売。トークイベント後は中谷さん自身がブースに立ち、ZINEやポストカードなどの作品を展示販売しました。

こだわりが集結!ZINE展示販売会

ZINEの展示販売会では、Dゾーンにあるシェアレジデンス「YADORESI」の住人や、クリエイター向け協働制作スタジオ「PILE」の会員・スタッフを中心に、星天エリアにゆかりのある人々が出展しました。

出展者さんのなかには、今回のイベントがきっかけで初めてZINEづくりに挑戦したという方も多数。それぞれの想いとこだわりの詰まったZINEが、芝生広場に集結しました。

PILEからは、会員さんやスタッフなど6名が出展。出展していない会員さんも会場に足を運び、作品を手に談笑している姿が印象的でした!

PILE会員・沖間さん「これまでZINEを作ろうと思ったことはありませんでしたが、イベントに声をかけてもらって『せっかくだし、こういう機会でもなければ作らないかも』と挑戦してみることにしました。

4年前のお遍路旅をまとめたZINEを作ったのですが、自分は本職がものづくりではないので、ものを作って売るというのはなかなかフレッシュな体験でした。『値段は高くないかな?』、『自分がお客さんだったら買うかな?』と考えながら値段をつけるのが難しかったですが、お客さんとお話ができて楽しかったです。」

日本画家として活動するPILEスタッフのふじのさんは、「今回の星天高架下ZINEフェスが、ずっと作りたいと思っていた作品集づくりのきっかけになった」とお話ししてくれました。

YADORESI住人とPILE会員さんが協働で制作したZINEを出展しているブースもありました!

YADORESIには、個人出版レーベルを運営しながら自身でZINEの制作をしている住人も。各地で開催されているZINEフェスにも出展経験のあるタロさんに、星天高架下ZINEフェスの感想を聞いてみました!

YADORESI・タロさん「芝生のうえでZINEフェスができることはなかなかない体験で楽しかったです。地元の人がいっぱい来てくださっておしゃべりできたのも嬉かったなと思います。これからも星天高架下ZINEフェスが続いていきますように。」

さらに今回は、相鉄本線沿線にある横浜国立大学の学生さんたちも出展。個性豊かで遊び心の詰まったZINEがブースに並んでいました。

イベントを目当てに訪れた方や、ふらりと通りがかった方など、さまざまな人が芝生広場で足をとめ、作品を手に取っていました。

作り手とお客さんが直接言葉を交わし、作品への思いを伝え合う光景に、ZINEフェスならではの温かさを感じました。

今回の星天高架下ZINEフェスの発案者は、YADORESIの日置さん。念願の開催だったというZINEフェスの感想を伺いました。

日置さん「忙しい毎日のなかで、やらなくてもいいものを一生懸命作る。だけど完成したら作ってよかったと思えるし、見てくれた人がリアクションをくれて、そこから化学反応が生まれる。ZINEづくりというのは、まさに遊びそのものだなと感じました。

今回のイベントで初めてZINEを知ったまちの人も、『おもしろいね』と声をかけてくれて。『こういうのも本って言っていいんだ』、『それだったら自分もやってみようかな』と思ってもらえたのは、一つ遊びの提案ができたのではないかと思います。星天qlayに住んでいる人や働いている人、活動している人と一緒に、このまちに新しい文化の種を落とせたような感覚で、とても嬉しかったです。

定期的に開催することができたら、『次回に向けてまたZINEを作ってみよう』、『今回はお客さんだったけど次は出展してみよう』という人がきっと出てくると思うので、まちの人を巻き込んで、継続していけたらと思っています。」

 

B〜Eゾーン|-ナゾ解き星天qlay- HALLOWEEN WALK!

お昼過ぎには、お子様を対象としたHALLOWEEN WALKを開催。コミュニティビルダーのキキさんとともに、星天qlayをめぐりながらお菓子を集め、謎解きをする企画です。

ナゾ解きは、横浜国立大学人狼ボードゲームサークル・ルーガルーさん協力のもと制作されました。

星天qlayの協力店舗に到着すると、お店のスタッフが謎を解くためのヒントを教えてくれます。ハロウィンらしくお菓子を集めながらの謎解きに、子どもたちは足取り軽く星天qlayをめぐっていました。

キキさん「以前星天qlayで開催したまち歩きがとても楽しくて、第二弾を企画しました。子どもたちにまちの人をたくさん紹介できて、とても楽しかったです。前回の開催後に、『まち歩きの後お店に行きました』という声をもらったので、今回もまち歩きを通して参加してくれた方がまちの魅力を発見し、その後実際に訪れてくれたら嬉しいなと思います。」

 

B〜Eゾーン|スタンプラリー – あつめよう!星天qlayの「qのカケラ」

高架下1.4kmにわたる星天qlay。施設全体を楽しんでいただくために、大人も子どもも参加できるスタンプラリーも開催されました。

B・C・D・Eゾーンに一箇所ずつスタンプブースを設置。「qのカケラ」スタンプを1つずつ集めて、星天qlayのロゴが完成したら、景品をゲットできます。

ゲットできる景品はルーレットで決定!CゾーンにあるPatisserie&Cafe PINEDEの焼き菓子をはじめ、魅力的な景品がプレゼントされました。

 

Cゾーン(芝生広場)|屋外ナイトシネマ

あっという間に日が暮れる秋の宵。ZINEフェスの余韻が残る芝生広場は、イベント後すぐに屋外映画館へと早変わりしました!

高架下の壁をスクリーンとして使うこのユニークな演出は、高架下施設である“星天qlay”ならでは。いつもの通り道が、ちょっぴり特別な空間へと姿を変えます。

上映したのは、風変わりだけどどこか温かい家族の物語『アダムス・ファミリー』。事前予約は1週間前に完売し、地域の方々の期待の高さが伺えます。

開場時間になると、参加者の皆さんはワクワクした様子で芝生広場へと集まってきました。なかにはレジャーシートを持参し、くつろぐ準備万端な方々も。映画が始まると、子どもも大人も芝生の上でくつろぎながら、大きなスクリーンを見つめていました。

参加者の方からは、「家の近くで映画を観られるなんて嬉しい」「家族でゆっくり楽しめた。またやってほしい」という感想が。年代を問わず、地域の方が同じ時間を共有できる、映画というコンテンツの体験価値を改めて感じる時間となりました。

ZINEと映画という、芸術の秋を感じる二つのコンテンツ。高架下の”余白”である芝生広場にさらなる可能性を感じる一日でした!

 

 Eゾーン|HALLOWEEN FESTA(音楽LIVE&来店特典企画)

飲食店が集まるEゾーンでは、17時から音楽ライブを開催。天王町にゆかりのある3組のアーティストが、夕暮れから宵にかけて、心地よい音を響かせました。

音楽ライブのスタートを彩ったのは、シンガー Mayu-mi Laule’aさんを中心に、2006年に結成された「ずん🎶チャカ」。高齢者施設やデイサービスでの演奏活動を続けながら、音楽を通して「心のつながり」を届けている音楽療法バンドです。

Mayu-mi Laule’aさんの透き通るような歌声と心地よい演奏に、道行く人たちが「すごい」、「キレイな歌声……」とつぶやきながら足を止める場面もありました。

 Mayu-mi Laule’aさん「星天qlayで演奏するのは初めてでした。ちょうど夕暮れのタイミングで、風も気持ちよくて。演奏が始まると皆さんに温かく見守っていただいて、とても心地よくライブができました。

天王町にお店がたくさんできて、こんなに素敵なまちになっていると今回初めて知ったので、プライベートでもぜひ遊びに来たいと思います。」

街角アカデミー天王町

続いて演奏したのは、街角アカデミー天王町ーの福田緑さん。今回は、「Eゾーンの飲食店を訪れた方のBGMになるような音楽を」というオーダーに沿って、秋の宵を彩る美しいピアノの音色を響かせてくれました。

福田さん「今年新たにオープンしたEゾーンは、他のゾーンとまた違った雰囲気でとてもおしゃれですね。飲食店も多く素敵な雰囲気の場所なので、またぜひ出演させていただけたらと思います。」

OUT GATE  MIMI

ライブのトリを飾ったのは、OUT GATE  MIMI。相鉄線沿線で活動する3人組ユニット「THE H3」のギターに乗せて、彼らのホームである天王町駅すぐそばの「MiMiZuKu~live&snack&cafe~」のママが歌う、この日だけの特別なユニットで演奏されました。

演奏と歌声のパワーで、会場のボルテージがグングン上昇!MC中の「飲んでますかー!」というかけ声に、飲食店のお客さんたちが手をあげて応じる場面もありました。

最後の曲として演奏された『さよならエレジー』では、会場のボルテージが最高潮に。ステージ前のお客さんも、テラス席でお食事を楽しんでいるお客さんも、皆さんが自然と手拍子や腕を振って曲に参加していました。

大きな拍手のなか幕を下ろしたかに思えたライブは、想定外のアンコール。お客さんも巻き込み、みんなで『マリーゴールド』を熱唱して、温かい夜に幕を下ろしました。

OUT GATE  MIMI「天王町駅前に素敵なまちができたなとは思っていましたが、まさかそこで歌わせていただけるとは思ってもみなかったのでとても光栄です。また機会があればぜひやりたいですし、お店にはたくさんのミュージシャンが通っているので、いろいろな方が演奏できたら面白そうだなと思います。」

音楽ライブの会場となったEゾーンでは、8店舗で来場者特典を実施。星天qlayの日のチラシを持参するか合言葉を伝えることで、お得な割引やサービスを受けることができました!

 

つながりで育む、「生きかたを、遊ぶ」まち

心地よい秋の風を感じながら、ZINE、音楽、映画、食事、まち歩きを楽しんだ10月の「星天qlayの日-宵祭-」。

まちでの出会いによって温かい空間が生まれ、また新たな出会いへとつながっていく。そうして人と人がつながりながら、「生きかたを、遊ぶ」まちの空気感が着実に育まれていることを感じた1日となりました。

ご来場いただいた皆さん、ありがとうございました!

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