
町田山崎団地を舞台に、団地に住まう人とまちの人とが入りまじり、団地ならではの豊かな暮らしや心地いい日常の景色を共に創り・発信していく取り組み、「まちやまプロジェクト」。
そのプロジェクトの一環として、団地や町田にまつわる取り組みをしている方のインタビューを発信しています。
今回は2024年にスタートした、このまちやまプロジェクトの現在地について。2年間で改めて見えてきた町田山崎団地の魅力や、新たな可能性についてUR都市機構のみなさんと一緒にお話していきます。
団地から”まちのにぎわい”をつくる「まちやまプロジェクト」
「まちやまプロジェクト」はUR都市機構とYADOKARIが手を取り合い、2024年の夏からスタートしました。
緑があふれ、遊歩道や公園が点在する、のびやかな暮らしの広がる町田山崎団地。
この場所を舞台に、団地に暮らす人とまちの人、大人と子どもが一緒になって心地よい日常をつくり出していく取り組みです。

町内会や商店会、学校など地域のみなさまと力を合わせながら 「まちやままるごとスコーレ」をはじめ、季節ごとのイベントやワークショップなどを開催してきました。
毎日の暮らしのなかでちょっと楽しい体験ができる、そんな”まちのにぎわい”を団地から広げていくのが、このプロジェクトの目指すかたちです。
団地のこれからの姿をみんなで想像しながら、様々な実験的な取り組みを通じて、“まちやま“の未来を育てています。
豊かな屋外空間が広がる、町田山崎団地の魅力について
今回はUR都市機構(以下、UR)から坂田辰男さん、三輪聡さん、佐藤圭太さん、花枝卓哉さんにご参加いただきました。YADOKARIからは木村勇樹さん、姜美宇さん、遠藤実咲さんが参加し、対談形式でまちやまプロジェクトの2年目を振り返りました。
ーまずはURのみなさんの簡単な自己紹介と、改めて町田山崎団地(UR)以下、山崎団地)に感じている魅力をお聞かせください!

写真左から:三輪聡さん、佐藤圭太さん、坂田辰男さん、花枝卓哉さん
三輪さん(UR):
町田エリアの6つの団地を担当しており、皆さんの力を借りながら「団地に関わる人たちとのパイプをいかに作るか」に主眼を置いて業務に取り組んでいます。
この団地は屋外空間が圧倒的に広く、自然も豊かな点が特徴です。先日初めて山崎団地にいらっしゃった方も、第一声が「屋外空間がすごい!」という感想でした。この環境の良さをどう伝えるかが重要だと思っています。
坂田さん(UR):
山崎団地とは、かれこれ10年前から関わりがあります。団地の中だけでなく、近隣の「薬師池公園」や、医療・介護・福祉施設が集積する「グランハート町田」など、昔よりも周辺地域の方々と連携して色々なことができるようになりました。
今後も新しい取り組みが生まれるであろう土壌が育っている点は、未来に向けた魅力でもありますよね。
佐藤さん(UR):
このプロジェクトには今年度から参加して、入居促進などを中心に担当しています。この特徴的な屋外環境やコミュニティ、様々な資源を活かして、団地をもっとよくしたいと考えながら仕事をしています。
山崎団地は設立から50年以上になりますが、当時から子育て世代が多かったそうです。そのため、団地の中に保育園と幼稚園だけでも5つの施設があるんです。団地敷地内は歩車分離されているので、車の心配をせず安心して遊べる点など、環境の良さが改めて評価されています。今でも町田市内の広い範囲から子どもが集まっていて、安全面もこの団地の強みです。

花枝さん(UR):
エリア計画課という部署で、多摩エリアの将来を構想しながら、入居促進や未来に向けた動きに取り組んでいます。
居住空間の中にのびのびと歩けて、ふと立ち止まれる場所があるのは、団地ならではの魅力だと思います。道すがらの樹木や公園、ベンチが点在するだけでも場所の使われ方が変わると感じていて。ただ通過するだけでは賑わいは生まれづらいので、人が自然と溜まれることが重要なのかなと。
ーYADOKARIの3名も自己紹介をお願いします!

写真左から:姜美宇さん、木村勇樹さん、遠藤実咲さん
姜さん(YADOKARI):
私は2年目からの参加だったので、最初は手探りの状態でご一緒させていただきました。ここに住んでいなくても「やってみたい」を持ち寄って、人が集まる受け皿があるのがすごくいいなと思っています。
木村さん(YADOKARI):
まちやまプロジェクトを担当して2年目になるのですが、その間に自分の息子ができて、改めて山崎団地の環境の良さを実感しています。来るたびにホッとしますし、息子と遊びに来たら楽しいだろうなっていつも思っています。
僕たちのような団地の外から来た人のことも受け入れていただき、空間や人の関係性にも「風通しの良さ」はずっと感じていて。本当に色々な物事が気持ちよく流れているので、そこに惹かれている人は多いと思います。
遠藤さん(YADOKARI):
私もまちやまを担当して2年目になりました。企画作りを中心に、地域プレーヤーの方の出店や、アーティストの方の出演をつなげる役割を担当しています。この連載インタビューに加え、今年度は「まちやま通信」という広報誌も制作して発信を行っています。

それぞれの「やってみたい」が集まって、日常のにぎわいが育つ場へ
ーまちやまプロジェクトの1年目と2年目で、どのような変化がありましたか?
遠藤さん(YADOKARI):
初年度は「まちやままるごとスコーレ」を大きく2回行いました。非日常感も出しつつ、しっかりと企画を組むイメージでした。
今年度はもっと日常に落としていきたかったので、大きなイベントを1回、コンパクトなイベントを3回行うスケジュールにしたんです。「チャレンジテント」という名前で、ワークショップや販売の出店など、やってみたいことに挑戦できる場を増やして公募しました。団地の外の方々が参加しやすい仕掛け作りをしたことは、違いとして大きいです。外から見た時に、団地との関わり方にグラデーションが出てきたかなと思います。

木村さん(YADOKARI):
やっぱり2年目の方が、山崎団地に関わる方々との関係性が色濃くなったと感じます。商店街のお店と協働してスタンプラリーを行ったり、その景品としてお店で使えるとして割引券を作ったり。コミュニケーションの取り方一つをとっても、お互いに理解が深まってきて、実現できることも広がってきたと思います。

坂田さん(UR):
団地に関わってくれる人が増えてきた実感はありますね。このプロジェクトを始めなければ関わりが持てなかったであろう方々も、イベントに参加してくれたり、遊びにきてくれたり、単年度じゃなく継続していくことで見えてきた兆しがあると思います。
まちやまプロジェクトの目標は集客数よりも、山崎団地という大きなステージをいかに使ってもらうかに主軸を置いています。今は年に数回のイベントですが、色々な取り組みが日常的に行われるようになったらいいですよね。昔はあちこちのプレイロット*でお母さんたちが集まっていたように、自然と人が集まれる機会を可視化していきたいです。
※プレイロット=団地の敷地内に設けられた子ども向けの遊び場
姜さん(YADOKARI):
今年度から「未来団地会議」という、団地で挑戦したいことを持つ方々が集まって、アイデアの共有や実際の出店につなげていくコミュニティができたのですが、その参加者のみなさんも同じご意見でした。
サーカスのように色々な人が関わって楽しくいられる雰囲気がすごく好きで、これからもイベントが続いてほしいとお話をしてくださって。それぞれで関心のある分野は違っていても、同じ場所に集まる仲間のような感覚が生まれているのがすごくいいなと思います。

花枝さん(UR):
日常をテーマに置いていたので、広場で映画を鑑賞する「ナイトシネマ」のイベントでは、芝生に座れるスペースと、少し離れたところに休憩スペースを設けて、通りがかりでも足を止めやすい工夫をしたのは大きな違いですね。色々な距離感でその場にいられる形に近づけたのかなと。

遠藤さん(YADOKARI):
「次はどんなことをするのー?」と気にかけてくれる近所の子がいたり、「高齢で遠出が難しいから、団地の中で映画や音楽に触れられることが嬉しい」と涙ながらに伝えてくださる方がいらっしゃったり。イベントを楽しみにしてくださっている声を聞けたことも印象的でした。
広い敷地に眠る可能性を、もっと集めていけるように
ー今後のまちやまプロジェクトで実現させたいことや、描いていきたい未来についてお聞かせください!
三輪さん(UR):
11月のまちやままるごとスコーレで設置していただいたヤーンボミング*、通りがかりで見る度にいいなって思うんですけど。最初にアイデアを聞いた時は、管理する立場からすると難しそうだなと考えていたのが正直なところです。でも、実際にやってみると他の団地でもやってみたいと思うほど素敵でした。
せっかく団地で何かやりたいと思っている人がいても、建物を管理する我々が積極的に関わっていかないと、実現までたどり着けないことも多いです。だからこそ、様々な意見を吸い上げて、ここにいる人たちが描く将来像へ近づけていく役割を担っていきたいですね。

※ヤーンボミング=街路樹やベンチなどまちの公共物を、カラフルに編まれた毛糸で包むストリートアートが11月のまちやままるごとスコーレにて行われました
坂田さん(UR):
農のある暮らしを作る「エディブルまちやまガーデン」をスタートできたり、「未来団地会議」のように参加者が主体になってやりたいことに挑戦できる場所を作れたり、URだけではできなかったことをこの2年間で実現できたと思っています。今はまだ種が芽生えた段階なので、この風景が日常になるように育てていけるといいのかなと。
また、将来的に活動が定着していくためには、経済の循環も必要になってくると思います。我々の利益を上げるということではなく、ここに関わる人たちが豊かになる状態を目指さなければ回らなくなってしまうので。お互いがwin-winになるような、小さな循環を作っていけることが最終的な理想ですね。
花枝さん(UR):
ここに関わる人たち同士で価値の交換が回っていけば、みんなでまちやまを作っている感覚を持てますし、新しいことに挑戦するハードルも下がると思います。そこから我々だけでは想像できないような取り組みがたくさん生まれていくことに期待していますね。
佐藤さん(UR):
これだけ広い団地なので、どこで何が起きているのか伝わりづらい部分があると感じています。
「エディブルまちやまガーデン」も位置としては団地の端の方なので、畑づくりに関心のある方は多いはずですが、まだあまり気づかれていないと思うんです。

商店街にある国産ビール専門店「Danch! Brew Works」店主のサカモトさんが、団地内のクラインガルデンにてホップ作りを始めたというお話も聞きました。夏には手持ち花火をする会を企画してくださって、日常の中で小さな変化も起こっています。
我々が出会えていないプレイヤーの方や取り組みもまだまだたくさんあると思いますし、そういったことを拾っていけたら面白いですよね。
花枝さん(UR):
この団地に関わった人が、いい思い出としてちゃんと記憶に残る場所にしていけたら。離れた後も故郷のように思い出せて、イベントや集まれる機会が続いていれば戻ってこれるようにできるといいですよね。
坂田さん(UR):
たしかに、賃貸住宅は退去したら戻ってこれる場所がないっていう点が、少し寂しくも感じます。住んでいなくても顔を出せる、サードプレイスのような関わり方を作れたら、世代を超えた長期的なつながりが生まれるかもしれないですね。
三輪さん(UR):
東京都だけど里山みたいな暮らしができる、”とかいなか”としての魅力も高めていきたいです。”まちやま”と平仮名表記を選んだのも、町と山の両方の魅力を持つ場所の愛称としてぴったりだと思っています。近くの小野路町にも竹林があって、小野路竹倶楽部という竹を使って様々なものづくりをしているコミュニティがあります。そういった方々ともお話しながら、里山の活動も増やせたらと想像しているところです。
遠藤さん(YADOKARI):
このエリアにいる方々って、この場所をあえて選んでいると思うんです。駅から離れているので、利便性や効率を優先させたらここは選ばないかなって。だから、住んでいる方やお店を開いている方など、そのこだわりをもっとお聞きしていきたいです。
また、近くの山崎高校では定期的に地域の大人が集まる機会が設けられているのですが、各々で育まれている思想や多様性も大事にしていけたら、さらに豊かな場所になるんじゃないかと思っています。

この2年の間にも、新しい取り組みがどんどん動き出している町田山崎団地。最大の特徴とも言える広大で自然豊かな屋外環境に、まだ見ぬ可能性がたくさん眠っています。このエリアの今後がさらに楽しみになるような対談でした。お近くの方もそうでない方も、何かピンときた方は、ぜひ一度まちやまの空気を感じに遊びにいらしてください。