日本でつくられるのは、機能性や繊細さを重んじた住まい。
ヨーロッパで暮らすなら、石や歴史とともにある重厚な住まいの中で。
こうして、住まいは特定の土地の気候や文化に根ざすものだった。しかしいま、その前提は静かに揺らぎはじめている。その動きを体現しているのが、タイの住宅ブランドMOOD Livingによる「HAKO」だ。
HAKOは、日本語の「箱」を意味する名の通り、シンプルな直方体の構造をしている。外観だけを見れば、とてもミニマルで均質だ。
けれど一歩中に入ると、その印象は大きく変わる。
例えば、リビングと寝室の境界は固定されておらず、可動式の家具や間仕切りによって、その日の使い方に応じて空間の役割を変えることができる。日中は広々としたワンルームとして使い、夜には寝室を立ち上げる。そんな暮らし方も可能だ。
このプロジェクトの興味深さは、その思想と生産の関係にある。
設計の根底にあるのは、限られた空間を無駄なく使い、可変的に暮らすという日本的な住まいの感覚だ。一方で、それを実際の住まいとしてかたちにし、供給しているのはタイの企業である。
日本の空間思想が、別の土地で具体化され、世界へと広がっていく。その流れ自体が、いまの住まいのあり方を象徴しているようにも思える。
さらに、HAKOは東南アジアの気候にも適応し、高温多湿な環境でも快適に暮らせるよう、外装や内装には高品質な合成素材が採用されている。
木のような温かみを持ちながらも、耐久性に優れ、日々の手入れの負担を抑える設計。自然環境と共存しながら、現代的な快適さも両立。プレハブ住宅ならではのスピード感や移動性に加え、思想と技術、そして地域性が交差することで、HAKOは単なる「簡易な住宅」を超えた存在となっている。

via: art4d.com

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どこでつくられ、どんな考えが込められているのか。
その背景までも含めて、場所にとらわれず、お気に入りの住まいを選べる時代へ。
住まいのつくり方や概念が変わることで、日本の風土を感じさせる空間が、遠く離れた土地でも立ち上がるようになっている。
その温度感や暮らし方を、まったく異なる国で体験することも、もはや特別なことではない。場所にとらわれない、新しい暮らしの多様性が、静かに広がりはじめている。

via: art4d.com

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via: https://art4d.com/en/2024/09/hako-by-mood-living